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掲載日:2021年12月21日

平成30年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(新井一徳議員)

官民連携による社会的課題の解決手法について

Q   新井一徳   議員(自民

本県では、平成29年度からの3か年を期間とする行財政改革プログラムを定め、県庁改革への挑戦、多様な主体との協働、行財政基盤の強化の3つの視点から改革に取り組んでいます。
こうした視点に大きく関わる新たな取組を御紹介します。
「ソーシャル・インパクト・ボンド」という、官民連携でコストをかけずに社会的な課題を解決する手法です。この手法は、資金提供者から調達する資金を基に、行政機関が民間事業者に事業委託し、事業の成果に応じて行政機関が報酬を支払う、官民連携による成果連動型の社会的インパクト投資の手法の一つです。民間事業者が目標未達成の場合、資金提供者が元本割れなどの財務的リスクを負う手法です。
行政機関としては、社会的課題の解決と財政支出の抑制を同時に実現することが可能で、注目を浴びています。世界初の取組は、英国ピーターバラ刑務所での再犯防止事業です。収監中の2,000人の軽犯罪者に自立支援事業を実施した結果、対象者の再犯率は対象群と比較して9%低くなり、目標値の7.5%を上回ったそうです。現在、欧米を中心に世界20カ国で80案件、300億円以上の規模で実施されています。国内でもこの手法の導入について前向きな検討が進められており、6月に閣議決定された未来投資戦略2018などでは、この手法に係る制度構築の推進がうたわれています。
国内では、平成27年度に横須賀市で行われた特別養子縁組の推進支援を行うパイロット事業を皮切りに、昨年度には神戸市で糖尿病性腎症重症化予防事業、八王子市で大腸がん検診受診事業においてこの手法が活用されています。
この手法の特徴の一つに、民間事業者が目標を達成したときのみ行政機関は報酬を支払うという点があります。すなわち、行政機関としては、この手法を活用することで財政的に危険な負担を負うことなく、試験的な施策に取り組むことが可能となります。社会保障関係経費が増大し、歳出予算に占める義務的経費の割合が高く、柔軟な政策的経費の余地が限られている財政状況において、既存の施策と並行して新たな取組を試験的に行うことができるこの仕組みは、非常にメリットが大きいと考えます。
この手法は、現在、都道府県では広島県が取り組み始めたばかりで、他ではありません。本県がソーシャル・インパクト・ボンド先進県としての地位を確立できれば、その後の取組で資金提供者や民間事業者を集めることも可能になるはずです。是非、この手法を活用すべきと考えますが、企画財政部長の御所見をお伺いします。

A   砂川裕紀   企画財政部長

県では民間の知恵やノウハウを県政に活かし、効率的で効果的な県民サービスを提供するため、民間との連携の取組を積極的に進めております。
昨年度は保健・福祉や安心・安全などの分野で合計426件の連携事業に取り組みました。
今年度の具体的な取組としては、生命保険会社において、取引先に収集ボックスを設置する形でネットワークを作り、缶詰など保存のきく食材を集め、子ども食堂へ搬入するフードドライブの取組が始まっております。
そのほかにもこども食堂に関するフォーラムを開催したところ、こども食堂を立ち上げたい方の支援が具体化するなど、取組が進んでおります。
今年9月には、熊谷高等技術専門校の指導員が協力し、360度自由なアングルで動画を撮影し視聴できる新技術の実証実験を行いました。
ものづくりにおいて、指導員の手元があらゆる角度から見えるようになったことで、生徒から作業の仕方がわかりやすいと好評であり、加えて、企業側も県との事業実績を基に大手企業との契約につながっております。
このように、いずれの取組においても官民のメリットがうまく合致した、正にWin-Winの関係が構築できており、官民連携は行政のコストを最小化し、成果を最大化する有力な手法であると認識をしております。
議員御紹介のソーシャル・インパクト・ボンドは、成果に連動した報酬を支払うことで、行政の財政的なリスクを抑えながら、民間の新しい取組を活用できるなど、魅力的な手法であると考えております。
一方で、この手法を実行するためには、サービス提供者や資金提供者のほか、中間支援組織や第三者評価機関など多数の組織が関係することになります。
結果として仕組みが複雑になり、準備に時間を要することから、すでに手法が確立されている分野においては、コストが高くなりがちでございます。
また、県民への説明責任を果たすためにも必要となる、報酬基準の設定や事業成果の適切な評価が難しいことも課題として挙げられます。
ソーシャル・インパクト・ボンドを含めた成果連動型の民間委託手法は、国の成長戦略である「未来投資戦略2018」においても推進することとされております。
実際にいくつかの自治体において、これまで成果の証明が難しかったヘルスケア部門、特に予防的な事業で実施され始めております。
県としましても、これらの事例を参考にしながら、効率的な成果連動型のスキームを研究し、導入を検討してまいります。

再Q   新井一徳   議員(自民

先ほど部長からもお話しいただいたとおり、医療の予防の分野とか、もしくは世界で初めて行った犯罪者の再犯防止、こういった部分では実際に効果を上げているというのはもう御承知のとおりかと思います。
ただ、一方で、先ほどの答弁をお伺いしておりますと、できないのかなと。課題を非常にたくさん挙げていらっしゃいましたので、ちょっと後ろ向きな姿勢を私としては感じてしまった次第でございます。ただ、最後のところで導入を検討したいというお話を頂きましたので、この導入を検討したいというお言葉の中にはかなり前向きなお気持ちがあるのかどうかを確認させていただきます。

再A   砂川裕紀   企画財政部長

この財政状況の非常に厳しい折、議員からも御指摘のありましたとおり、行政の財政的なリスクを抑えながら成果が上げられるというところでは、本当に魅力を感じております。
それから、議員からも御紹介がございました、例えば広島県ですと新たながん検診の個別受診の勧奨ですとか、神戸市ですと糖尿病性腎症の重症化予防ですとか、それから八王子ですと大腸がん検診の受診率の向上ですとか、人生100年時代に向けての我々が取り組まなければいけない課題に、もう取り組んでいるところがあるということでございまして、しっかりと研究させていただいて、前向きに検討したいと思っております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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