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掲載日:2021年12月14日

平成30年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(山本正乃議員)

ジュニア・アスポート事業について

Q   山本正乃   議員(立憲・国民・無所属

子供の貧困対策を総合的に進め、貧困の連鎖を絶つことを目的とし、子どもの貧困対策の推進に関する法律が平成25年6月に、超党派議員による議員立法で衆参両院において全会一致で可決されました。この法律が成立後、子供の貧困に関する報道が増え、改めて世の中の関心を集めています。
県内の子供の生活実態を見ると、約1割の世帯が生活困難層とのアンケート結果も出ています。埼玉県では子供の貧困対策として様々な取組をされていますが、以下3点についてお伺いいたします。
まず、平成30年度からモデル的に開始された貧困世帯の小学生を対象とした学習や生活支援、体験活動、食事の提供などを行う「ジュニア・アスポート事業」についてお伺いいたします。
先月、ジュニア・アスポート宮代・杉戸教室を見学させていただきました。当日は、11人の児童に8人の指導員やボランティアの皆さんが学習支援を行っていました。各自それぞれに指導員がつき、丁寧に学習指導をされていました。また、自分の思いを素直に指導員に投げ掛ける姿も見られ、児童と指導員の人間関係が形成されている様子がうかがわれました。宿題や勉強を終えた後、ケン玉や編み物など自由遊びを楽しそうにしている頃に、調理室ではボランティアの皆さんが夕食の準備をされていて、大変おいしそうなにおいがしてまいりました。
当日は、この事業を受託している一般社団法人「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」の白鳥代表理事とアスポート学習支援春日部センターの森山センター長にお話をお伺いすることができました。5月から打合せを始め、福祉事務所の御協力の下、事業を開始、食事の提供については民生委員をはじめとする調理ボランティアの皆さん、食材はアグリパークや地元の農家さん、セカンドハーベストなどの御協力で成り立っている。町の御協力で会場を確保していただき、学習支援と食事提供、体験活動などを行っているとのことでした。
また、平成22年9月から生活保護世帯の中学生を対象に、高校進学に向けた学習支援事業の経験や、平成25年からは高校生も学習支援の対象とし、高校を中退することのないよう支援してきた経験が今生かされているとのことでした。中学生や高校生からの支援では時間がかかることでも小学生なら短時間で変化が出てくる、小学生対象のジュニア・アスポート事業はとても意義があるとおっしゃっていました。
貧困は学力格差、収入格差をもたらすだけでなく、非認知能力の格差ももたらすと言われています。非認知能力には大きく二つの力があります。まず自尊心、自己肯定感、自立心、自制心、自信などの自分に関する力です。そして、一般的には社会性と呼ばれる協調性、共感する力、思いやり、社交性、良いか悪いかを知る道徳性などの人間と関わる力が挙げられます。
このジュニア・アスポート事業は、貧困によって小学生のときから学力や非認知能力の格差が生じていることから、より早い段階から幅広い支援を行うことで、誰もが自分の可能性を広げ、活躍できるようにとの考えから実施に至ったとお伺いしています。私もこの事業は大変有意義だと実感しているところです。
そこで、知事にお伺いいたします。現在モデル的に実施している7市町以外にも広げていき、全国に発信できるような事業にしていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

A   上田清司   知事

県では生活保護世帯の子供の4分の1が残念ながら大人になって再び生活保護を受けるという実態に着目し、平成22年9月から全国に先駆け高校進学に向けた学習支援事業を実施いたしました。
この取組が国会において取り上げられ、政府においても評価され、平成27年度からは生活困窮者自立支援法の事業として対象者を生活困窮世帯の子供に広げ、中学生の学習支援を中心に全国で展開されるようになりました。
一方で、貧困世帯と一般世帯の子供では小学生の早い段階から学力や非認知能力に格差が生じているとの調査もあり、早期の支援が必要だということが分かってまいりました。
そこで、県では本年7月から小学生を対象に学習や生活支援、体験活動、食事の提供など総合的に行うジュニア・アスポート事業を始めたところです。
開始後4か月しか経っていませんが、様々な効果が表れてきています。議員も見学いただき、感謝するところです。
この事業に携わる志のある大人と恒常的に接することで、子供たちは感化され見る見るうちに変わっている、このようなことも報告を聞いております。私自身も行ってまいりました。
不登校だった子供が教室のほかの子供たちと触れ合うことにより自信をつけ徐々に小学校に通えるようになったという話もございます。
また、様々な体験学習や生活上のサポートを定期的に受けることで表情が明るくなり、いろいろなことに前向きに取り組む子供が出てきているということを聞いております。
こうした子供の変化に刺激を受け、保護者が意欲的に就職活動に取り組み始めたという事例も生じたそうです。
このほか、地域で貧困家庭の子供を支える体制が出来つつあるということも効果の一つとして挙げられます。
この事業では大学生ボランティアが勉強を教え、食材は農家や農協、寺院などから提供を受け、食事づくりや体験活動は社会人や企業、社会福祉法人などが担っています。 
教室を中心に「アスポートサポーター」ともいうべき存在が着実に広がっているようです。
まずは、こうした成果やノウハウを市町村に提供することにより、全県展開を図っていきたいと考えております。
国でも来年度から生活困窮者自立支援法の学習支援事業に体験活動や食育の充実、居場所の提供といった生活全般のサポートも加える方針を打ち出しております。
ジュニア・アスポート事業は正にこうした国の動きを先取りした取組であり、国に対しこの事業の成果を示すことで更なる財政支援も働き掛けていきたいと考えております。
本県の偉人であります渋沢栄一翁も「国家の富が増すほど貧民が多くなることは、実験上の事実である。」と述べられております。
そして、「この困難の人をしてよくそのところを得せしめるのがすなわち王道であって、同時に世の富豪家の鑑むべきことである。」と説かれております。
大変残念ですが、国家の富が増せば増すほど貧民が多くなり、ということが起こっている。明治においてもそういったことが既にあったということを述べられ、そしてそうした困難な人をしっかりと導くことができるようなことをするのが政治・行政の王道だ、という風に説かれておられます。肝に銘じていきたいと思っています。
正に渋沢翁が看破されましたように、貧困の連鎖を断ち切るという事業は、最も重要なことだと考えております。
この事業が貧困の連鎖解消のための先進モデルとして全国に広がるよう、今後ともしっかりと取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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