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掲載日:2023年5月16日

平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(小久保憲一議員)

県産木材の利活用と森林認証について

Q 小久保憲一議員(自民

2020年、東京オリンピック・パラリンピックの開催を4年後に控え、メインスタジアムとなる新国立競技場の整備計画が決定し、本格的な準備作業がスタートいたしました。施設整備の提案に当たっては、我が国の優れた伝統や文化を世界中に発信し、内外に広く長く愛される場となるよう、環境や景観と調和し、日本らしさを取り入れること、そのために木材の活用を図ることとされ、スタジアムの大屋根に木材を活用した森のスタジアムが採用されたことは御承知のとおりであります。
ときがわ町、関口定男町長が提唱する「ときがわ方式」として全国的にも知られる、私の地元はもとより首都圏に位置する本県にとって県産木材の利用をアピールする絶好のチャンスと歓迎するものであります。近年開催のオリンピック・パラリンピックでは、そうした木材の活用に当たり、生物多様性の保全や持続可能な森林経営が行われ、森林管理が認証された木材や加工、流通過程が管理され、認証されている製品、いわゆる森林認証木材の使用が慣例になりつつあります。2016年のリオデジャネイロ大会では、全ての木材が森林認証材で調達されることになりました。
こうした背景の中、本県の森林認証への取組や県産木材利用への有効な対策について農林部長にお伺いをいたします。
また、木材の利用促進には構造材としての利用拡大が不可欠です。木材を構造材として利用する場合、集成材の製造が必要になりますが、集成材は狂いや割れが少なく、品質が安定しており、設計の自由度が増すことから用途が広がり、木材の利用拡大が期待されます。もし県内に大型の集成材工場があれば、本県だけでなく近県で生産される木材までも集成材に加工できます。本県は、民間住宅などの木材需要が大きく、交通の要衝でもあり、首都圏の大規模建築の拠点として期待されます。
木材の集成材工場の県内開設については、一昨年の12月定例会においても質問いたしましたところ、農林部長からは、今後市場の調査や事業体の運営方法、見通しなどを検討しながら集成材工場設置について県としてどのようなことができるか検討してまいりますとの答弁をいただきました。その後の集成材工場設置の可能性について農林部長にお伺いをいたします。
次に、木材利用による山村地域の活性化についてお伺いをいたします。
昨年11月、フランス・パリで気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催されました。温室効果ガス削減と石炭、石油、天然ガスからクリーンエネルギーへの本格的シフトに向けたパリ協定が195か国の参加のもとに合意し、世界に向けて地球温暖化防止が発信されました。この協定における我が国の温室効果ガス削減目標は、2030年度までに2013年度比26パーセントとされました。この目標に向けて、更なる省エネや再生可能エネルギーの利用促進が求められています。
そこで、木材資源をエネルギーとして利活用する木質バイオマスへの取組が必要と考えます。木材は燃やしても大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えないカーボンニュートラルという特徴を有しています。化石燃料の代わりに木材を利用することで、二酸化炭素の排出抑制を可能にするわけです。特に、間伐で発生する地域の未利用木材をエネルギーとして利用することは、資源収集や運搬、施設の管理運営など、様々な産業と雇用が創出され、山村地域の活性化につながります。
かつて、私たちの親の世代までは、まきや炭を燃料として使用し、そこに産業や雇用が生まれていました。その後、高度経済成長やエネルギー革命により石油や天然ガスなどが主なエネルギー資源となり、まきや炭の利用は減少の一途をたどりました。
一方、ヨーロッパでは現在でもまきやペレットといった木質バイオマスの利用が生活に根付いています。その中でもオーストリアは日本同様、広い森林面積を有し、木材以外に燃料となる資源が少ない一方、高い技術力を持ち、再生可能エネルギーの先進国と言われています。オーストリアの木質バイオマス利用をはじめとする林業、木材産業は30万人の雇用を生んでいます。中でも、ギュッシング市では利用エネルギーを100パーセント再生可能エネルギーとし、牧草メタン発酵によるバイオガス発電や木質バイオマスを利用して需給し、地域経済に循環させることに成功しています。人口4,000人の市に地域循環のエネルギーを求めて企業50社が新たに進出し、雇用も生まれ、税収が3倍に増加しました。これはギュッシングモデルとして世界中から注目され、年数万人の視察があるほどです。木質バイオマスといった地域資源を活用し、産業を興し、その地域に利益を還元して雇用を安定させる、こうした仕組みをつくることは地球温暖化防止や地域創生に効果的であると考えます。
そこで、木質バイオマスの利用促進について、本県としてどのように取り組み、支援していくのか、農林部長にお伺いをいたします。 

