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掲載日:2023年5月17日
Q 吉良英敏議員(県民)
埼玉県は、今年から地域包括ケア課をつくりました。何を目指し、具体的に何を担おうとしているのか。1つ目は、医療、介護の連携、そして認知症支援、そして生活支援であります。先ほどの未来会議が地域同士の連携であるのに対して、今度は地域内でケア会議、そして住民参加など各部局を横断する連携でもあります。しかし、最終的には地域の事情に合った御当地主義ということになり、分かるようでいまひとつはっきりしないのがこの地域包括ケアです。
私は、県がやるべきこと、これは大きく2つあると思います。1つは、地域間格差の是正。介護保険法上、各市町村が責任者であり、県は指導監督ではなく調整役となります。しかし、今後高齢化、そして地域事情が異なる中で、更に格差が広がっていくと思います。そして2つ目は、高齢化社会を乗り切るには住民の主体的な参加による支援が最も大切だと思います。
ここでパネルがございます。私たちの地域には、地域包括ケア幸手モデルというものがあります。これは、正に住民参加のモデルです。まず、医療と介護の連携会議に一般の方が積極的に参加したり、行政、医師会、住民が連携し、在宅医療のための市民の集いを開催、さらに住民による人材養成講座や市民勉強会も日頃から開催しています。このモデル図の意味するところは、住民が一部の役割を担うのではなく、全ての土台となっている、そういったことを意味しています。
例えば、住民自らが実施しているのが暮らしの保健室というものがあります。私たちの身近な場所に保健室を作ります。今年九月には、我が会派の視察先として地元東埼玉病院内にある在宅医療連携拠点、あるいは暮らしの保健室として商店街にあるコミュニティカフェなどを視察しました。私自身も自宅のお寺を活用し、御近所の方の健康講座であったり、あるいは健康講座をしています。お寺を活用していることもありまして、地元では寺子屋保健室と名前を付けております。このように高齢化の時代、従来の市町村だけでは解決が厳しい現実の中、県のリーダーシップと、さらに住民主体の活動は更に求められていると思います。
以上のことから、以下2点伺います。
1点目として、幸手モデルの事例を挙げましたが、住民の主体的参加を促進させるための県の政策について、知事の御所見を伺います。
そして2つ目は、市町村の地域包括ケアを支援する中で、格差是正を図るための具体的な対応策について福祉部長に伺います。
A 上田清司 知事
「住民の主体的参加の促進~幸手モデルを参考に~」についてでございます。
地域包括ケアシステムは、市町村が地域住民の主体的な参加を得ながら、地域の特性に応じて作り上げていくものでございます。
議員お話しの幸手市では、住民と看護師が一緒に「暮らしの保健室」を運営するなど、住民参加が進んでいると聞いております。
地域包括ケアシステムを構築する上で、住民の主体的な取組が特に必要なのは、介護予防と日常生活の支援です。
介護予防については、高齢者が歩いて通える場所で住民が主体的に運営する体操教室の普及に平成26年度から取り組んでいます。
この体操教室は、最初のきっかけは行政が作りましたが、立ち上げ後の運営は高齢者をはじめとした住民が担っています。
体操教室で顔見知りになったことで、一人暮らしの参加者への声掛けが始まるなど、自然な流れで地域の支え合いにもつながっています。
自分の健康を維持しながら地域の絆づくりにもつながる取組ですので、全市町村に広げていきたい、このように思っております。
また、掃除や調理などの日常生活の支援については、今後はボランティアやNPOなども活用しながらサービスを提供していくことになりますので、元気な高齢者も担い手として期待できます。
高齢者は「支えられる人」というこれまでの発想を転換し、「社会を共に担う人」として捉えることが必要でございます。
健康長寿埼玉プロジェクトを一層推進することによって、担い手の裾野を広げたいと考えます。
要介護高齢者の支援は、元気な高齢者をはじめとしたボランティアが担う、そういった仕組みを地域包括ケアシステムの中に導入していくことによって、さらに地域社会は強くなると思います。
A 田島 浩 福祉部長
「格差是正を図るための対応策について」お答えを申し上げます。
地域包括ケアシステムは地域の実情を踏まえて市町村が構築していくものですが、市町村ごとのサービスの内容や進捗状況に大きな差が生じないようにすることも重要でございます。
平成27年4月の介護保険制度の改正で、比較的自立の程度が高い要支援の方に対するサービスの一部は、29年4月までに、全国一律の介護予防給付から地域の実情に応じて実施する市町村の事業に移行することとなりました。
市町村によってサービスの担い手となるボランティアやNPOなどの地域の資源は異なるため、サービスの内容や単価について、市町村間で大きな差が生じる可能性もございます。
このため、先行して取り組んでいる市町村の事例を紹介するとともに、近隣市町村の実施状況について情報交換する場を設定いたしました。
また、市町村は、地域包括ケアシステムの構築に必要な医療と介護の連携、認知症施策、生活支援などを、平成30年4月までに実施しなければならないため、計画的に取り組むことが求められております。
そこで、市町村の進捗状況を把握するため、取り組まなければならない25の項目の実施状況を本年9月に調査いたしました。
今後も半年に一度のペースで進捗状況を確認し、取組がなかなか進まない市町村には職員が訪問して個別にアドバイスを行うなど、市町村を支援してまいります。
県といたしましては、これらの取組を通じ、市町村によってサービス内容や進捗状況に大きな差が生じないようしっかり対応してまいります。
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