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ページ番号:80132

掲載日:2022年8月18日

平成28年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(神谷大輔議員)

ふるさと納税について

Q 神谷大輔議員(自民

一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されますが、ふるさと納税では、自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となり、生まれ育ったふるさとや応援したい自治体の力にもなれる制度です。
しかし、昨今では高額の返礼品欲しさに寄附がなされている傾向が顕著になってきています。自治体は税収増により、寄附者は返礼品がいただける、ウィンウィンの関係のようですが、実際は控除の減収部分の一定部分は地方交付税で措置されるので、国庫と寄附者の居住する自治体が払うことになり、本来であれば入るべき税収が削減される。埼玉県においても、市町村によって大きく明暗が分かれている状況です。
総務省の集計によると、ふるさと納税が導入された年のふるさと納税受入額は約81億円でしたが、平成27年度は約1,653億円になり、国民に親しまれたものになっております。しかし、調べてみると、民間業者への委託、あるいは民間業者の全国サイトの利活用等、返礼品の調達にかかる費用、ふるさと納税募集の広報にかかる費用などの経費で約792億円かかっているとのことです。
総務省は、ふるさと納税の3つの意義として、第一に、納税者が寄附を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。第三に、自治体が国民に取組をアピールすることで、ふるさと納税を呼び掛け、自治体間の競争が進むことを掲げています。
しかし、実際には寄附先を返礼品によって選択し、ふるさと納税にかかる多額の費用が民間へ流れている状況は、制度の趣旨として成り立っているものかと疑問に感じます。
総務省も、金銭類似性が高いもの(プリペイドカードや商品券)、資産性の高いもの(電子機器や貴金属、自転車等々)、高額又は寄附額に対して返礼割合の高いものをやめるように通達を出しているようですが、強制力はないとのことです。
しかし、税収が減っていく状況では、自治体としては参入せざるを得ません。制度自体を否定するものでもないですし、地元の特産物や歴史あるいは文化や伝統ある地元企業の特産品をPRしていく、知っていただくことは大変良いものと考えております。原点に立ち戻った制度の見直しを国に働き掛けるなど、県としてどのように対応していくのか、総務部長に御見解を伺います。
また、控除の計算も、ほかの一般的な寄附より有利な状況を踏まえると、ふるさと納税制度を利用した自治体への寄附が優遇され拡大をされていくと、乳児院や児童養護施設などを経営する社会福祉法人やNPO法人などの寄附が減っていくものではないかと懸念もいたすところです。寄附控除の対象である弱い小さな団体が、少額の寄附を頼りに各地で自殺予防やDV被害者支援活動など地域活動を献身的に行っていただいておりますが、ふるさと納税により寄附が減ってくると死活問題でもあります。
さきに述べた総務省の集計によると、ふるさと納税の額は、特に平成25年度から27年度にかけての伸びが大きく、146億円から1,653億円へと一気に11倍に増えています。この間、NPO法人に対する寄附の状況はどうだったのか、また、今後寄附を含めたNPO法人の資金調達についてどのように支援をされていくのか、県民生活部長にお伺いします。

A 飯島 寛 総務部長

ふるさと納税制度は平成20年度に創設され、寄附金控除の上限額の拡大や手続きの簡素化により、平成27年度に全国の寄附の合計額が大幅に増加いたしました。
その結果、税収をも上回るふるさと納税の寄附を受けた自治体がある一方で、寄附金控除により税収が大幅に減少した自治体もございます。
本県におきましては、平成27年度のふるさと納税の受入額が約2,000万円に対し、平成28年度課税における個人県民税寄附金控除額が約21億円であり、減収分については地方交付税措置があるものの大幅なマイナスとなっております。
議員御指摘のとおり、生まれ育ったふるさとや応援したい自治体を選んで寄附することが制度の趣旨ですが、一部の自治体では高価な返礼品が注目を集め、寄附先を選ぶ基準とされるような状況になっております。
このような問題について、全国知事会でも議論になっております。
返礼品の規模に一定の限度を設けた方が良いのではないかという意見がある一方で、ふるさと納税は発展途上の状況でありできるだけ良い方向に今は伸ばす時期ではないかという意見もございます。
このような意見を踏まえ、去る10月に全国知事会として、金銭類似性や資産性の高い返礼品は送らないようにするなど節度ある運用とすべきという内容を盛り込んだ提言を、国に対して行ったところでございます。
最近では、新聞などでふるさと納税制度の問題点が度々指摘されており、返礼品のあり方を見直す自治体も出てきておりますので、本県といたしましても、当面こうした動向を注視してまいります。
また、今以上に返礼品競争が過熱し、制度の趣旨を著しく歪めるような状況になった場合は、国に対して制度改正の要望を行う必要があると考えております。

A 稲葉尚子 県民生活部長

NPO法人に対する寄附の状況についてお答えを申し上げます。
県内のNPO法人から提出された事業報告書を見ますと、「受取寄付金」の欄に記載のある法人の割合は、平成25年度が41%、26年度は39%でした。
27年度はまだ提出期限が到来していない法人もありますが、11月末現在で40%となっております。
また、その額を足し上げた総額は、平成25年度が約7億円、26年度が約7億1,000万円で、27年度も横ばいとなる見通しです。
NPO法人に対する寄附が、ふるさと納税によって影響を受けている状況は、このように現在のところはうかがえませんが、議員お話のような懸念もございますので、引き続き推移を注視してまいります。
次に、寄附を含めたNPO法人の資金調達をどのように支援していくのかについてでございます。
NPO法人が幅広く資金を集めるためには、県民にその活動内容を理解していただくことが重要です。
そこで、県のNPO情報ポータルサイトを通じて、各法人が活動内容のPRを行うことができるようにするとともに、自ら情報発信できるよう法人独自のホームページ作成も支援しています。
また、県内の8金融機関と協定を締結し、取扱支店の増加や小口融資の創設などNPO法人への融資の充実を図っていただいております。
8金融機関による平成27年度の融資実績は、125件、約12億円に上っています。
これらのほか、インターネットを活用した新たな資金調達手法であるクラウドファンディングについて、運営会社と協定を締結し、通常20%の手数料を15%に割り引くことにより、活用を促進しています。
これまでに、女性の活躍を支援する場所としての空き家再生プロジェクトなど8件が実施されています。
引き続き、企業等と連携しながら時代に合った支援メニューを提供し、NPO法人の資金調達を後押ししてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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