A 河村 仁 農林部長

まず、「新国立競技場建設を契機とした県産木材の利用促進と森林認証について」でございます。
世界が注目する2020年東京オリンピック・パラリンピック会場で県産木材が使われれば、PRの絶好の機会になると考えております。
議員お話しのとおり、会場となる新国立競技場に利用される木材は、森林認証木材であることが条件になる見通しでございます。
その他の関連施設においても、過去のオリンピックの状況から木材が使われる場合は森林認証木材が条件になることが想定されます。
さらに、大手住宅メーカーでも環境保全の観点から優先的に森林認証木材を使用する動きがあり、今後、森林認証木材の需要増加が見込まれます。
森林認証には、森林管理の認証であるFM認証と、加工・流通過程の認証であるCOC認証の2種類がございます。
県内においては、COC認証を取得している事業体はあるものの、取得コストなどの問題からFM認証を取得している事業体はございません。
県産木材が森林認証木材と認められるためには、FM認証とCOC認証の両方が必要であることから、県では森林組合や製材工場などに対して、制度の周知を図ってまいりました。
平成28年度からは、森林認証を取得しようとする事業体に対し取得費用の支援を行うこととしております。
さらに、新国立競技場等の建設工事にどのような規格の木材が必要とされているのかなども早急に把握し、県産木材が活用されるよう必要な支援をしてまいります。
次に、「集成材工場開設の可能性について」でございます。
県では木材流通の市場調査や、森林・木材関係者に対する集成材工場など、事業の展開の可能性についての聞き取りを行っております。
本県は森林面積が全国41位と小さく、木材生産量が少ないため、そのほとんどが、そのまま柱や板として利用されております。
また、栃木や群馬の埼玉県に近い地域に、既に大手製材会社の集成材工場が稼働しており、新たに埼玉県内に大規模な集成材工場を設置するには、まとまった丸太の調達が可能かなどの課題がございます。
一方、木材関係者の中には、小規模でも集成材を使った新たな製品を製造したいと考えている方もおられます。
本県は木材の大消費地という強みがあることから、材料の調達や採算性の確保などを検討し、集成材工場設置の可能性について、さらに議論を深めていきたいと考えております。
県としては引き続き様々な関係者との意見交換を行い、具体的な計画となった段階で、国の補助制度を活用するなど、必要な支援をしてまいります。
次に、「木材利用による山村地域の活性化について」でございます。 
木質バイオマスは、製材工場で発生するものと伐採現場で発生するものがあります。
製材工場で発生する樹皮や端材は、県が支援した加工施設等で木質ペレットやチップ、おが粉として大部分が利用されております。
一方、伐採現場で発生する枝や曲り材は搬出経費がかかり、あまり利用されていませんでした。
そこで、平成27年度からは搬出経費を補助し、一定の長さ以上の木材は合板などに活用する取組を推進しています。
さらに、平成28年度からは短い木材をチップに製造し、パルプやバイオマス燃料などに活用する取組を支援してまいります。
今後とも、県では木質バイオマスの利用拡大を図り、森林所有者への利益還元や雇用の増加、山村地域の活性化に取り組んでまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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