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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

補助金停止の理由について

Q   田並尚明議員(立憲・国民・無所属)

本県では、1982年から2009年まで同校への補助金が支給されておりましたが、2010年から補助金を停止しております。その理由として、学校の校地が整理回収機構、以後RCCと呼びます、から仮差押えを受けており、その解除に向けて和解成立に至っていないということでした。その後、2012年に県議会において拉致問題が解決されるまで予算の執行を留保すべきという附帯決議も付きました。このような補助金停止問題に対し、2015年に埼玉弁護士会は埼玉朝鮮学校からの人権救済申立てを受け、調査検討した結果、本県に対し警告を出しました。また、その前年の2014年には国連人種差別撤廃委員会の対日審査において、自治体による補助金停止の動きに懸念が表明され、その是正を求める勧告が出されております。
しかし、これらの勧告も法的拘束力はないとのことで、朝鮮学校への補助金停止は現在も続いております。
もちろん、拉致問題については絶対許されるものではありませんし、1日も早く拉致被害者の皆様の全員帰国と問題の解決を私も強く祈っております。しかし、私は国同士の問題に子供が巻き込まれていることに強い憤りを感じております。
なぜなら、いつの世も戦争や紛争、国家間の問題等に直面した時、その犠牲になるのは子供や弱い立場にある人たちで、そういう犠牲を減らすため、様々な条約が国家間で結ばれてきたという歴史がある中で、今なお日本において、さらにはこの埼玉県において国家間の犠牲になっている子供たちがいるという事実があるからです。
私は、空手の修行の中や、いろいろな方との出会いの中で、私はまだそこまで至ってはおりませんが、本当の強さは優しさということを学びました。また、議員として弱い立場の人たちに手を差し伸べるのが政治の重要な役割の一つなのではないかとも思っております。子供も守ってあげられない政治が本当に良いのでしょうか。本当の強い国なんでしょうか。そのような政治は、私には弱い者いじめにしか感じられません。
私は、国同士の解決しなければならない問題はたくさんあるかもしれませんが、朝鮮学校に対する補助金は復活させるべきと思います。そして、そのことが国同士の問題解決にもつながっていくのではないかとも考えております。日本は、国同士の問題はあっても、日本に住むその子供たちはしっかり守ってあげる国なんだと世界の国々から思われるような、本当の強い意味での強い国になってもらいたいと強く願っております。
そこで、まず補助金停止の理由について、財政健全化の内容について質問させていただきます。
朝鮮学校に対しての補助金停止の理由について、もともとはRCCからの仮差押えに対し、和解が成立しておらず、経営の健全性が確認されていないということでした。学事課からは、学校当事者や関係者にRCCの問題さえ解決すれば、1日も早く支給をしたい旨の話が何度もなされたとのことでした。このことは、その後、RCCへの返済が済み、仮差押えは解除されました。
すると、今度はRCCに返済するのに借入金があるとの理由で、支給は再開はされませんでした。ちなみに、県下で借金がある学校は朝鮮学校だけではありませんが、借金が理由で補助金の支給が止められているのは朝鮮学校だけです。
その後、借入金も返済が済みましたが、今度は2014年度決算が問題になり、そのことも確認、修正が行われ、県の担当者からは決算はほぼ改善された、固まったと電話で言われましたが、支給はもちろん附帯決議も付いたこともあり、再開されませんでした。
現在は、RCCの返済における借入金の返済のため、売却した幼稚園の解体工事と移転費用、東日本大震災で生じた亀裂、陥没箇所や老朽化した校舎の耐震工事、補修工事、古くなった備品の入れ替え時に学校の予算が少なく、見かねたOBや保護者、関係者、以後、実会、実行委員会と呼びます、が寄附を集め、学校からの予算と合わせて、それらの事業を行ったときの会計処理に疑問があると指摘を受けているとのことです。
これらの経緯を受けて、まず以下3つ、総務部長にお伺いいたします。
1、財政の健全化と学事課は指摘しております。もともとは、RCCの問題が解決すれば補助金を支給すると県は説明されましたが、それが解決されると次に2014年度決算、またそれが解決すると、今度は実行委員会の会計と、問題が解決されるたびに次々と新たな指摘がされております。
実行委員会の会計については、確かに学校側の予算と実行委員会が集めた寄附の会計が一部まざったように見受けられる部分もありますが、そもそも補助金が停止され、財政が苦しい中、校舎を見たOBや保護者、関係者の皆様が子供たちがかわいそうだから何とかしてあげたい、皆でお金を集めようとのことで寄附を集めるために善意で立ち上がった実行委員会です。もちろん、だからといってどんぶり勘定で良いとは言いませんが、このことに関しても予算の差額や領収書の日付等、学事課の指摘には学校から丁寧に説明がされています。学事課の言う財務の健全化というのは何の法律を基に、何が改善されれば健全化がなったとされるのか、お教えください。
2、また県の現地確認についても、その必要書類として善意の任意団体である実行委員会の組織図や名簿の資料がなぜ必要なのか疑問です。学事課と学校とのやりとりの記録を読み込んでいくと、問題は学校と実行委員会の会計が重なってしまった部分の説明と領収書の日付、実行委員会の残金の学校側への寄附の確認かと思われます。それも学校から説明済みですが、それでも学事課の要求する資料を準備したにも関わらず、いまだ現地確認がされていないのはなぜなのか。私は、県側が疑問を持っているのなら、予断を持たず早急に調査すべきと考えますが、県はいつまでに調査に入る予定なのかお聞かせください。
3番、最後に財政健全化とは違いますが、2017年7月の学校からの要望書に対する学事課の回答書の中で、「人権諸条約の勧告、審査等については法的拘束力がないものと考えています」とありますが、日本国憲法第98条は日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とするとあり、優位は法律より上になりますが、県は何をもって法的拘束力がないと回答されたのか、その根拠をお示しください。
なお、1994年に日本も条約を結んだ子ども権利条約があり、第2条に差別の禁止、第28条に教育についての権利がうたわれております。県はこの条約を遵守していると言えるのでしょうか、併せてお答えください。
以上、学校と学事課のやりとりを見ていくと、県が難癖を付けているように感じてしまいます。そうではないと思えるような明確な答弁をお願いいたします。

