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掲載日:2021年12月28日

令和3年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(神尾高善議員)

県民を守る視点から - 財政を守る

Q   神尾高善 議員(自民)

私は昨年10月6日の一般質問において、将来を見据えた埼玉県独自の積極的投資、経済対策に関する質問をいたしました。GDPの戦後最大の落ち込み、コロナ禍、そして相次ぐ災害という国難、県難の中、知事が強力なリーダーシップにより埼玉版時局匡救事業(仮称)を実施すべきであるとの趣旨でありました。
知事の御答弁は、地方財政制度により地方交付税等で補填はあるが、構造的に人件費や公債費などの経常的な経費の負担割合が極めて高いため、経済対策などに振り向けられる財源は限られる中、時局匡救事業を県単独で実施することは困難というものでした。
さて、内閣府が11月に発表した令和2年度の実質GDPは4.4%減で、新型コロナウイルス感染症が経済に悪影響を及ぼしていることは周知の事実であります。知事、今このような状況だからこそ、強力なリーダーシップによって経済対策を実施し、将来の埼玉県を形づくる重要事業を推進すべきではありませんか。
どうも前上田知事は積極投資を怠り、県でコントロールできる県債残高の減縮という数値目標にこだわって、節約し過ぎたようであります。建設地方債は地方財政法に規定された制度で、世代間の財政負担の公平を図ることができるものであります。県民1人当たりの臨時財政対策債等を除いた県債残高は、令和2年度決算ベースでは約26万円で、借金の少ない順で全国4位であります。全国平均は約41万円ですから、全国の約半分であります。建設地方債を活用する余地は、まだまだあるのではないでしょうか。
岸田総理は、新しい資本主義の実現を目指し、成長と分配の好循環をコンセプトに、経済対策の成果を少子化対策や社会保障の充実などに分配して、個人所得の増加や消費の喚起など経済全体の好循環を狙っています。今こそ県民生活の安定と向上、そして経済の発展のために成長と分配の好循環を目標とし、複数年度にわたる持続的な積極的なハード及びソフト両面からの真の地方自治に基づく埼玉県独自の経済対策が必要と考えますが、知事の御見解をお伺いします。
次に、建設地方債といえども、活用すれば県債残高は膨れ上がります。県民からすれば、借金が増えることに不安を覚えるかもしれません。
埼玉県の借金が増えている大きな理由は、臨時財政対策債であります。臨時財政対策債は、埼玉県が国の肩代わりをして借金をしているものであります。令和3年度の埼玉県当初予算の概要によれば、臨時財政対策債の起債残高は1兆8,967億円で、約20年かけ積み上がっています。
また、総務省の令和4年度地方財政収支の仮試算によれば、全国の令和4年度の臨時財政対策債の見込み額は前年度より2.2兆円減少したものの、3.3兆円となっております。地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画立案や実施については、平成23年の国と地方の協議の場に関する法律により、国と地方の協議の場が定められています。
そこで、埼玉県が先導し全国知事会での議論を重ね、最終的にこの協議の場において、1つ、令和4年度以降の臨時財政対策債の発行を廃止すること、2つ、地方の一般財源総額を実質的に確保した上で、令和3年度までに発行予定の臨時財政対策債の起債残高を全額償還するための国の交付税措置をそれぞれ国に強く求めていくべきと考えますが、知事の御見解をお伺いします。
あわせて、県民の不安を払拭するためにも、埼玉県における令和4年度以降、毎年度の地方交付税のうち、臨時財政対策債の償還分が幾らなのかを県民に分かりやすい形で示すべきと考えますが、知事の御見解をお伺いします。

