トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(武内政文議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 武内政文議員(自民)
昨年6月に小児医療センターの診療報酬請求漏れにより、約2,900万円の損失を県に生じさせた職員の不祥事がありました。これを受け県の監査委員が監査を実施し、再発防止策を設けたにもかかわらず、小児医療センターにおいて再発防止策の実施が不十分であること、また、長期未処理案件が他の県立病院にも存在することなどが指摘されました。これに対して県は、個人の責任として損失補てんを職員の募金により補てんしようとし、組織のガバナンスの欠如を認めようとしませんでした。そのため、県議会において県立病院の組織及び経営の健全化を求める決議を行ったわけであります。
このような会計上の損失以外にも、最近の県の事例を見ますと、多種多様な不祥事案件が見受けられます。一例を挙げますと、病院や学校の職員が個人情報の入ったUSBメモリや預かった書類を紛失、医療給付手続書類の紛失、合格証書を誤った住所に送付、試験の正答が試験開始1時間半前にホームページで閲覧可能になるなど、こういうものがあります。今のところ、具体的な損失や被害は出ていないようでありますが、これらは大きな問題に発展する可能性もあります。こうした責任は職員個人に帰するだけでなく、こうした不祥事が起こらないようチェックの仕組みや監督の仕方など、県の組織として適正なガバナンスがされていないことに問題があると考えます。
昨年施行された地方自治法の一部改正によりまして、知事は、2020年4月まで、すなわち来年度中に内部統制の方針を定め、必要な体制の整備と評価報告書を議会に報告することが義務付けられました。県は、他県の状況を見て取り組むのではなく、それこそ他県のモデルになるようなものを策定すべきと考えます。なぜなら、内部統制の基本は職員の意識の在り方であり、国の指針などを待たずに、自分たちで考えて作ろうという姿勢こそ、しっかりした内部統制を確立する第一歩であると考えます。
そこで、本県の現在の検討状況はどうなっているのか。特に、財務や仕事上のミスを気付かせ、又は予防するような実効性のある仕組みづくりと不断の職員への意識付けをどのように行うのか、お伺いいたします。
併せて、今回の法改正により、本県の内部統制に関して何がどう変わり、どのようなことが期待できるのか、企画財政部長にお伺いいたします。
また、この3年間の事例を見ますと、高校や特別支援学校などにおいて個人情報の入ったメモリの紛失、盗難、解答用紙などの盗難が目立ちます。県では、個人情報の入った電磁的記録媒体や生徒の答案用紙などを学校や県の施設外に持ち出すことは原則禁止となっているはずですが、なぜこうした情報の紛失が起こるのか。また、未然防止のための組織的なチェック、管理体制の強化が必要と考えますが、総務部長並びに教育長の考えをお伺いいたします。
A 砂川裕紀 企画財政部長
まず、実効性のある仕組み作りと職員への意識付けをどう行うのかについてでございます。
現在、県では財務事務や文書事務、情報管理など日々の事務処理の中でリスク管理を行っております。
例えば、財務事務では会計管理者による執行状況の検査や、支出誤りを防止するため各課に出納員と経理員を配置して二重に確認しております。
また、情報管理では情報漏洩を防ぐためにUSBメモリが使用できるパソコンを制限したり、情報システム課職員が稼働しているシステムのセキュリティ対策に問題がないか定期的に審査をしております。
今後は、ヒューマンエラーをICT技術を活用したシステムなどでカバーする仕組みを取り入れてまいります。
例えば、メールを一斉送信する際に他人のアドレスを誤表示させてしまうミスを防止するため、送信するアドレスを自動的に隠してしまうシステムを導入します。
また、効率的で正確な給与事務を行うため、手当の申請がされていない職員への督促メールを自動的に送信するソフトウェアロボットの運用も予定しております。
