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掲載日:2023年5月17日
Q 福永信之議員(公明)
介護職員の不足、処遇改善、介護難民、介護離職、課題は山積しています。知事も選挙では、特別養護老人ホームなど介護施設の2万床の増床を公約に掲げられました。まず、知事のおっしゃった2万床の内訳についてお聞かせください。
次に、介護付有料老人ホームについてお聞きします。
介護付有料老人ホームは特養と違って、建設に当たって公的補助は全くありません。地方自治体の計画に基づいて設置が進み、公的な基準に従って運営されています。介護施設が足りないと叫ばれますが、介護付有料老人ホームはどうでしょうか。他の自治体からの流入なども勘案して整備が認められてきましたが、ほとんどが定員割れです。県内に施設を展開なさっている会社に調べていただきました。本県の27年3月現在の開設済みの定員は1万8,095人、これに対して同時点の県内の介護保険適用による利用者数は1万3,345人、約74パーセントです。この数字は、入所待機待ちの多い特別養護老人ホームに比べて極めて低い数字です。私は当面、需給動向を見ながら計画を練り直すべきと考えますが、福祉部長から御答弁をお願いします。
続いて、知事にお伺いします。ベッドが空いているのになぜ介護離職が増えるのか、一番の理由は施設の利用料が高いからだと考えます。介護保険の1割負担も含めた金額を申し上げます。所得階層第4段階の人が特養のユニット型個室に入所した場合は、月額12万6,094円。この会社の介護付有料老人ホームの入居者負担は月額19万3,300円、認知症グループホームは月額15万7,031円です。大変な開きがある。子供からの経済的支援を受けたとしても、平均的な年金収入の範囲内で入るのは難しいです。だから在宅で介護せざるを得なくなり、介護離職を生むと思います。介護離職をさせてまで在宅介護を推進することは正しい方向でしょうか。
一方、介護付有料老人ホームは特養と同様、3人の入居者に対して1人の職員を配置する基準です。この基準を入居者の介護の実情に応じて緩和すれば、その人件費分を職員の処遇改善につなげたり、入居者負担を減らすことが可能となります。厚生労働省が机の上で考えた基準ではなくて、入居者の介護の実情に応じた職員配置基準を埼玉モデルとして作るべきと考えます。
また、高過ぎる月額の負担を抑制するためには、家賃補助の導入が必要だと思います。同じ要介護のための施設入居でありながら、両施設が建設時から入居者まで公的補助の対象外に置かれているのはおかしいと思います。
3点目として、建設に当たって事業者が個室と共同スペースの面積を縮小できれば、建設費高騰の折、家賃の抑制につながります。埼玉と群馬、埼玉と東京のアパートで同じ家賃でも面積が違います。
埼玉県を介護総合特区にして職員配置基準、家賃補助、建築基準の緩和などをモデル的に実施できるよう、知事から政府に働き掛けていただきたい。力強い御答弁をお願いします。
続いて、東京都が施設整備の補助金を出し、埼玉県内に東京都民向けの特別養護老人ホームを建設することを3年後の第7期介護計画からスタートさせるお考えはないか、知事にお尋ねします。
入居するのは都民だけではなく、もちろん埼玉県民も入ります。埼玉だって特別養護老人ホームの入所待ちが多いんですから。都民と県民の入所割合は、両知事の話し合いです。日本創成会議の増田寛也座長は、6月15日、東京豊島区長を訪問しました。豊島区が姉妹都市である秩父市に特養の整備を打診し、秩父市長が土地はあると答えたことを受けてのものです。東京には土地がないのです。1都3県の連携という言葉はよく聞かれますが、介護についてはロボットの話しか聞いておりません。特養についても連携を図るべきときが来たと申し上げたい。姉妹都市だけに限定すべき課題ではありません。知事から是非前向きな答弁をお願いいたします。
