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掲載日:2021年12月14日
Q 金子正江 議員(共産党)
10万人当たりの本県医師数は全国最低ですが、近頃、他県の人口減少によって、46位と47位の本県の格差が広がっていると伺っています。一方、本県の高齢化は加速しており、医師確保の必要性は高まるばかりです。県は、さいたま市美園に順天堂大学附属病院誘致計画を進めてきましたが、2018年とされていた着工時期が延期されました。2020年の開院は、少なくとも2023年以降にずれ込む見通しです。順天堂誘致に努力すべきなのは言うまでもありませんが、党県議団は、以下の3点、改めて確認しておきます。
第一に、さいたま市立病院のそばに同大学病院が誘致されることなどに、さいたま市や市医師会から疑問の声があります。さいたま市への丁寧な説明と納得を得る努力について。
第二に、順天堂開院の際に、越谷市立病院をはじめ地域医療機関からの医師引揚げがあってはなりませんが、文書などによる確認の見通しについて。
第三に、順天堂のための埼玉高速鉄道延伸、新駅設置など、過大な支援はきっぱり拒否すべきことについて。
以上3点、保健医療部長の答弁を求めます。
仮に順天堂誘致にこぎつけたとしても、医師不足最下位脱出の見通しはありません。この間、創設された医学生向け奨学金は、既に埼玉県の病院に医師を31人送り出し、更に215人の学生が奨学金で学んでいるというように着々と効果を示しつつあります。地域枠医学生奨学金は、27人の募集枠に対して応募者は68人。医学部入学前に選抜する県外医学生奨学金は、17人の募集枠に対して応募者は172人です。更に枠などを拡充し、地道に医師確保を進めるべきと考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。
また、県立大学医学部設置は、引き続き取り組むべき課題だと考えます。これまでの御答弁は、国の許可が得られないということですが、地域医療構想、少子化による大学の経営難などと、基準病床数や大学医学部を巡る条勢に激動が予想され、医学部定員再検討の可能性もあり得ます。改めて体制を確立し、県立大学医学部設置の可能性を検討すべきときです。知事の見解を求めます。
A 上田清司 知事
もとより医学部設置が喫緊の課題である医師不足を解消するため、長期的に有効な手段であるとの認識は変わりありません。
そのため医学部設置の権限を持つ国に対しこれまでも要望してまいりましたし、これからも要望してまいります。
しかしながら、国はいまだに医学部新設の方針を示しておりません。東北や成田市の事例はあくまで特別扱いとの形になっております。
むしろ今年5月の国の検討会などでは、2022年度以降の医学部定員について減員に向けて見直すべきとの方向性などが示されました。
議員から大学医学部をめぐる情勢に激動が予想されるとのお話がありましたが、医学部新設に向けた道のりは更に厳しい状況になってきております。
それゆえ、平成22年度から奨学金制度を創設し、また平成25年12月に埼玉県総合医局機構を立ち上げ、県医師会、埼玉医科大学や県立大学など関係機関とのネットワークを構築しました。
その成果として、医師数は平成28年12月現在、11,667人で全国第9位、前回調査からの2年間の増加数は609人、増加率5.5パーセントであり増加数も増加率も全国第3位です。
また、平成31年度には、県内で初期研修を開始する予定の医師は348人と、現在の初期研修制度が始まった平成15年の165人からの増加数は183人、増加率は2.11倍で共に全国第1位になっております。
医師を支える看護師の確保も平成26年から平成28年までの増加数は5,785人で全国第2位、増加率は9.9%で全国第1位でございます。
今後も医学部設置に向けた問題意識を持ちながら、埼玉県総合医局機構を通じた医師確保の取組についても更に拡大していきたいと強く思っております。
A 本多麻夫 保健医療部長
まず、「さいたま市への丁寧な説明と納得を得る努力について」です。
今回のプロジェクト実現に向けて、土地利用上の諸課題の解決に尽力いただくなど、さいたま市には全面的に御協力をいただいております。
8月には地元医師会など市内医療関係者を構成員とした「さいたま市地域医療構想調整会議」に順天堂大学学長がオブザーバー参加しました。
この会議は12月12日にも開催が予定されています。その場では市から強く求められていた、大学から地元医師会等の医療関係者への具体的な医療機能などの説明も行われる見込みとなっております。
引き続き、県・市・大学間で緊密に連携・協力しながら取り組んでまいります。
次に、「順天堂開院の際に、越谷市立病院をはじめ地域医療機関からの医師引き上げがあってはならないが、文書などによる確認の見通しについて」でございます。
順天堂大学は毎年100人を超える医師を輩出し、附属病院を六つ、常勤医師も1,000人を誇っております。基本的にその枠組の中で医師の供給をコントロールできるものと考えております。
議員からお話のあった医師の引上げはないと思っておりますし、大学からもそのようなことはないと伺っております。
今後とも県内の医療機関に不安を生じさせないよう、大学ともしっかりと協議し、記録を残すなど相互に確認できるようにしたいと考えております。
次に、「順天堂のための埼玉高速鉄道延伸・新駅設置など過大な支援はきっぱり拒否すべきについて」です。
病院整備計画の提出に併せて大学からは、様々な要望を受けております。
県としては基本的に要望にできる限り応えながらも、県民にとって真に必要となる医療提供体制を実現させたいと考えております。
ただし、病院が開院するまでに埼玉高速鉄道を延伸し、病院前に新駅を設置することとした要望は、実現が困難である旨をお伝えしています。
大学からは、病院に通院される患者の足を確保したいとの意向も示されているので、例えば浦和美園地区内にシャトルバスが導入できないかなど、別途そうした可能性について関係者と意見交換しているところです。
次に、「医学生向け奨学金の枠などを拡充し地道に医師確保を進めるべき」についてでございます。
奨学金の貸与を現在のペースで継続いたしますと、2025年度には奨学金貸与中の医学生が285人、医師不足地域等で勤務する医師が264人、合計で549人となります。
現在、奨学金を受給されている方々は強い意思を持って狭き門をくぐり抜けて合格した方々です。
このため、地域医療への貢献意欲や能力も高く、将来、県内の医師不足地域や診療科において活躍していただくことが確実に期待できる状況となっています。
貸与枠を増やすかどうかにつきましては、こうした状況や増やした場合の影響や効果等をよく考慮し、適切な貸与枠の人数について研究してまいります。
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