A   大野元裕   知事

まず、今こそ、県民生活の安定と向上、そして経済の発展のために、県独自の経済対策が必要ではないかについてでございます。
本県は、今後全国一のスピードで後期高齢者が増加し、社会保障関係経費の急増が見込まれ、財政状況はますます厳しくなるものと想定されます。
こうした中、公債費負担の指標である実質公債費比率は10.9%と全国平均より高く、一定の交付税措置があるとはいえ、地方債の発行に当たっては将来への負担にも考慮する必要があります。
国は、事業規模約78.9兆円の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき令和3年度補正予算案を閣議決定し、12月6日開会の臨時国会に提出をしたところであります。
まずは、この補正予算の活用、特に地方の裁量が大きい地方創生臨時交付金の地方単独分をフル活用し、ハード・ソフトの両面から県独自の経済対策に取り組んでまいりたいと考えております。
今回の国の経済対策では、事業規模5兆円程度となる「防災・減災、国土強靱化の推進など安全安心の確保」が1つの柱となっています。
本県でも、昨年度国が決定をいたしました「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に基づき、防災・減災対策を13か月予算として編成することにより、強力に推進をしてまいりました。
令和4年度予算編成でも「誰一人取り残さない『日本一暮らしやすい埼玉』の実現」を目指し、県民の安心安全を守るための激甚化・頻発化する自然災害への対応などに取り組んでまいります。
また、産学官金労で構成する「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」で議論されたウィズコロナ・ポストコロナの経済雇用対策についても、社会実装の取組を進めています。
例えば、県内中小企業における経営革新計画に基づくデジタル技術を活用した新サービス・新商品の開発やコスト削減などの取組に対し、県独自の補助制度を創設し、補正予算案を本定例会に提案をさせていただいております。
こうした支援を積み重ね、企業利益の増加が個人所得の向上につながる「成長と分配の好循環」を実現してまいります。
一方で、県独自のこれらの経済対策を継続的に実施するためには、柔軟かつ強固な財政体質に改善し、持続可能な財政運営を実現しなければなりません。
そこで、中長期的に財政収支の改善を図るため、今年度から新たに「EBPM」の考え方に基づき事業の見直しを進めています。
夏場からの第一段階では多額の財源が必要な主要プロジェクトについて聖域なく見直し、秋以降の第二段階では担当部局が主体的に事業を見直しました。
これを令和4年度予算編成の過程で更にブラッシュアップし、足腰の強い財政基盤を確立すべく行財政改革も進めてまいります。
次に、国と地方の協議の場において令和4年度以降の臨時財政対策債の発行廃止などを国に強く求めていくべきではないかについてでございます。
まず、平成13年度から時限的に始まった臨時財政対策債は、度重なる延長を経て現在令和4年度まで措置されることが決まっています。
こうした先送りの措置をやめるためには、国が速やかに地方交付税の法定率を引き上げるなど抜本的な見直しが必要であります。
また、地方財政計画では、「地方の一般財源総額実質同水準ルール」に基づき、地方の一般財源総額は確保されていますが、実際には地方の財政需要は年を追うごとに急増しています。
臨時財政対策債の元利償還金は、後年度の地方交付税で全額措置される見込みですが、地方の財政需要を的確に地方財政計画に計上し、適切な地方交付税が措置されるよう国に求めていくことが必要であります。
毎年の政府要望をはじめ、全国知事会などで地方の一般財源総額の確保や、臨時財政対策債の廃止などについて要望してまいります。
また、令和3年11月に開催された国と地方の協議の場において、地方六団体の意見として臨時財政対策債の廃止を含めた抜本的な改革などを申し入れたところでもございます。
今後も、私自ら、全国知事会などの様々な機会を捉え、臨時財政対策債の廃止を含めた抜本的な改革の実現に向け、粘り強く取り組んでまいります。
最後に、令和4年度以降の地方交付税のうち、臨時財政対策債の償還分を県民に分かりやすい形で示すべきではないかについてでございます。
臨時財政対策債については、毎年度発行可能額や残高の状況などを県のホームページ等において公表をしているところです。
実際、臨時財政対策債の償還分につきましては、これまでのところ、本県が支出した元利償還金に見合う財源が交付税で措置されております。
議員の御指摘を踏まえ、今後は償還分に関する情報についても県のホームページ等を活用し、その制度を含め県民に分かりやすく発信をしてまいりたいと思います。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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