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掲載日:2023年5月19日
Q 醍醐 清議員(県民)
先日、日本創成会議が東京圏高齢化危機回避戦略を発表いたしました。新聞各紙には、「介護難民、10年後43万人」とか「高齢者は地方に移住を」といったショッキングな見出しが躍り、私も強い関心を持って読ませていただきました。
発表された資料によれば、現在、76万5,000人である本県の75歳以上の人口は、2025年には約1.5倍の117万7,000人になるとされ、その増加率は全国一高くなっています。高齢化の進展は、全国の共通の課題ではありますが、全国一増加率の高い本県では、特に真剣な問題です。同会議では、東京圏で増大する全ての医療や介護のニーズに対応するには限界があるとして、政府や自治体が、高齢者に、医療や介護の施設に余裕のある地方に移住することも提言しています。私たちは、誰しも住み慣れたまちで暮らし続けたいという希望を持っております。医療や介護サービスが不足するからといって、高齢者に地方へ移住してくださいというのは、行政運営の基本である誰もが住みよいまちづくりに矛盾する考え方ではないかと思います。まずは、県民1人1人が年をとっても安心して暮らすことができるよう、医療や介護サービスの充実が求められます。
一方で、医療や介護サービスの利用が増加すれば、これらの社会保障費も増大します。十分な医療・介護のサービスを確保しつつ、いかに医療や介護にかかる費用を抑えていくか、これが重要ではないかと考えます。
県では、平成24年度から3大プロジェクトの1つとして、健康長寿埼玉プロジェクトを推進し、県民の健康寿命の延伸と医療費の抑制を目指して取り組んでこられました。平成26年度まで3年間の成果をまとめ、先般、健康長寿埼玉モデルを構築したということですが、今後、県民の健康寿命の延伸と医療費の抑制に効果がある健康長寿埼玉プロジェクトをどのように進めていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
また、介護サービスにおける取組も重要と考えます。介護費用を抑制するためには、高齢者自らが要介護状態になることを防ぐとともに、要介護状態になったとしても、できる限り悪化させない介護予防の取組が必要です。今後どのような介護予防を進めていくのか、福祉部長にお伺いをいたします。
A 上田清司 知事
私はかねてから、本県の抱える課題を解決することができれば、全国に発信できるようなモデルを見せることができるのではないかという考え方を持っております。
健康長寿埼玉プロジェクトもその一つでございます。国民医療費が39兆円を超えております。団塊の世代の全ての方が75歳以上となる平成37年には、50兆円を超えると予測されています。
埼玉県の現状としては、平成25年度の1人当たりの後期高齢者の医療費は、850,041円と全国で15番目に少ない額でございます。
県民一人一人が健康で生き生きと暮らすことのできる健康長寿社会を実現することができれば、こうした医療費を抑制することができて、限りある財源を他の行政分野に振り向けることも可能ではないかと思われます。
健康長寿埼玉プロジェクトは、そうした健康長寿社会の実現を目指して、平成24年度から取り組んでまいりました。
平成27年1月に、モデル7市の成果と学会の発表を踏まえて、「健康長寿埼玉モデル」を構築いたしました。
埼玉モデルでは、医療費の抑制効果があった「毎日1万歩運動」と「筋力アップトレーニング」の2つを推奨モデルといたしました。
平成27年度からは、「毎日1万歩運動」に熊谷市をはじめとした10市町が、「プラス1000歩運動」に寄居町、「筋力アップトレーニング」に、秩父市をはじめとした7市町に取り組んでいただきます。
「毎日1万歩運動」では年間約24,000円、「筋力アップトレーニング」では年間約79,000円の医療費抑制効果などが実証されています。
仮に、40歳以上の県民のうち10人に1人が「毎日1万歩運動」に取り組めば、年間約100億円の医療費抑制効果があると試算されることができます。
また、7市のモデル事業より参加規模を大幅に拡大し、1,000人、2,000人規模で取り組む「とことんモデル」も開始いたします。
この「とことんモデル」には志木市と三芳町が名乗りをあげて取り組みます。
志木市では、市民が体力やライフスタイルに合わせた筋力アップトレーニングに、三芳町では町内の各種団体と連携して毎日1万歩運動に取り組みます。
こうした20市町が、現在事業の準備を進めております。
7月から順次参加者の募集などが始まってまいります。
事業の実施に当たって、事業を成功させるノウハウなどをまとめたマニュアルの提示や専門家の派遣など、きめ細かく市町村としっかり力を合わせていきたいと思っております。
あわせて、市町村の健康づくり事業を下支えするため、引き続き健康長寿サポーターを養成し、県民が健康づくりに取り組む機運を醸成してまいります。
今後もモデル事業に取り組む市町村を増やし、全県展開を目指します。
県内全域で「健康長寿埼玉モデル」に取り組み、全国に誇れる「健康長寿埼玉」の実現を目指すことを心から願っております。
A 田島 浩 福祉部長
県ではこれまで介護予防を推進するため、気楽に外出して健康づくりに取り組むコバトンお達者倶楽部事業や、新たな介護予防のメニューを市町村に紹介する体験型介護予防研修を実施してまいりました。
コバトンお達者倶楽部は、登録店で買物や飲食の際にスタンプを押してもらい、10個貯まると特典がもらえる仕組みです。
平成25年度に開始し、現在では登録店が約1,800店舗、参加者が延べ10万人を超えております。
体験型介護予防研修では、笑いながら行うヨガや会議机の上で行うカーリングなど、楽しく参加できる介護予防の普及に努めた結果、34市町で実施されております。
これらに加えて、平成26年度には、国のモデル事業として毛呂山町で高齢者自らが運営に携わる介護予防事業を実施しました。
この事業は身近な場所で定期的に体操教室を行うもので、高齢者が主体的に運営に携わるため、介護予防はもとより、生きがいづくりや地域でのつながりを深める効果があります。
毛呂山町では当初1か所の体操教室の立ち上げが目標でしたが、高齢者にも好評で、1年間で8か所が立ち上がり、すべての教室が高齢者主体で運営されております。
この結果を踏まえ、県では今年度13市町に事業を広げることとし、理学療法士の派遣や合同研修の開催などにより支援を行っております。
今後はこの事業を県内すべての市町村に拡大してまいります
県では高齢者が住み慣れた地域で元気に暮らし続けられるよう、市町村とともに介護予防の取組をより一層推進してまいります。
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