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ページ番号:80162

掲載日:2022年8月18日

平成28年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(永瀬秀樹議員)

災害医療対策について

Q 永瀬秀樹議員(自民

災害対策は、地方自治体が果たすべき最も重大な使命の一つであります。東日本大震災から5年9か月が過ぎました。県内でも被害はありましたが、私たちは幸運にも生活を続けることができ、次の災害に備える時間を与えられました。その幸運を生かして、震災の悲惨な記憶に目をそむけることなく、震災から得た教訓を忘れることなく、しっかりと生かし、次の大災害が襲来したときに最小限の被害にとどめるよう備えていかなくてはなりません。
本県においても、全県の防災・減災対策全般に十分な対策を備えていただいているところではありますが、中でも医療機関の災害時の対策は極めて重要であります。災害医療対策に関して、特に重要視されているのが災害時の医療の要である災害拠点病院の整備と医療の継続、そのための事業継続の計画、いわゆるビジネス・コンティニュイティ・プランニング、BCPの策定であります。
まず、災害拠点病院の整備について伺います。
災害の発生時に、災害医療を行う医療機関を支援する病院として、各都道府県の二次医療圏ごとに原則1か所以上整備されるのが災害拠点病院です。埼玉県においては、17の病院が県から災害拠点病院の指定を受けています。24時間、いつでも災害に対する緊急対応ができ、被災地域内の傷病者の受入れ及び搬出が可能な体制を持つ。実際に重症傷病者の受入れ及び搬送をヘリコプターなどを使用して行うことができる。災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し、その派遣体制がある。資機材等の備蓄があり、応急用の資機材、自家発電機、応急テントなどにより自己完結ができる。そういった要件を満たす災害拠点病院を増やすことで、ハード面の災害対策医療の機能充実につながることから全国で整備が進み、平成28年4月1日現在、712の病院が指定をされております。
関東1都6県で見ると、東京都は80施設、神奈川33、千葉22、群馬17、茨城15施設、栃木10施設が指定をされております。本県の整備状況を1災害拠点病院当たりの人口で見ると、約42万7,000人であり、全国平均の約17万9,000人と比べると約2.4倍、全国でワースト2位となっております。
ちょっとグラフを作ってきましたけれども、高知が1病院当たり6万1,000人くらいなんですね。埼玉はここです。こういう状況であります。人口の規模などからすれば、埼玉県はもっと災害拠点病院の整備を推進する必要があると考えますが、いかがでしょうか。今後の整備方針及び今後の見通しについて保健医療部長の見解をお聞かせください。
次に、災害拠点病院の事業継続計画について伺います。
実際に、今から5年9か月前、我が国を襲った東日本大震災が地域の医療機関に与えた影響は、病院建物の倒壊、ライフラインの途絶、受け入れ切れない多数の負傷者の搬送といったものでした。災害時は平時に比べ、医療ニーズが急激に高まります。平時はもとより、災害時に市民の生命と健康を守ることは、医療機関の皆様にしかできないことです。病院が適切な災害対応計画を持っていることは、大規模災害対応の鍵を握る重要な要素であると考えます。命を預かる病院は、一番安全な場所でなければなりません。
そして、災害時の医療の必須条件は、医師、看護師、薬剤師の皆さんが動けることです。自らが動けなければ、人を助けることなどできないからであります。そのためには、建物が正常であり、停電に備え、断水に耐え、通信ができるといったライフラインのハード対策と指揮命令系統が明確であり、医療人員が充足し、応援医療チームが効率的に活動できるソフトウェアの対策を総合的に備えた計画の策定が求められるわけであります。
災害拠点病院は、災害時にその役割を十分に果たすことができるよう、国からは都道府県に対し、災害拠点病院自らが被災することも想定して、初期対応に重点が置かれた災害対策マニュアルを作成するとともに、長期的な対応も想定した事業継続計画の作成に努めるよう通知がなされております。
医療継続計画(BCP)とは、大災害や事故などの被害を受けても重要業務が中断しないこと、もしくは中断したとしても可能な限り短い期間で再開することができるよう、事業の継続に主眼を置いた計画であり、医療機関が医療提供機能を維持できるよう、ハードウェアとソフトウェアの両面から総合的に医療機関の災害対応能力を向上させ、より効率的、機能的な災害医療を行うために極めて重要であり、その策定が求められております。先頃発表された厚生労働省DMAT事務局の今年の熊本地震報告においても、全ての病院がBCPを持つべきとされています。
そこで質問ですが、1点目として、現在712ある全国の災害拠点病院でも整備済みは約3割です。本県においても、現在策定済みは17病院中4病院のみ、東京都の整備率の83パーセントなどと比べれば、対応が進んでいるとは言いがたいと存じますが、県はこの状況をどのように考えていますか。
2点目として、災害時の備えとすれば、現在の状況は極めて不備であり、県内の全17病院においてBCPの早急な策定が必要と考えます。未策定の各災害拠点病院に対し、策定を促進すべく、情報、ノウハウの共有に向けた協議会の設置、策定ガイドラインの提示などの指導、助言、さらには策定に関する費用の補助など、財政支援などもしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
3点目として、厚生労働省の医療計画の見直し等に関する検討会においては、第7次医療計画の5事業の一つ、災害医療についての中で、災害時にも医療を迅速に整えるためのBCPの策定を医療機関に促し、一般病院にも策定を求めていくとしています。このことについて、県としては今後どのような対応を進めていきますか。
以上、3点について保健医療部長の見解をお聞かせください。

