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ページ番号:58067
掲載日:2023年5月18日
Q 中屋敷慎一議員(自民)
本県経済を支え、99パーセント以上の割合を占める中小企業。中小企業基本法によれば、製造業などでは資本金3億円以下、従業員300人以下、卸売業では資本金1億円以下、従業員100人以下、小売業では資本金5,000万円以下、従業員50人以下、サービス業では資本金5,000万円以下、従業員100人以下と定められています。そして、同法では、特に小規模企業を製造業などでは従業員20人以下、商業・サービス業では従業員5人以下と定めています。実は、本県の特徴は、中小企業のうち88パーセントをこの小規模企業が占めているということです。
本県では、これら小規模企業の経営支援に向けて、商工会議所、商工会を通じて経営革新にチャレンジする企業などの支援や、中小企業に対する金融支援の充実をはじめとする様々な手立てを講じてきています。それは、小規模企業の活性化こそが本県経済の発展を左右するからにほかなりません。しかし、実際には、バブル崩壊以降の連続する景気低迷から苦戦を続ける企業が多数を占めています。
そんな中で、国では平成26年6月に、小規模企業の技術やノウハウの向上や安定的な雇用の維持等を含む事業の持続的発展を位置付けた小規模企業振興基本法が制定されました。そしてこの法律には、小規模企業施策の継続性、一貫性を担保するために、5年間の基本計画を定めることが規定されています。私は、昨年この法律が新たに定められ、しかも5年間に及ぶ基本計画を定める規定を設けたことで、国、経済産業省は本気なんだと気付かされました。
同法による施策の中で、販路開拓などに取り組む事業者に上限50万円までの補助をする小規模事業者持続化補助金は、この法律による代表的な補助制度であり、補助金を申請しようとする事業者の経営計画の策定から実施に至るまでを商工会などが最後まで完全フォローアップすることとなっています。正に猫の手も借りたい小規模事業者のための支援体制ではないでしょうか。
さて、そこで質問です。現在、本県の小規模企業の振興をも支えている埼玉県中小企業振興基本条例は、国の新法である小規模基本法の目指すところをどの程度反映しているのでしょうか。また、地方創生の実現を目指していく中で、本県においても小規模企業の振興に向けて既存の条例の改正や新条例の制定が求めているか否か、産業労働部長の御所見を伺います。
A 立川吉朗 産業労働部長
従来、国の中小企業政策は、企業の「成長発展」を基本理念とし、中小企業を「成長の担い手」として支援してまいりました。
昨今、企業は、人口減少、高齢化、海外との競争激化、地域経済の低迷といった課題に直面しています。
このような中、全国385万の中小企業の約9割を占めます小規模企業がクローズアップされてまいりました。
地域社会や住民生活に密接に結び付き、地域の経済や雇用を支えている、小規模企業が担う役割の重要性が改めて見直されております。
小規模企業振興基本法では、規模の拡大を意味する「成長発展」のみならず、技術の向上や雇用の維持に努めることも「事業の持続的発展」として評価し、基本原則として位置づけられました。
一方県では、制度融資による金融の円滑化を始め、技術開発、販路拡大、経営革新、商店街の支援など、従来から地域の実情を踏まえた、国よりもきめの細かい事業展開を行っています。
制度融資においては、利用者の95%が従業員数20人以下の企業であり、5人以下の企業の利用だけを見ましても75%に及びます。
また、経営革新の支援や特許、商標などの知的財産に関する支援につきましても、多くの小規模企業が利用しています。
このように県の施策は、県内中小企業の約88%、15万4,000社の小規模企業に目を向けたものが中心となっております。
そのため埼玉県中小企業振興基本条例では、その前文で、「企業の経営の安定と向上」、「将来にわたる成長発展」を目標として掲げており、法律の基本原則となった「事業の持続的発展」の趣旨を先取りしたものとなっています。
さらに法律では、「多様な需要に応じた新事業の展開促進」などの基本的施策が列挙されておりますが、県の条例ではそれらを網羅し、小規模企業振興基本法にはない「海外展開促進施策」についても規定しております。
条例には、法律の基本的理念は既に盛り込まれており、さらに法律で定める施策と方向性も一致していることから、条例の改正や新たな制定の必要性は薄いものと考えております。
今後とも小規模企業の振興につきましては、新しく法律が制定された意義を十分に認識いたしまして、中小企業に関する団体との連携、協力を強化しながら効果的かつ効率的に取り組んでまいります。
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