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掲載日:2022年8月18日
Q 神谷大輔議員(自民)
環境省では平成25年に、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトを立ち上げ、犬猫の殺処分がなくなることを目指すための具体的対策について検討を行い、命を大切にし、優しさのあふれる人と動物の共生する社会の実現を目指す取組をスタートさせました。
そのプロジェクトの柱の一つに、地域猫活動の推進があります。地域猫活動とは、地域住民の理解の上、ボランティアや活動団体が主体となって、飼い主のいない猫いわゆる野良猫が繁殖しないように不妊手術を行い、施術済みの印として耳カット等の目印をつけて元の場所に戻し、給餌や排せつ物の処理を行いながら適切に管理していく活動のことです。
県では、この活動を推進するために市町村に対して補助金を交付する事業をしております。この活動を推進していく上で、地域住民の協力体制は欠かせません。猫が好きな人や嫌いな人、動物アレルギーがある人など、誰もが満足できる状況を維持できなければ、この活動を継続させることはできません。しかし、地域住民の十分な理解を得ないままに運動を始めたために、賛成派と反対派が対立する事態が発生している地域もあると聞いております。
また、近年、地域猫の名称だけが知られるようになると、無造作に餌を与えるだけの活動を地域猫活動だと称して住民間の摩擦を生むケースや、猫の数を住民らが容認できるレベル以下に統制するという趣旨がなかなか理解されず猫を捨てに来るケースなど、活動そのものが崩壊してしまう事例も報告されています。
さらに、猫の特性として、例えば飼い犬については居住している市区町村に飼い犬の登録をすることが義務付けられており、飼い犬は各自治体によっておおむね把握されていますが、猫には同様の制度がないため、猫の個体数や生息状況を正確に把握することができておりません。
猫は、飼い猫も放し飼いにしているケースも多いため、飼い猫が飼い主の管理外で交尾を行い、子猫を授かることも多く、知り合いの猫が子供を産んで新しい飼い主を探しているという話は、よく聞く話です。また、生まれたばかりの子猫を飼い切れないと捨てる、増え過ぎてしまい飼育困難に陥るといった悪質な飼い主の存在も挙げられます。猫の妊娠期間は約2か月で、一度の出産で平均5頭を出産し、約2か月後には子猫が離乳すると、次の妊娠が可能になります。子猫も、生後6か月前後に繁殖可能年齢に達し、繁殖サイクルが非常に早く、一匹の雌猫が3年後には2,000頭以上に増えるとの環境省の試算もあります。
以上を踏まえ、幾つかの提言、質問をさせていただきます。
まず1点目として、現在進めている地域猫活動の支援策を強力に推進すべきでありますが、平成27年度の補助制度の利用実績は11市町と、まだ全県的に広がっておりません。全県的な取組になって、初めて大きな成果を生み出すものと考えますが、どのように全県展開を図っていくのでしょうか、御見解をお伺いします。
2点目として、開業獣医師の方々と連携し、地域猫の不妊手術の無料化、飼い主のいない猫の不妊手術へも一定の助成が求められると考えます。埼玉県では、地域猫の活動に限っての助成制度になっていますが、これだけでは、飼い主のいない猫の数を減らすことは難しく、県内では、さいたま市をはじめ6市で、助成対象を地域猫だけではなく飼い主のいない猫まで広げています。また、東京都新宿区では、飼い猫へも一定の助成をしています。聞くところによると、県内の獣医師の中には、飼い主のいない猫の不妊手術をボランティア価格で請け負う動物病院も出てきていると聞いております。そういったボランティア活動を後押しできるような県の助成制度を整備すべきと提案いたしますが、今後の展開の方向性を伺います。
3点目、県から譲り受けた犬猫の新しい飼い主に対し、犬猫の健康状態を把握し、終生飼育へ導くために協力動物病院リストを渡し、健康診断を受けられるような体制づくりが求められると考えます。岐阜県では、岐阜県獣医師会と連携し、無料で健康診断を行っております。また、広島市では、動物管理センターの獣医師が無料で不妊手術やワクチンの接種、ノミの駆除を行っています。保護された犬や猫を引き取り、新しい飼い主探しを行っているボランティア団体の運営を圧迫している一つの要因に、犬猫の健康診断や不妊手術、ワクチン接種、ノミの駆除等に費用がかかることが挙げられます。そこで、一定項目の健康診断に関して無料となる制度の創設を提案いたしますが、現状認識を含め、見解をお伺いします。
以上3点を保健医療部長にお伺いをいたします。
A 三田一夫 保健医療部長
まず、「地域猫活動について、どのように全県展開を図っていくのか」についてです。
議員お話のように、県では、平成24年度から地域猫活動推進事業を開始し、平成28年度を含めると13市町に利用していただいております。
この制度を推進する中で、市町村からは、制度を利用したいが猫の不妊手術や餌の管理などに協力していただける自治会や動物愛護団体が見つからない、猫の不妊手術と管理を行う地域猫活動を実施していただく地区を特定できないなどの御意見も頂いております。
また、地域猫活動は、地域住民の理解を得てから活動を実施するため、実施までに時間や労力がかかるという問題もございます。
このような御意見も踏まえ、PR活動などにより、県民の理解促進を図るとともに、より多くの市町村が利用しやすいよう制度を見直し、全県に取組が広がるよう努めてまいります。
次に、「飼い主のいない猫に不妊手術を行うボランティア活動への助成制度の整備について」です。
殺処分数を削減するには、飼い主のいない猫、いわゆる野良猫への繁殖抑制が重要な対策となります。
まだ問題化してはいないが、徐々に野良猫が増えていて、将来的に問題化するおそれがある地区でも、飼い主のいない猫に不妊手術を行っておくだけでも有効な予防策となります。
県といたしましては、こうしたボランティア活動を行っている方々の御意見も伺いながら、支援する仕組みができるよう努めてまいります。
次に、「犬猫を譲渡した先での健康診断やワクチン接種等の費用負担を軽減する制度の創設について」です。
動物の愛護及び管理に関する法律では、動物の健康及び安全の保持については、飼い主の責務と規定されています。
県の動物指導センターでは、犬や猫を譲渡する際の講習会において、法律で規定する責務や、かかりつけ獣医師を持ち、定期的な健康診断を行うことの重要性を飼い主に学んでいただいております。
一方で、譲渡する犬や猫には、事前に健康診断を実施し、ワクチン接種も行っています。
さらに、蚤やお腹の中の回虫など寄生虫の駆除のほか、マイクロチップの装着を無料で行い、協力いただいている団体や新しい飼い主にお渡ししております。
ボランティア団体は、県から譲渡を受けたのちに、終生飼養のため責務を全ういただく最終的な飼い主を探していただいております。
議員御指摘の他県の例なども参考にしながら、このような団体が活動しやすい環境づくりに努めてまいります。
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