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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

公共交通ネットワークのあり方について

Q   吉良英敏議員(自民)

免許返納の話がございましたが、問題は返納をした後です。都市部は様々な交通ネットワークがあり、不便は少ないかもしれませんが、農村部は違います。1人1台の時代となった現在、問題は、車を運転できなくなった後の高齢者の足であります。免許返納を促すのであれば、その後、安心して生活を営むための公共交通ネットワークの仕組みを作らなければなりません。
私の地元では、自治体によってコミュニティバスあるいはデマンドバス、対応は様々です。しかし、小中規模の自治体では市町村をまたがって生活圏が構成されているため、病院一つをとっても、あるいは駅の移動さえも、自治体内のみの交通ネットワークでは限界と不便さが浮き彫りになっています。これらは、地域公共交通会議のように各市町村が民間や地域と調整をしながら取り組むことでありますが、市町村をまたぐとなると広域での調整が必要であり、その仕組みづくりは急務であると考えます。先日の山根議員の質問にもあったとおり、県は先進事例の情報提供をしていく、そういう答弁もございましたが、地域によっては本格的に深刻になる高齢者の足の問題について、地域格差の想定も含めて、その認識を企画財政部長に伺います。
さらに、今後10年後から20年後先を見据えた、私は中長期のビジョンを考えることも必要だと思います。皆さん、ウーバーは御存じでしょうか。いわゆる白タクで、一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みです。必要なものはスマホだけ。以前、アメリカで何度か利用しましたが、とても便利で感動しました。決定的なメリットが幾つかあります。
まず、運転手と金額や行き先などの面倒なやりとりはありません。その場での現金の授受もありません。そして、待ち時間もほとんどない。近くに登録しているウーバーがいれば、スマホで予約して数分後には来ます。さらに、安い。チップを除けばタクシーの半額に近いです。そして、何よりも運転手と乗客、互いの信用度まで事前に把握できるので安心です。もちろん様々な規制はあるかと思いますが、アメリカではごく普通に稼働しています。県としても調査研究をしていくべきと考えます。
またさらに、先日、山根議員の質問にもありましたが、私の地元にはスケボーパークがあります。これは、地元の産業団地内に造ったスケボーパークです。直接質問とは関係ありませんが、せっかくですのでお見せします。産業団地内にストリート系の若者が集まるという今までにない光景が広がります。これは、まだまだうまく使える既存の施設あるいはツール、こういったものがたくさんあるということだと思います。
例えば、産業団地内を朝夕走る企業のバスを日中は巡回バスとして利用するだとか、あるいは民間と連携し、タクシーチケット制をより効率的にするか、あるいはウーバーのような新しい仕組みを取り入れるだとか、こういった今後直面する高齢者の足の課題に対し、従来の調整、協力という程度ではなくて、深刻な地域によっては責任を持って県が調査研究をすべきと考えますが、企画財政部長の御所見を伺います。

A   砂川裕紀   企画財政部長

まず、高齢者の足の問題についての認識についてでございます。
本県において平成29年の高齢者の運転免許自主返納者数は2万2,000人を超えており、今後高齢化が急速に進む中で、車を運転できなくなる高齢者はますます増加するものと見込んでおります。
こうしたことから、高齢者をはじめとした地域住民の買い物や通院など日常生活での移動手段の確保は、大変重要な課題と認識をしております。
この地域住民の日常生活の足の確保については、都市部や農村部などそれぞれ置かれた状況が異なり、まさに地域間の格差が生じるものと考えております。
そのため、地域の実情をよく把握している市町村が中心となって足の確保の対策が取られるべきと考えます。
市町村では地域公共交通会議などを設置し、関係者と協議をしながら、地域の実情に応じてコミュニティバスやデマンド交通などの手法を活用して公共交通の確保に取り組んでいます。
県としては、これらの会議に積極的に参加し、他の市町村における取組などの情報提供や運行区域の設定などの助言を行い、市町村を支援しております。
また、本県は面積の小さな市町村が多く、最寄駅が隣の市町となっている場合もあり、買い物や通院、あるいは通勤などのため近隣の市町村に移動することもございます。
このような場合については、地域公共交通会議のメンバーに近隣の市町村職員を加えることを助言し、複数市町村が連携して公共交通ネットワークが形成されるよう支援しているところでございます。
次に、高齢者の足の課題に対する調整・協力や調査・研究についてでございます。
市町村では地域の現状や課題を踏まえ、将来を見据えた公共交通ネットワークを形成するため、地域公共交通活性化再生法に基づく計画の策定に取り組んでおり、県も会議に参加をして協力しております。
また、県は市町村と協力して公共交通の充実のための具体的方策にも取り組んでおります。
例えば、県では「元気なバス需要創出モデル事業」として、路線バスの増便や延伸などにより、利便性の向上や利用者の増加に繋がる取組に対し市町村と協働してバス事業者に補助を行っております。
このモデル事業では、複数の市町村にまたがる路線バスの運行ルートを工業団地まで延伸する取組について、県が中心となって地元市やバス事業者との調整を行い、実現を図ったところでございます。
また、議員お話のウーバーの事例については、現行の法制度では安全面で問題があることから実施は困難ですが、ITを使った効率的な仕組みとして、白岡市ではデマンド交通の予約がスマートフォンで24時間可能なシステムを導入しております。
さらに、県では、平成28年度、29年度にかけて県内の公共交通の現状分析や問題を調査・研究し、地域公共交通の活性化に向けた方策を「地域の足の活性化検討調査報告書」としてまとめております。
検討に当たりましては、有識者、交通事業者、国や市町村などの行政機関を構成員とする検討会を設置するとともに、県内の3地域をモデルとして設定し、検討を行いました。
この報告書において、今後の方策として、総合病院や商業施設への移動に対応する広域的な改善や、コミュニティ交通の連携など高齢者の足の確保に資する公共交通の改善策などを紹介をしております。
県といたしましては、今後、こうした調査・研究の成果を活用して、市町村に対して計画の策定への助言や先進的な事例の情報提供などを行い、公共交通ネットワークの充実への取組を積極的に支援してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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