特養について、もう1点お尋ねします。福祉医療機構は特養建設の貸付けに当たって、本年4月以降、総事業費に占める自己資金の割合を引き上げ、原則1割程度求めるようになったと聞き及びます。特に新規開設を目指す法人にとっては建築費のアップに加えダブルパンチであり、資金計画を根底から揺るがす事態を招来しました。千葉県は一床当たりの補助金をそれまでの400万円から、27年度からは450万円に積み増ししました。
そこで、福祉部長に、本県では自己資金比率の引上げの影響がどういう形で波及しているのか、事前相談に来ていた新設法人予定者の撤退の実情などをお示しください。
さらに、知事からは、千葉県のような措置を講じるお考えはないか、御所見をお聞かせください。
介護の最後に、認知症サポーターと高齢者が運営する介護予防教室の拡大について、福祉部長の御所見をお尋ねします。県の懸命な取組は評価しますが、まず認知症のサポーターの養成状況はどうなっていますか、お答えください。
次に、先日、川越市藤倉自治会の老人会が開催する介護予防教室に参加しました。定刻前に喜々として集い、受付を済ませる皆様方のお姿に感動しました。公的補助はありません。皆さんがその気になればこんなすごい集いになるんだと思い知らされました。川越市はいもっこ体操教室と名付けており、医療法人真正会のスタッフが教え、運営は地元の老人会が行っています。隔週1回で6回続きます。皆さんの笑顔にお仕着せでない試みの強さを感じました。川越市では、自主的に介護予防に取り組むグループが130を超え、日経新聞にも取り上げられました。こうした高齢者が運営する介護予防教室を全県展開すべきと考えますが、福祉部長の御所見をお伺いします。
A 上田清司 知事
特別養護老人ホームなどの介護施設の2万床増床の内訳についてでございます。
県では、平成27年3月に策定した「埼玉県高齢者支援計画」に基づいて特別養護老人ホームをはじめとする多様な介護施設を計画的に整備することとしております。
具体的には、特別養護老人ホームでは平成31年度までの5年間で約1万人分の整備計画を立てております。
さらに、平成29年度までの3年間で介護老人保健施設は約2,100人分、介護付有料老人ホームは約5,800人分整備することとしております。
平成31年度までの両施設の整備計画数は次期計画において策定いたしますが、これまでの整備数の伸びを考慮しても3施設合わせて少なくとも2万人分の整備を見込んでおります。
次に、埼玉県を「介護総合特区」にして職員配置基準の緩和などをモデル的にできるよう政府に働き掛けることについてでございます。
職員の配置基準や居室面積などの設備基準につきましては、利用者に対する一定のサービス水準が確保されるよう、国の省令などに基づき条例などに規定されております。
また、家賃補助についても特別養護老人ホームや介護老人保健施設などが対象ではありますが、低所得者の利用者負担分を軽減する制度もございます。
このため、この制度の対象介護サービスを居住費を伴う介護サービス全般に拡充するよう、国に要望をしているところでもございます。
御提案のありました「介護総合特区」についてであります。
利用者の安心安全確保の面、こうした部分をどうとらえるか、なかなか難しい部分もあります。
御案内のとおり東京や埼玉と北海道では話が違うだろうという、こういう論点は私も重要視しております。
また、御案内のとおり埼玉県は厚生労働省がユニット型居室で勝負しろというときに多床室の部分も認めてほしいということで、大論争をした経緯もございます。
この点については、しっかり議論をさせていただいて、総合特区が可能ならば、そうしたことを実現していきたいと思いますし、もしそれができないとすれば何らかの形での柔軟な解釈の仕方などを国の方にも考えていただきたいと考えます。
次に、県内で東京都民向けの特別養護老人ホームを整備することを次期高齢者支援計画に位置付けることについてでございます。
平成16年度から26年度までの特別養護老人ホームの整備数は、埼玉県の約1万7,000人分に対し、東京都は区部の高額な地価の影響などから約1万1,000人分と少ない状況であります。
入所待機の高齢者が多いにもかかわらずこういう状況であります。
議員御提案のように県内で都民用の特別養護老人ホームの整備が行われることになれば、一般的には本県は地価が安いことから、運営主体となる社会福祉法人にとっては整備費用の面でメリットがあると思われます。
