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ページ番号:54691
掲載日:2023年5月19日
Q 山根史子議員(民主・無所属)
知事には膨大な権限があります。「天の声」などと呼ばれる公共事業の発注において、1990年代には宮城県、茨城県で知事が関与したゼネコン汚職が発覚し、多選により首長の権力が巨大化する弊害が指摘されました。そのような中、秋田県の寺田典城知事が1997年に多選禁止条例の検討を始めましたが、当時の自治省から憲法上疑義があるといった見解が示され、県議会への条例案の提出を断念したという経緯があります。
その後、禁止ではなく努力目標としての自粛にとどめる形で、多選自粛条例が制定されました。あえて、上田知事が多選自粛条例を制定したのは、前知事が長女の政治資金規正法違反事件で引責辞職したという当時の時代背景があって、自らに多選の弊害を招かないように自制する決意を県民に示したものだと考えます。
この条例は、本文2条と附則で構成されております。第1条は、一部略しますが、「知事の職に同一の者が長期にわたり在任することにより生ずるおそれのある弊害を防止するため、知事の在任期間について定め、もって清新で活力ある県政の確保を図ることを目的とする」と条例の趣旨、目的を定めております。
第2条は、第1条の目的を達するための具体的手段として、一部略しますが、「その職に連続して3期を超えて在任しないよう努める」と定めております。
この条例に関しては、第2条を守ったのかどうかだけに注目が集まっておりますが、むしろこの条例で重要なのは「清新で活力ある県政の確保」ができているのか否かの問題であります。そのために、そのときの知事によっては清新で活力のある県政の確保ができなくなるのが3期12年なのか、それ以下なのか、あるいはそれ以上保てるのか、知事の意思と能力次第だと思われます。
私は、県議会の外から一市民として、あるいは川越市議会議員の立場から上田県政を見てまいりました。県議会では、党派を超えて建設的な提案には率直に受け入れられてこられたことをマスコミ報道や議事録を通じて承知いたしております。また、直接市民や市町村、各種団体からの要望にも誠意を持って対応がなされてきたことは、それぞれの立場から4選出馬を要請されていることからも明らかであります。
さて、この多選自粛条例を制定することによる弊害に、レームダックがあります。レームダックとは、任期満了が間近に迫った首長が職員などに対して影響力を失うことを意味しますが、知事も任期満了直前まで出馬について明言されなかったことは、賢明な御判断だったと思います。
多選自粛の是非をめぐって、本議場でも様々な議論が展開されておりますが、私はこの際、多選問題も含めて、来る知事選ではそれぞれの思いを代弁できる候補者を責任を持って擁立し、堂々と論戦をもって県民の審判を仰ぐべきであると思います。
そこで、知事に質問をいたします。
この条例の趣旨や目的を達成するため、知事は3期12年でどのような県政運営に努めたのか。また、この条例の趣旨や目的を達成できたと考えるのかお伺いをいたします。
A 上田清司 知事
まず、この条例の趣旨・目的を達成するため、3期12年でどのような県政運営に努めたかでございます。
お話しのように、条例の第1条に「知事の在任期間について定め、もって清新で活力のある県政の確保を目的とする」と規定されています。
このため、私は県民の皆様から負託された1期4年ごとに、その都度全力投球し、具体的な成果を上げるよう努力をしてまいりました。
また、その結果についても、検証大会などを開き、多くの方々に御意見を仰ぐようにしてまいりました。
具体的には、天下りを原則廃止し民間から優秀な人材を登用するなど、出資法人改革に努めた結果、例えば、さいたまスーパーアリーナでは平成14年度に6億6千万円の赤字であったものが、平成25年度は逆に県に7億5千万円を納付するなど、主だった出資法人の経営改善が着実に進んでまいりました。
過去10年間での企業本社の転入超過数は1,013社と、2位の神奈川県を大きく引き離して全国1位となっております。
自主防犯グループの数も5,850と、日本全体の約8分の1に当たるグループが埼玉県内で活動するまでに拡大しております。
県警の努力と自主防犯グループの活動があいまって、これまで犯罪が増加するばかりでしたが、県内の刑法犯認知件数は平成26年度は76,857件と、平成16年に比べて57%も削減されています。
このほか、「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」、「健康長寿埼玉プロジェクト」、「先端産業創造プロジェクト」など、少子高齢化の進行に備えた対策に積極的に取り組み、本県の活力を引き出すように努めたところでもございます。
また、公私のけじめをつけることに関して、私自身この12年間、一貫して自らを厳しく律してまいりました。
知事交際費の公開や庁議をはじめとする会議の公開など、県政全般にわたる徹底した情報公開を進めてまいりました。
談合問題が生じやすい公共工事では、一般競争入札や電子入札方式を採用するなど入札システムの改革を行ったところです。
このように、私は知事が任期を重ねても県政における透明さが確保される仕組みを積極的に取り入れてきたところでございます。
次に、この条例の趣旨や目的を達成できたと考えるかについてでございます。
先ほども述べさせていただいたように、私はこの条例があったからこそ、1期4年で課題解決するというスピーディな対応ができ、かつオープンマインドの県政が進められたものと思っております。
私自身としては、この条例の趣旨や目的を県政運営に生かすことができたと受け止めております。
達成できたか否かについては、最終的には県民の皆様に御判断いただくべきと考えておりますが、この条例の存在が、私の県政運営のいわばバックボーンになったことは間違いないものだと思っております。
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