A 三田一夫 保健医療部長

まず、「災害拠点病院の整備について」でございます。
災害拠点病院は、耐震化された病棟を持ち、災害時に多発する重篤患者の受入れや、被災地へ迅速にDMATを派遣する機能を持つ、災害時医療の中心となる病院です。
国では、二次保健医療圏毎に原則1病院という基準にしておりますが、本県ではこれにこだわらず災害拠点病院を増やしております。
10年前に8病院であったところ、現在は9つの二次保健医療圏において、17の病院を災害拠点病院に指定しております。
これらの病院は全て300床以上で、そのうち8つが救命救急センターです。
さらに、現時点でいくつかの救急医療機関から、災害拠点病院の指定に向けた御相談をいただいており、具体的な手続きを進めている病院もございます。
災害拠点病院になれば、診療報酬上の評価ポイントが上乗せとなるほか、災害時に必要な施設や設備の整備に対して国から一定の補助を受けることができます。
県といたしましては、こうしたことをお伝えしながら、引き続き災害時にしっかり機能する病院を増やしてまいりたいと考えております。
次に、「災害拠点病院の事業継続計画について」でございます。
まず、災害拠点病院における事業継続計画、いわゆるBCPの整備状況についての県の見解です。
本年9月に県内全ての災害拠点病院に調査したところ、BCPを策定済みが4病院、策定中が5病院という結果でした。
県といたしましても、議員御指摘のとおり、災害拠点病院では「なすべきこと」だけでなく、「具体的な方法や普段からの備え」が記載されたBCPを踏まえたマニュアルを整備することが望ましいと考えております。
BCPは、自ら被災した時に復旧を進めるための計画であるとともに、一方で、災害時の機能に特化するためあえて中止する機能も定める計画です。
たとえば、より重篤な被災患者に対応するため、BCPでは既に入院している患者を他の病院へ転院させる必要がでてまいります。
大規模かつ広域的な災害時には病院単独での対応には限界があります。
そこで、県では平成27年度、内閣府と合同で、首都直下地震を想定した「大規模地震時医療活動訓練」を実施いたしました。
また平成28年度は、本県が大規模地震に被災したという想定で、関東ブロックのDMAT訓練を幹事県として主導いたしました。
これらの訓練では、災害拠点病院において、応援に来たDMATと連携し、想定される多数の傷病者の受入やトリアージ、病院間の患者搬送など、実践的な連携訓練を実施したところです。
県といたしましては、こうした訓練を実施して初めて得られた貴重な経験を踏まえ、BCPの策定促進だけでなく、病院間の連携を深めてより実践的な災害対策が進むよう各病院に働きかけてまいります。
次に、災害拠点病院におけるBCPの策定に係る県の支援についてです。
BCP未策定の災害拠点病院からは、最大の課題は策定のためのノウハウがないことであると伺っております。
一方、既に策定済みの病院からは、自ら試行錯誤して策定しないとその病院の実態にあった計画ができないとの意見がございます。
そこで、未策定の病院にはBCPに関する研修会に参加していただき、BCPの概要から具体的な作成方法まで、講義と演習を交えて学んでいただきました。
今後は策定済みの病院と未策定の病院との情報交換会を開催いたします。
引き続きBCPの必要性を丁寧に伝えるとともに、策定上の課題については具体的に御相談に応じ、全ての災害拠点病院がBCPを策定できるよう支援してまいります。
次に、一般病院のBCP策定に向けた県の対応についてです。
県では、熊本地震の教訓を踏まえ、平成28年6月に県内全ての病院に対し、国が作成した「BCPの考え方に基づいた病院災害対応計画作成の手引き」を示して、災害対策マニュアルの策定を要請いたしました。
県といたしましては、まず県内全ての病院におけるBCPの策定状況について定期的に調査するとともに、未策定の病院における課題の抽出を行ってまいります。
なお、議員お話しのとおり、現在国において、平成30年度を初年度とする第7次医療計画に係る検討会が開催されており、一般病院に対してもBCPを策定するよう働きかけていくとしております。
本県におきましても、平成30年度に向け示される国の指針や、診療報酬の改定の内容にもよりますが、次期地域保健医療計画の策定にあたり、一般病院におけるBCP策定を明記する方向で検討してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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