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掲載日:2023年5月19日

平成27年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (山根史子議員)

実態調査の実施について

Q 山根史子議員(民主・無所属)

未受診妊婦とは、特にその言葉に定義があるものではなく、一般的には特定妊婦とされております。私は、妊娠してから妊婦健診を受診されないまま出産に至ってしまう問題に視点を置いて発言させていただくため、未受診妊婦と表記をさせていただきました。
まず、未受診妊婦の実態調査についてお伺いをいたします。
今年の二月、県内の病院において出産した翌日に新生児を残し、その母親は病院から逃げ出してしまうといった事件がありました。新生児を置いていなくなってしまったその母親は、妊娠中一度も妊婦健診を受診することなく、陣痛が来て救急搬送され、出産をされたようです。実は、こうした未受診のまま出産に至ってしまうような事例は、全国各地で発生しております。一度も妊婦健診を受けることなく出産をされると、様々なリスクがあります。
厚生労働省による調査では、十八歳未満の子供が虐待死した全国の事例のうち、一七パーセントは母親が妊婦健診未受診であったことが分かっております。妊婦健診を受けないまま出産をしたその母親は、その後、育児においてネグレクトにつながるケースが多いことがこの調査によって分かっております。また、普通に出産された方に比べ、新生児の死亡率が高くなるというデータもあります。
ほかの都道府県の状況を見ますと、大阪府と東京都では独自に未受診妊婦についての実態調査を行っております。大阪府では、府の委託を受けた大阪府産婦人科医会によって、平成二十一年から分娩を扱う府内の全産婦人科医療機関を対象に調査が実施されております。その調査結果によりますと、平成二十五年末までに合計一千百四十六件が未受診妊婦であることが分かりました。
妊婦健診を受けなかった理由としては、貧困などの経済的な理由によるもの、未成年の妊娠など知識の欠如によるもの、DV、ひとり親、不倫など、妊婦が社会的に孤立していたもの、精神疾患など受診の機会を逸していたものなど、様々な要因が重なってしまっている場合もあります。
また、救急搬送される未受診妊婦の多くは正規産のようでありますが、母体の状況、胎児の状況が不明確であるため、受け入れる病院は万全の体制を整えておかなければなりません。そのため、受入可能な病院は必然的に総合周産期母子医療センターを中心に、限られた医療機関となります。
この調査結果により、大阪府では未受診妊婦の救急搬送に備え、高度医療が必要とされないと判断されれば、有志による第一次医療施設でも輪番制で受け入れる体制を整えられたそうです。これにより、救急隊の現場到着から搬送先決定、搬送開始、病院到着までが格段早くなり、救える命が増えるとともに、受け入れる病院側のリスクも分散されました。未成年などの妊娠による認識や産後のケアなどの課題への対応は、病院や行政、学校など関係機関との連携が強化されてきているとのことであります。
埼玉県では、行政としての実態調査は、いまだなされていないようですが、ここに産婦人科医独自で調査されたものがございます。行政主体でないことから、情報も限られてはいるものの、年間に約二十名から四十名の未受診妊婦がいらっしゃるという結果でありました。本県においても、背景や状態などは大阪府の状況とさほど変わりないように思います。
冒頭述べました埼玉県内で起きた未受診妊婦が産後、乳児を置いて逃げ出してしまった事件、出産した母親は、その後逮捕されました。私は、この事件から様々な思いを抱きました。女性だけが全ての責任を負わなければならないのか。妊娠するからには、必ずパートナーの存在があります。大阪府の調査の中では、パートナーは妊娠が分かった途端に姿をくらましてしまうといった事例も少なくありませんでした。妊娠させた男性の体は傷つくこともなく、逃げることで全てをないものとするといった責任逃れが許されてしまって良いのでしょうか。
そこで質問をさせていただきます。未受診妊婦について、行政が主体となって実態調査を行い、調査結果を踏まえて対策を行っていくべきだと考えますが、保健医療部長の御所見をお伺いいたします。

A 石川 稔 保健医療部長

日本は現在、乳児死亡率や妊産婦死亡率の低さは世界トップクラスであり、これを支えているのが母子保健制度でございます。
日本の母子保健制度は国際的にも評価が高く、日本をモデルとする母子健康手帳は、アジアやアフリカなど世界30か国以上で活用されています。
この母子健康手帳の交付に始まり、14回の妊婦健康診査の公費助成、出産育児一時金の支給、全ての家庭を直接訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」、1歳6か月及び3歳児の乳幼児健康診査など切れ目のない支援がなされています。
また、本県では、重篤な合併症や出産後の大量出血などにより救命を必要とする妊産婦を総合周産期母子医療センター等で必ず受け入れる事業を平成20年12月から実施をしております。
昨年度の受入件数は111件で、このうち9件が未受診妊婦でございました。
さらに、昨年度からは患者の円滑な受入れを確保するため、救命救急センターや搬送困難事案受入病院に対し、未払医療費の一部を補てんする事業も開始いたしました。
こうした様々な事業を実施していてもなお、議員御指摘のとおり、経済的な理由や望まない妊娠などが原因で妊婦健診を受けず、結果的に新生児の死亡や育児におけるネグレクトなどにつながる事案もございます。
まずは、母子健康手帳の交付を受けても妊婦健診を受診しない方などに確実に健診を受けていただけるよう、健診の実施主体である市町村に働きかけてまいります。
また、東京や大阪の事例も参考に、産科や新生児科の指導的立場にある医師で構成される埼玉県医療対策協議会周産期医療部会などの意見を伺いながら、本県の未受診の状況を把握し、必要な対策について検討してまいります。 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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