トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (新井 豪議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 新井 豪議員(自民)
およそ2か月前の1月18日、関東甲信の広い範囲で大雪が降り、県北熊谷では15センチの積雪を記録し、秩父地域では34センチの積雪となり、道路の交通障害をはじめ秩父鉄道や西武鉄道が一時不通となりました。農家においては、イチゴや野菜などのビニールハウス43棟が倒壊する被害があり、また、秩父市内の小中学校21校全校が臨時休校となるなど市民生活に大きな影響をもたらしました。
2年前のあの大雪をほうふつとさせましたが、地域の幹線道路においては行政による迅速な対応と業者による夜を徹しての除雪作業によって、前回のような山間部の集落や世帯の孤立状態の発生を防ぐことができました。不眠不休で対応に当たられました秩父県土整備事務所及び土木建設業者の皆様に改めて感謝申し上げます。
2年前の大雪と比べ孤立世帯もなく、積雪も3分の1程度であり、市民の生活は比較的早く通常に戻りましたが、市内、とりわけ市街地の交通渋滞は数日にわたって続き、電話やメール、又はSNSなどの書き込みによって私に寄せられた1日当たりの苦情の件数は前回を上回るものでありました。
ノーマルタイヤの大型車などがスリップ事故を起こし、国県道が長時間にわたって通行不能になった事象が数度発生し、人によっては熊谷から秩父への帰宅に8時間以上要するという事態も起こりました。また、雪を掃き捨てる場所に乏しく、交通量の多い市街地は除雪作業が遅れ、除雪が進んだ山間部と比較され、なぜ市街地は除雪されないんだ、地域によって除雪に格差があるのは行政の対応がなっていないのが原因だというたぐいの苦情が最も多く寄せられたのであります。こうした多くの不満によって、「除雪は順調に進んでいます」と安易に書き込んだ秩父市長のSNSが、批判によって大炎上するという事態も起こりました。
一方で、秩父市役所、県土整備事務所、新井豪事務所に共通して多く寄せられたのは、地域全体で除雪がどの程度進んでいるのかという問合せであります。
苦情が多い半面、多くの住民が行政の対応にある程度理解しているものと感じておりますが、ただ一つ、大きな不満があるのは、情報が共有されていないということに尽きるのであります。自動車で通勤される方、とりわけスノータイヤの準備ができなかった方は、自分が通行する道路の除雪が進んで通行可能なのかどうかという情報を求めております。当時、秩父県土整備事務所では、大滝地域をはじめ国県道におけるトンネルや峠付近など計6か所の定点カメラの映像をネットで公開しており、この道路を利用する住民にとっては非常に有益な情報になったと聞いております。
このたびの大雪の反省点として、除雪作業や指示の効率化はさることながら、情報の共有が大きな課題であり、住民の皆さんが最も必要としているものなのであります。2年前の大雪、そして今回の大雪の経験や反省点を踏まえ、今後の大雪・除雪への対応について危機管理防災部長及び県土整備部長に、まずその所見をお伺いいたします。
また、この情報共有に関して提案があります。今回非常に有効だった定点カメラ映像の公開ですが、住民の皆さんがより必要としたのは、市街地の路面や渋滞の状況であります。現在の山間部の6か所に加え、市街地内へのカメラの増設とその映像公開が必要であると考えます。また、今回最も問合せが多く必要とされた情報は、除雪の進行状況であります。
このような需要に対して、福島県の喜多方市や群馬県のみなかみ町では除雪管理システムという画期的なシステムを取り入れ、住民に情報を発信しております。除雪を行う業者にGPS機能付き携帯端末を貸与して、全ての重機の運転者にそれを持たせます。そのGPSデータによって、一つの画面に移された地図上に全ての除雪重機の運行状況がリアルタイムで表示されます。これによって稼働している全ての重機の数とその現在地、除雪が済んだ道路などを一括して管理でき、住民の皆さんにお知らせすることができるのであります。さらに、それぞれの走行距離と時間がデータ管理できるので、業者に支払うべき委託料も簡便に、そして公平に算出されるというメリットもあります。
