埼玉県議会 県議会トップ画像

ここから本文です。

ページ番号:209916

掲載日:2021年12月28日

令和3年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(神尾高善議員)

県民を守る視点から - 農業を守る

Q   神尾高善 議員(自民)

次期の埼玉県5か年計画の中で、12ある針路にもうかる農業の推進とあり、もうかるというからにはコストを上回る収益がなければならないということであります。例えば、米の生産に要するコストについて、国では令和5年で全農地面積の現状5割を担い手に集積し、担い手の米の生産コストを平成23年、全国平均60キログラム、1万6,000円から4割削減、つまり9,600円を目標としております。
つまり、米価について60キログラム生産するのに最低9,600円かかるということでございます。今年の米価は最終的には市場の需給により決まりますが、各農協が在庫状況を見て概算金を設定しております。その概算金が60キログラム当たり1万2,000円から約8,000円まで下がっています。4,000円も下がっては、もうかるどころか、概算金の金額が国が目標とするコストよりも低く、コストすら賄えない。これでは農家の生活も成り立ちません。
農産物の価格変動への備えとして、収入保険の加入を進めていくことも考えられますが、幾ら経営努力しても恒常的に米価が下落する状態では農家のやる気も失い、担い手は安心して農業を営むことができないのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
今こそ市場に任せるという新自由主義的発想を改め、大きな政府による農業をはじめとする県産業の保護・育成を推進すべきであると考えます。これは新自由主義からの転換を目指した岸田政権の政策にも合致します。もうかる農業を掲げる県は、今回のような米価の下落に当たっては県単独で独自で農家の収入を補填するなど、農家を守る考えを知事に伺います。
さらに、施策53、強みを生かした収益力ある農業の確立の施策指標において、農家1戸当たり生産農業所得を上げておりますが、令和元年度は134万9,461円が令和8年度には182万2,000円に引き上げるというものであります。残念でたまりません。もうかる農業の推進を図りながら、農業経営の法人化を進めている中で、なぜ指標が兼業農家を含んだ数値目標としなければならないのか、県の農業に対する根幹を疑わなければなりません。実に寂しい思いをしました。農業政策の抜本的改革が必要であると考えます。
そして、この182万2,000円という金額目標、皆さんが聞いて農業生産農家として取り組んでいこうという意欲が湧きますか、疑問であります。1戸の農家の所得ですよ、1人の所得ではない。これでは意欲ある担い手の育成は難しいと思いますが、農業の担い手を増やし継続させていくための考えについて、知事に伺います。

A   大野元裕   知事

米価の下落に当たって県独自で農家の収入を補填するなど、農家を守る考えはあるかについてであります。
米農家の皆様は、県民への食料供給や県土の保全に重要な役割を果たされており、その経営が安心して守られるよう、県では、もうかる水田農業の実現に取り組んでおります。
米生産の収益力を高めるために、まずは生産コストの低減が重要であり、農地の集積・集約化や、省力栽培技術、スマート農業の普及に取り組んでいます。
また、新型コロナウイルス感染症の影響のみならず、米の需要は長期的な減少傾向にあり、主食用米以外で収益を確保できる作物への転換を通じて、需要に応じた生産を推進しています。
一方、販売の面においては、県産米のおいしさを消費者に伝え、将来にわたる安定的な販路を確保することが重要です。
このため、米価下落に対する県の独自対策として、11月から行っている「県産米緊急応援キャンペーン」や、今議会に補正予算案として提案させていただいた販売促進対策を進めてまいりたいと考えます。
その上で、農家の経営努力では避けられない収入減少へのセーフティネットとして、議員も御指摘がありました、収入保険などへの加入を推進するとともに、資金繰り対策としては日本政策金融公庫の制度融資などの活用を進めてまいります。
こうしたセーフティネット対策を推進しつつ、もうかる水田農業を目指し、生産・販売の両面からの取組を通じて、米農家の経営安定を図ってまいりました。
次に、農業の担い手を増やし、継続させていくための考えについてでございます。
意欲ある農業の担い手を確保し、経営を継続していくためには、農業の収益力を向上させることが重要です。
議員が指摘されました「農家1戸当たりの生産農業所得」は、5か年計画において、農業所得を表す指標として、平成29年度策定の現行計画から導入したものであり、専業・兼業にかかわらず、この指標を向上させていく必要があり、その考えから引き続き5か年計画案に位置付けています。
この指標は、生産・販売の拡大のみならずコスト削減など幅広い施策効果を反映でき、農家全体を対象とすることで、農家が減少する中でも農家ごとの収益力を高めていくという構造変化も捉えることができます。
また、本県農業の収益力を向上する上では、他の産業とそん色のない収入を上げられる農業者を増やし、まさに議員が御指摘になられました、農業に取り組む意欲を掻き立てられるようにしていくことが同時に重要だと思います。
このため、本年3月に策定した「埼玉県農林水産業振興基本計画」では、農産物の販売金額が1,000万円以上の農家に着目し、その全体に占める割合を指標の1つとして位置付け、これを拡大させることが大切だと考えております。
販売金額の大きな農業者を増やし、多くの方々が農業に魅力を感じ、新規就農の促進、農業経営の法人化、経営感覚に優れた農業者の育成をはじめ、幅広い施策を進めてまいります。
こうした施策を通じ、意欲ある農業の担い手の確保や、経営の継続を図り、5か年計画の指標のみならず、基本計画の指標についても目標達成を目指してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?