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掲載日:2022年8月18日
Q 永瀬秀樹議員(自民)
今、全国的に高齢ドライバーによる交通事故が増加しています。本県においても、2005年に109万2,973人だった高齢者人口は、2025年には203万8,525人と、約2倍に増加する見込みであり、それに伴い2005年の高齢者免許保有者45万5,801人が2025年には約3倍の131万人を超える見込みであります。誰もが年齢を重ねれば、視力や運動能力の低下は免れず、本県においても交通事故全体は減少傾向の中、70歳以上の高齢ドライバーが原因となる交通事故は過去10年間で37.1パーセント増加しています。高齢運転者の安全対策については、今後全国一のスピードで高齢化が進む本県において取り組まねばならない喫緊の課題であり、解決に向けて県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
1点目として、高齢者講習についてお伺いいたします。
運転者の年齢に関わらず、交通安全社会の構築のためには、道路交通環境の整備が第一ですが、それに加え、運転能力の維持向上が極めて重要です。現在、高齢運転者の死亡事故が他の年齢層に比べて高かったことから、高齢者の交通事故防止を目的として平成10年10月から更新期間が満了する日に70歳以上になる人が免許証の更新を受けようとする場合には、法定の高齢者講習が義務付けられました。70歳から74歳の方は3時間、75歳以上の方は講習予備検査等2時間半、実車指導と個別指導を行います。加齢に伴う身体機能の変化を自覚させ、身体機能のレベルに応じた安全な運転を身に付けてもらうことにより、高齢運転者の事故防止を図ることを目的としています。
来年3月からは、改正道路交通法の施行により、75歳未満の方や認知機能の低下のおそれがないと判断された方は2時間に短縮、その他の方は3時間となるなど、合理化と高度化が図られるとされていますが、高齢運転者の増加により、現在地域によっては受講が半年待ちになるなど課題が顕在化しています。
ちょっと私がパネルを作ってきたんですけれども、このパネルは私が調査をしました県内の高齢者講習の指定自動車教習所予約待ち状況をグラフ化したものです。これ黄色がポイントなんですね。この黄色のところが4か月以上待ちなんですよ。こっちは5か月、こっちは6か月間。ごらんのとおり、埼玉県高齢者講習予約においては7割以上が4か月待ちになっているというのが本県の実態でありまして、これちょっとひっくり返して東京都、黄色はここなんです。東京都の場合は、5か月、6か月待ちというのはもうなくて、4か月待ち以上で100パーセント受講ができるというような、これが実際に県民の皆さんが感じている実態だろうというふうに思うわけであります。余り好ましくない状況だと。
高齢化の進展によりまして、今後受講対象者数は増え続けることが想定される。このような状況で、果たして今後適切な講習が実施できるんでしょうか。運転能力には個人差があるため、本来は安全に運転が継続できるよう一人一人の適性を見極め、能力の維持向上と運転継続の可否をきめ細かく判断することが重要です。高齢運転者の安全運転の水際対策である高齢者講習が県民の皆様にとって受講しやすく、より効果的なものとなるべく、事態の改善に向けて講習実施箇所や講習数の増加を図るなど、早急な取組が必要と考えます。
県は、講習のできる施設や指導員の確保等に向けて、何がしかの対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか、警察本部長の見解をお伺いいたします。
2点目として、免許返納後の移動手段の確保についてお伺いいたします。
埼玉県内には、マイカーなしでは暮らせない交通不便地も多くあり、免許返納後の移動手段の確保は大きな課題です。高齢運転者の安全対策に加えて、高齢者にやさしいまちづくりにもつながる公共交通網の整備について企画財政部長の考えをお聞かせください。
3点目として、免許の自主返納を促進するための取組についてお伺いいたします。
県では、高齢運転者の安全対策として、高齢運転者に加齢による認知機能や身体機能の低下を客観的に認識してもらい、安全運転の意識向上や自主的な運転免許の返納を促すことにより、交通事故を減少させることを目的として、埼玉発高齢者安全運転推進プロジェクトを実施しています。高齢者の免許自主返納者数は、今年1月から9月末で約1万4,000人と聞いています。しかし、75歳以上の免許保有者24万4,086人のうち、返納したのは5,645人で返納率は2.31パーセントにとどまっております。
こうした中、免許の自主返納について、このプロジェクトはどのような見通しを持って展開されますか。また、埼玉発高齢者安全運転推進プロジェクトは、高齢者が原因となる交通事故を平成27年より減少させることを目標としています。平成28年は何件、何パーセントの減少を目標とされていますか。
さらに、免許の自主返納を促すには、返納を動機付けるインセンティブが有効であると考えられます。本県においても、シルバーサポーター制度を実施し、身分証明書代わりとなる運転経歴書が取得でき、提携するタクシー会社や飲食店で割引サービスを受けられるなどとしていますが、少々魅力に欠けるように思います。他の自治体の例ですが、バスの回数券やデマンドタクシーの利用券を配布するなど、様々な支援を行っているところもあります。民間の協力も仰ぎ、本県でもより手厚い支援策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか、県民生活部長の考えをお聞かせください。
さらに、4点目として今後の取組方針について伺います。
全国的に社会問題化している高齢運転者の安全対策については、国も事態を重く見ており、安倍首相からの指示により、関係省庁によるワーキンググループが設置され、6月頃をめどに課題解決に向けた取りまとめを行うこととなっています。高齢運転者の安全対策については、本県においても社会全体の問題として捉え、課題解決に向けて全庁的な対応が必要と考えます。関係部局が一丸となって取り組む組織を立ち上げるなど、何らかの対策を早急に講じていくべきと考えますが、いかがでしょうか、県民生活部長の御所見をお聞かせください。