定点カメラの増設、そしてこの除雪管理システムについて、今後の導入の御検討について、併せて県土整備部長にお伺いいたします。
A 小島敏幸 危機管理防災部長
2年前の大雪では、これまでにない積雪により、秩父地域などで孤立集落が発生するなど、県民生活に大きな影響が出ました。
これを教訓とし、県では大雪庁内検証委員会を設け、初動体制の確立、市町村との情報共有など多方面からの検討を行いました。
その検討結果を受け、県、市町村や県民ごとにその役割を明らかにし、平成26年12月に改正した地域防災計画に、新たに雪害対策編として各種の取組を明示いたしました。
また、降雪シーズン前の昨年12月3日には、県、市町村、ライフライン事業者などで構成する「大雪に関する埼玉県連絡会議」を開催し、対応を再確認し、意思統一を図ったところです。
今回1月の降雪では必要な取組が一定程度実施できたと考えております。
例えば、初動体制については、1月17日の大雪注意報発表と同時に危機管理防災センターに情報連絡室を設置し、災害対応を実施しました。
また救助案件や救援物資の要請に備えるため、秩父消防本部に依頼し、秩父聖地公園に臨時ヘリポートを確保し、さらに埼玉県南西部消防本部の協力を得て、積雪量の少ない新座防災基地を開設しました。
市町村との情報共有については、熊谷地方気象台から入手した気象情報を、雪の降り始める前から秩父地域の市町に提供するなどし、認識の共有を図りました。
大雪に対して県民の皆さんが適切な行動を取ることができるようにするためには、適時の情報提供や地域の御協力を求めるなど、ソフト面の取組を充実する必要がございます。
このため秩父地域では秩父地域振興センターが中心となり、降雪後の2月4日に県、関係市町、警察、消防を構成員とする「風水害・雪害対策秩父地域会議」を開催し、より効果的な対策について検討を行いました。
具体的には、定期的な除雪情報の提供や冬用タイヤ装着の啓発強化などの対策を、関係機関が連携して講じていくことといたしました。
今後も県、市町村と住民の皆さんがどう連携し課題を克服するかを真剣に議論し、力を合わせて大雪をはじめとした災害への対応を進めてまいります。
A 浅井義明 県土整備部長
まず、今後の大雪・除雪への対応についてでございます。
2年前の大雪で道路機能の確保が課題となったことから、現場の機動力を更に充実させるため、各県土整備事務所に国、県、市町村、警察、建設事業者等を構成員とした除雪連絡協議会を設置し、連絡体制の充実を図るとともに、優先的に除雪する道路を選定いたしました。
今回の大雪では、この連絡体制を生かして速やかに除雪の初動体制に入ることができましたが、秩父県土整備事務所では、秩父市内の国道140号や国道299号の一部区間において、作業の完了に時間を要しました。
原因は、一般車両のスリップ事故が複数発生し渋滞が起きたことや圧雪され氷のようになった雪の除去に難航したことでございました。
対策といたしまして、今後は思い切って一時通行止めにして作業を集中的に行うなど、効率的な除雪に取り組んでまいります。
このほか、事務所に膨大な数の除雪状況に関する苦情や問い合わせが集中し、円滑な情報提供ができなかった点が反省されます。
これを踏まえ、秩父県土整備事務所では、主要な道路の作業状況をホームページに公開し、県民の皆様にお知らせするとともに、作業への御理解と御協力をお願いすることにいたしました。
また、市や町と連携し、住民に対して防災行政無線やメールを用い、作業状況や交通規制をお知らせすることも検討しております。
次に、定点カメラの増設、除雪管理システムの導入の検討についてでございます。
御質問の定点カメラにつきましては、平成27年11月に増設し、6箇所の画像をホームページで公開しております。
道路利用者の路面状況の把握に役立つことから、今後も順次カメラを増設し、画像を公開してまいります。
また、除雪管理システムについてですが、導入した地域は冬季に恒常的に積雪のある地域でございます。
除雪活動の規模や回数が埼玉県とは大きく違いますので、除雪管理システム導入につきましては、今後、調査研究し、必要性について検討してまいります。
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