トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(細田善則議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 細田善則議員(自民)
生殖補助医療とは、体外受精や代理懐胎など近年の医療技術の進歩によって確立された新たな不妊治療法を指します。一部の大学病院でしかできなかった研究段階から、機器や薬剤も一般化し始めてきています。
しかしながら、生命倫理の観点から、どれまで生命の営みに技術が介入してよいのかという議論があるセンシティブな問題であります。
例えば、非配偶者間つまり夫婦以外の体外受精について、厚生労働省厚生科学審議会生殖補助医療部会、また日本生殖医学会は容認する方向である一方、日本産科婦人科学会、日本弁護士連合会などは否認の方向性ということで、国内でも議論が分かれております。
妻以外の第三者の子宮で妊娠、出産をしてもらうという代理懐胎については、現在は、ほとんどの学会から慎重また否定的な意見表明がされております。代理懐胎については、貧困ビジネス化を防ぐために第三者に費用を払って依頼する商業的代理出産と、親族などが引き受ける非商業的代理出産によって区別をするべきだというような様々な論点もございますが、まだまだ議論が収束する様子はございません。
不妊で悩んでいる方々がそういった議論、そして制度の遅れに巻き込まれ、戸籍や親権の取扱いで裁判となり、翻弄されております。妊娠、出産の悩みを受け止める役割がある埼玉県として、国へ早期の法整備等々を求める必要があると思いますが、生殖補助医療について、県としての考え方を保健医療部長にお伺いをいたします。
A 本多麻夫 保健医療部長
県では、妊娠、出産などの悩みを受け止め支援を行うための相談窓口を開設するほか、不妊や不育症の検査費や治療費に対して助成を行っています。
子供を授かることができない原因には、治療法がはっきりしているものから、原因が不明なもの、治療が困難なもの、代理懐胎のように医学技術が進歩しても社会的・倫理的には判断が困難なものまで様々ございます。
生殖補助医療の進歩により代理懐胎による出産は技術的には可能であり、国内でも実例がございます。
一方、生まれた子供の親権については、最高裁の判例はあるものの法整備がなされておらず、養育環境が不安定となっています。
海外では生まれた子供に障害があったため、依頼人が引き取りを拒否するといった事例が生じるなど、子供の福祉の観点から整理すべき課題も多くあります。
このほか、代理母となる第三者が、妊娠、出産といった生命の危険にさらされる可能性のある役割を担うといった健康リスク上の問題もあります。
こうしたことを踏まえ、厚生科学審議会生殖補助医療部会や関係学会はいずれも代理懐胎については否定的な立場をとっています。
代理懐胎には、社会的、倫理的、法律的な要素といった多岐にわたる問題が残されており、その是非については広く社会の合意が必要ではないかと考えております。
現段階におきましては、国において更なる議論が尽くされるよう見守っていく必要があると考えており、御理解を賜りたいと存じます。
再Q 細田善則議員(自民)
非常にセンシティブな内容ですので、国を見守りという表現は非常に理解できるんですが、先ほど県民の相談を受け付けているということがございました。例えば、代理懐胎について県が受け止めた悩みや意見を取りまとめて、しっかりと国へ届けていただきたいと思いますが、再答弁をお願いいたします。
再A 本多麻夫 保健医療部長
お話のとおり、県では悩みを受け止めるために相談窓口を開設しております。
今のところ、代理懐胎についての御相談はございませんけれども、こうした問題も含めて、しっかり御相談をお受けして、県民の方々にどのような悩みがあるかを把握すると同時に、こうした御相談の結果を踏まえて、国の要望については考えてまいりたいと思います。
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