また、今後、1都3県を中心に後期高齢者の増加が著しい首都圏の状況を踏まえると、まさに自治体連携による何らかの検討が必要だと思います。
私の問題意識もかねてから福永議員と同じでございます。
一方で、敬老祝い金などの市町村負担の増加の課題もあり、市町村との調整も必要です。
さらに、都周辺の3県の入所希望者がいずれも1万人を超えている状況を考えると、まずは特養の整備について各県のニーズをしっかり優先しろという議論もあると思っております。
都民のための特養整備の問題は、国も含めた首都圏共通の課題として広域的に対応すべきものであります。
私も実は問題提起をしているところですが、まだ正直なところ都側も熟しておりません。
今後の課題としてしっかり提案を進めていきたいと思っております。
次に、特別養護老人ホームの整備費補助金を千葉県のように増額することについてございます。
本県では特養の創設に対して平成18年度以来、1床当たり300万円の補助を行ってまいりました。
この間、建設費は上昇しておりますが補助単価は据え置きとなっており、法人の負担は増加傾向にあるものと考えられます。
特養の整備を計画的に進めていくためには、法人が安定的に資金を確保していくことも必要であります。
今後、これまでの建築単価の推移などを見極めながら、補助単価については検討しなければならないものと認識しております。
A 田島 浩 福祉部長
まず、介護付有料老人ホームの利用実態を踏まえ、需給動向を見極めながら計画を練り直すべきについてでございます。
介護付有料老人ホームは、現在、県内に327施設あり、要介護認定を受けている高齢者だけでなく、認定を受けていない高齢者も入居することができます。
介護付有料老人ホームから提出された平成27年7月1日現在の経営状況報告書によりますと、入居率は約75%となっております。
介護付有料老人ホームは、設備やサービスなどの違いにより利用料金が大きく異なり、入居率も100%のものから50%に満たないものまで様々です。
現行の高齢者支援計画では、市町村が算定した利用見込量を基本に整備目標を定めており、その見直しは困難ですが、次期計画の策定に当たりましては、今まで以上に介護付有料老人ホームの利用実態などを詳細に調べ、整備目標を定めてまいります。
次に、福祉医療機構の貸付けにおける自己資金比率引き上げの影響についてでございます。
本年度の特別養護老人ホームの整備では69件の事前相談がありましたが、計画を断念した件数は16件となっております。
このうち福祉医療機構との調整が整わないことを主な理由としたものは9件であり、うち新設法人予定者は3件でございます。
次に、認知症サポーターの養成状況についてでございます。
県では認知症の方や家族を温かく見守り、支援する「認知症サポーター」を平成18年度から養成しております。
本年9月までに約23万7,000人を養成し、数では全国9位ですが、人口に占める認知症サポーターの割合は、約3.2パーセントで、45位となっております。
高齢者支援計画においては、平成29年度末までに認知症サポーターを40万人まで増やすこととしております。
このため、学校、警察、企業などに養成講座の開催を働き掛け、子どもから高齢者まで幅広く養成してまいります。
次に、高齢者が運営する介護予防教室の全県展開についてでございます。
川越市の「いもっこ体操」のように、歩いて通える場所で、高齢者が主体的に運営する体操教室は、介護予防はもとより、生きがいづくりや地域でのつながりを深める効果があります。
県では、平成26年度に、毛呂山町で高齢者が運営する体操教室の立ち上げを支援しました。
今年度は13市町に事業を広げることとし、市町村職員向けに研修を行うとともに、体操を指導する理学療法士を派遣するなど、市町村を支援しております。
県といたしましては、高齢者が主体的に運営する体操教室を県内すべての市町村に拡大し、高齢者の介護予防を一層進めてまいります。
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