A   高柳三郎   総務部長

まず、何が改善されれば財務の健全化が成るのか、現地確認しない理由等についてのお尋ねでございます。
これらのお尋ねは埼玉朝鮮学園の財務に関するものですので、一括して答弁申し上げます。
私立学校運営費補助金は、私立学校の健全な発展に資するため、予算の範囲内において、一定の条件のもとに交付しているものでございます。
運営費補助金を受けている法人は、国が定める学校法人会計基準に従い、会計処理を行い、財務計算書類を作成しなければならないとしています。
この会計基準では、財政及び経営の状況について真実な内容を表示することなどの会計原則に従い、会計処理などを行うとされています。
学園においては、過年度に行った工事等について、契約内容や法人の意思決定過程などに不明な点がございます。
また、工事の多くに関わった学園外部の組織の会計と学園の会計とを混同している部分があるなど、会計処理上問題があると考えております。
経理その他の事務処理が適正を欠いていることは、運営費補助金交付要綱に定める減額等の事由に該当いたします。
現在も学園との間で、契約内容や会計処理などにおける不明点などについて確認作業を進めておりますが、全ての解明には至っておりません。
今回、会計書類などに係る学園とのやりとりや今後のスケジュールなど、確認作業に関する個別具体的なお尋ねもいただいております。
それらは、個別の法人の財務会計に係る内容であり、確認中のものでもございますので、詳細な説明は控えさせていただきたいと存じます。
本件については引き続き、学園の協力を仰ぎながら、しっかりと確認作業を進めてまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、人権諸条約の勧告・審査等の法的拘束力について、また、子どもの権利条約を遵守しているのかとのお尋ねでございます。
平成26年9月に示された人種差別撤廃委員会の最終見解では、朝鮮学校の補助金の停止等について懸念が示されております。
こうした人権諸条約に基づく見解等は、条約そのものではなく、性質的には勧告であり、法的拘束力はないものと認識しております。
また、子どもの権利条約には、差別の禁止、教育についての権利の条項がございます。
しかしながら、これらの条項から、直ちに補助金の交付を求めることができる具体的な権利が発生するものではないと考えております。
さらに、学園の補助金の不交付は、学園の財務上の問題や県議会からの附帯決議、朝鮮総連との関係性への懸念を判断してのものでございます。
学園への補助金の不交付には合理的な理由があると考えており、補助金の不交付が不当な差別であるとは考えておりません。

再Q   田並尚明議員(立憲・国民・無所属)

私も議員でありますから、附帯決議は甘く、軽くは思っておりませんが、ただ行政が業務上やっていくうちの解釈で、確かに条約機関が出している勧告というのは解釈方針であることから、その言葉自体に法的拘束力はありませんが、日本国憲法98条第2項に照らし合わせますと、条約を締結し公布した時点で国内的拘束力があり、法的拘束力がありますということは、条約を遵守していない時点で憲法違反、法律違反を犯しているということになります。そういった意味で、勧告は法的拘束力は持たないというこの議論は、国際法上は全く通用しない発言であると思われます。ですから、もう1回聞きますが、これはあくまでもこのことによって補助金をどうこうじゃなくてですね、業務をしていく上での行政としての解釈として、県は何をもって法的拘束力がないと回答されたのか、もう一度お伺いいたします。
そして、もちろん附帯決議、先ほども申し上げましたが、大切でございますし、総連との関係とかもいろいろあるとは思いますけれども、財務上の問題をやる上で何が問題になるかというのは、そこはそこを予断なく早く学校とやっていただきたいなと思っています。

再A   高柳三郎   総務部長

議員御指摘のとおり、条約につきましては、批准等の手続を行えば、法的拘束力が生じるものと考えております。法的な効力も発生すると考えてございます。
しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、批准した条約の条項から、直ちに補助金の交付を求めることができるという、具体的な権利が発生するものではないと考えてございます。

 

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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