ICT技術やソフトウェアロボットの活用は、職員の提案から始まったものです。
日々担当する業務についての質的向上を図り、また、正確な事務処理を目指すという職員の意識の表れです。
このような仕組みをしっかり活用し、職員一人ひとりがリスク管理の意識を向上させるよう取り組んでまいります。
次に、地方自治法改正により県の内部統制がどのように変わり、どのようなことが期待されるのかについてでございます。
まずは、来年度に全庁的な「内部統制に関する方針」を策定し、その上で個々の基本方針に「横串を刺す」形でコンプライアンスの遵守、リスク管理の推進を図ります。
財務、文書、情報など事務ごとに作成していたマニュアルについては、分野の壁を取り払い、例えば個人情報漏洩や書類の確認ミスなど、共通するリスク対策のための統一的なものとしてまいります。
また、内部統制をPDCAサイクルで運用することにより、非効率な事務執行やリスクの種類、傾向などが「見える化」され、職員の意識向上が期待できます。
さらに、評価結果は報告書として監査委員の審査を経て県議会に提出するため、内部統制の状況が外部の目で二重三重にチェックされます。
新たな制度の下、しっかりと内部統制を行うことで、引き続き県民サービスの向上や業務の効率化を図り、県行政に対する信頼向上に努めてまいります。
A 高柳三郎 総務部長
まず、なぜこうした情報の紛失が起こるのかについてお答えを申し上げます。
これまでも、再三情報管理の重要性について周知徹底を図ってきたところですが、一部ではございますが、情報管理に対する認識の甘い職員がいたということであると認識してございます。
次に、情報紛失の未然防止のための方策についてお答えを申し上げます。
知事部局においては、重要情報が記録された電磁的記録媒体や文書の職場外への持ち出しを真にやむを得ない場合に限定してございます。
そして、これらを持ち出す場合には、所定の台帳に持ち出し先や理由などを記載させ、所属長が確認することとしてございます。
情報の適正な管理のためには、全職員がこうしたルールを確実に守ることが重要です。
そのためには、まず、管理職員がリーダーシップを発揮し、職員一人ひとりに情報管理の重要性と情報の取扱いルールを徹底する必要がございます。
また、各課所において実施している自己点検を更に徹底し、組織として未然防止に努める必要があります。
そこで、各種研修などのあらゆる機会を通じて管理職員に取組の強化を促すとともに、各課所に出向いて行う実地検査の際に、ルールの遵守状況を重点的に確認してまいります。
こうした取組を繰り返し、繰り返し行い、情報管理の重要性について職員一人ひとりに対する認識付けを徹底してまいります。
A 小松弥生 教育長
まず、「なぜ、情報の紛失が起こるのか」についてでございます。
県立学校では、県の定める情報セキュリティポリシーや、重要な文書等の管理に係る基準に基づき、保有する個人情報の学校外への持ち出しは原則禁止としております。
また、職務上やむを得ず外部に持ち出す場合には、所定の管理台帳に文書の名称や持ち出す理由などを記載し、必ず校長の承認を得ることや、持ち出し中は手元から離さないことなどが決められております。
このようなルールを設けておりますが、教職員の持ち出し中の管理の甘さなどが情報の紛失につながっているのではないかと考えております。
次に、「未然防止のための組織的なチェック、管理体制の強化」についてでございます。
個人情報の紛失を未然に防止するためには、可能な限り業務を効率的に行い、学校内で完了させて、学校外に持ち出さないようにすることが最善の対応策です。
しかしながら、やむを得ず情報を持ち出す場合は、持ち出す際の手続きの遵守や、持ち出し中の厳重な管理が重要となります。
このため、教育局で作成している学校向けの研修資料を用いた校内研修を充実するとともに、自己点検や職員会議でのさらなる意識啓発を徹底してまいります。
今後とも、適切な情報の取扱いについて、校長会議などあらゆる機会を捉えて繰り返し指導を行い、情報管理体制の強化に努めてまいります。
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