A 貴志浩平 警察本部長
高齢者講習では、実車を利用しての講習内容が組み込まれているため、実施するためには一定の設備等を有することが必要であります。このため、現在、高齢者講習はコースや車両などの設備を有する県内50か所全ての教習所に対して委託し、実施しているところであります。
高齢者講習の受講待ち日数は、地域によって最長で約6か月となるケースもあるなど長期化しており、県警察では、受講待ち日数の短縮を図るため、教習所に対して講習室の増設、講習回数の増加などを要請しているところであります。
また、県警察では、ホームページに各教習所における予約の空き状況を掲載したり、問い合わせに対して待ち日数の少ない教習所を教示しております。
しかし、議員ご指摘のとおり、今後、高齢運転者の一層の増加が予想されることから、引き続き教習所に対して待ち日数の短縮を要請するとともに、委託講習に加えて県警察による高齢者講習の実施も検討しているところであります。
県警察では、今後も教習所等と引き続き緊密な連携を図りながら、高齢者講習の円滑な実施に努めてまいります。
A 中原健一 企画財政部長
免許返納後の移動手段の確保について、お答えを申し上げます。
本県では今後、高齢者数が急速に増加する中で、自家用車に替わる日常生活の移動手段の確保は重要な課題と考えております。
人口減少が進んでいる地域のみならず、都市部においても、これまでは自転車や自家用車などで移動できた方も加齢に伴い、バスなどの公共交通に生活の足を依存せざるを得なくなります。
本県の年間のバス利用者数は、モータリゼーション化などの影響で、平成13年度には延べ約1億7,200万人にまで減少しましたが、平成26年度には約1億9,300万人に再び増加しております。
高齢者の利用の増加も要因の一つであり、高齢者の視点での利便性向上を図る必要があると考えております。
県ではノンステップバスの導入促進のため、バス事業者に対して補助を行っております。
県内のノンステップバスの導入率は、平成17年度には29.0%だったものが、本年3月には62.2%に上昇しました。
国は平成32年度までに導入率を約70%とする方針ですが、県では1年前倒しでの達成を目標としております。
また、都市部においても鉄道駅やバス停からも一定の距離があり、高齢者にとっては移動に不便を生じる地域があります。
このため、市町村が中心となって地域の公共交通ネットワークを再構築する取組を進めております。
路線バスの再編や利便性向上に加え、コミュニティバスやデマンド交通などを組み合わせることで生活の足の確保を図っております。
既に7市町村が地域の公共交通網を再編する計画を策定しており、今年度中にはさらに3市町が計画を策定する見込みとなっております。
県では各市町村が設置した協議会などに積極的に参加し、検討を支援しております。
平成27年9月に計画を策定した上尾市では、コミュニティバスの路線再編や、バスロケーションシステム導入などの取組を始めました。
また、平成28年3月に計画を策定した越谷市では、現在は路線バスを利用しづらい地域において路線新設を図ることとしております。
県としては今後の高齢化の進展を踏まえ、公共交通の利便性向上や確保・充実に引き続き取り組んでまいります。
A 稲葉尚子 県民生活部長
免許の自主返納を促進するための取組についてお答えを申し上げます。
まず、高齢者安全運転推進プロジェクトにおける自主返納の見通しについてでございます。
個人差はありますが、年齢を重ねるたびに誰もが身体機能や認知機能が低下し、そのことが運転に様々な影響を及ぼしてまいります。
高齢運転者の交通事故を防止するには、まず高齢者御自身に現在の身体機能などの状態を知っていただき、その上で安全運転に努めていただくことが重要であると考えております。
そこで、県では議員お話のとおり平成28年度から「埼玉発・高齢者安全運転推進プロジェクト」事業を立ち上げ、身体機能や認知機能の低下を客観的なデータで実感してもらい、安全運転を促す取組をはじめたところでございます。
その中で運転に不安を感じる方については、自主返納を考える機会としてアドバイスを実施しております。
こうしたアドバイスなどきめ細かく対応することによって、自主返納者数は確実に増加すると見込んでおります。
次に、高齢者が原因となる事故の減少目標についてでございます。
現在の事故率のまま推移すると、70歳以上の高齢者が原因となる交通事故は、5年後には約1,300件、率にすると40%、平均して毎年8%増加することが予想されております。
これを食い止め、平成27年の3,150件以上に増やさないことを目標としております。
これは毎年、約260件、8%の事故を抑止することに相当いたします。
次に、免許の自主返納者に対する支援策についてでございます。
免許返納を促すためには、真に有効なインセンティブとなるものが必要となります。
それにはまず高齢者の方からご意見を聞くなど、しっかりとニーズを把握することが重要でございます。
県としてはニーズを踏まえながら、県警察をはじめ民間や市町村などと連携を図り、必要な対策を検討してまいります。
最後に、今後の取組方針についてでございます。
議員お話のとおり、国においては関係府省の局長級による高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチームを設置し、6月頃を目途に取りまとめが行われる予定です。
高齢運転者の交通事故防止については、ソフト面やハード面など様々な分野において取り組むべき課題があり、民間や市町村などの連携が欠かすことはできません。
県としては国の指示を待つことなく、高齢運転者の交通事故防止に向けた検討会議を早急に設置し、効果的な対策を検討してまいります。
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