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掲載日:2021年12月14日
Q 神尾高善 議員(自民)
県農業技術センター久喜試験場では、貴重な優良農地を使用し、次世代施設園芸埼玉拠点としてイオンアグリ創造株式会社が水耕栽培によりトマトを生産しております。この次世代施設園芸埼玉拠点の水耕栽培施設の設置に当たっては、平成27年2月定例会の予算特別委員会で、事業の執行に当たっては県内生産者への影響に十分注意するとともに、事業のメリットを県内生産農家が享受するようにすべきであるとの附帯決議が、また、平成28年2月定例会の環境農林委員会で、県内園芸生産農家の技術の向上、生産力の強化のため、県が責任を持って実証・普及を一元的に行う体制が整ったと認めるまで、当該事業者に対する補助金支出の執行停止を求めるとの附帯決議が付されており、さらに平成28年9月定例会及び12月定例会の環境農林委員会の中で所管事務調査として質問されるなど、様々な論議があったところであります。
そこで、平成29年2月に、農業技術研究センター久喜試験場内に稼働した次世代施設園芸埼玉拠点について、改めて現状とその後の進捗状況、県内トマト生産農家にどのような影響を与えているのか、また、久喜試験場の土地利用は正しかったのかお聞きしたいと思います。
我々自民党からの指摘により、水耕栽培だけでなく、県内トマト生産農家のためになる土耕栽培施設が設置されました。しかし、施設の現状は、イオンに土地を貸して建てられた水耕栽培、ハウスの面積は3,000平方メートルのハウス11棟、延べ3万3,000平方メートル。一方で、県の施設として建てられた県内トマト生産農家の栽培方法に近い土耕栽培ハウスの面積は、栽培室と作業室を含め合計803平方メートルに過ぎません。
さて、設置されて2年が経過しましたが、両施設は県内トマト生産農家にどのような影響を与えたのでしょうか。まず、次世代施設園芸埼玉拠点の水耕栽培による実証について伺います。この施設ではトマトが年間751トン生産されているとのことです。そのトマトはどこで販売されているのか、その生産量は県内生産者を圧迫していないのか、農林部長に伺います。
次に、次世代技術実証・普及センターの土耕栽培について伺います。
1年目は、炭酸ガス施用とLED補光効果の検証により収穫量が19パーセント増加したとの結果が得られ、2年目は、細霧冷房活用により栽培期間の延長に取り組んでいると聞いております。そこで、この施設で得た成果を今後どのように運用し、県内トマト生産農家へ普及していくのか、農林部長に伺います。
さらに、水耕栽培と土耕栽培で収穫されたトマトの品質、形状、大きさ、糖度、生産コスト及び1平方メートル当たりの収穫量を比較した結果はどのようなものだったのか、そもそも久喜試験場の土地利用は正しかったと思われているのか、農林部長に伺います。
A 篠崎 豊 農林部長
まず、次世代施設園芸埼玉拠点で生産されたトマトはどこで販売されているのか、県内生産者を圧迫していないのかについてでございます。
埼玉拠点で生産されたトマトは、県内のイオン、ダイエーをはじめ東京、神奈川のイオン系列スーパーに配送センターを経由し、直接配送され販売しております。
また、埼玉拠点における平成30年10月までの直近1年間の生産量751トンは、県内のトマト消費量の1%未満です。さらに、卸売市場を経由した流通ではないことなどを考えると、県内生産者への影響は無いものと考えております。
次に、次世代技術実証・普及センターの土耕栽培、いわゆる実証ラボで得られた成果を今後どのように運用、県内トマト生産農家へ普及していくのかについてでございます。
実証ラボでは、平成29年11月から、炭酸ガスの施用やLEDライトでの補光による収量増加の実証研究を行っております。
今年の8月からは、ミストによる細霧冷房を活用し、夏場のハウス内の温度を下げることで栽培期間の長期化に取り組んでおります。
県では、実証ラボにおいて、実証ラボと埼玉拠点で得られた生産、生育、収量などのデータ提供や、新技術情報を紹介する研修会を毎月1回開催しています。
これまでに12回開催し、県内のトマト生産者など延べ541名が参加しています。
参加者からは「研修会は新たな栽培技術や最新情報が得られる」「生産者同士の情報交換の場になる」「トマトだけでなくキュウリなどの施設園芸全般で参考になる」などの意見をいただいています。
今後も、生産者の増収、収益向上につながる技術情報を提供するなど、実証成果を普及してまいります。
次に、水耕栽培と土耕栽培で収穫されたトマトの品質、形状、大きさ、糖度、生産コスト及び1平方メートル当たりの収穫量を比較した結果はどのようになったかについてでございます。
埼玉拠点は、施設内を最適な環境にコントロールする統合環境制御技術を活用し、水耕栽培で、年3作、年間を通じ収穫する実証施設です。
一方、実証ラボは、同様に統合環境制御技術を活用し、県内のトマト栽培において主流である土耕栽培で、年1作、9か月間収穫する実証施設です。
このように、2つの施設は、実証しようとする内容に違いがあり、トマトの栽培方法、収穫期間、栽培する品種も異なるため、議員ご指摘の品質や、生産コストなどの比較は行っておりません。
しかしながら、炭酸ガス濃度やハウス内の温度など統合環境制御技術に係る栽培管理データは次世代技術実証・普及センターで一元的に分析し、実証研究や研修会に生かしております。
最後に、久喜試験場の土地利用についてでございます。
久喜試験場は、本県における次世代施設園芸の推進と果樹振興の拠点として、位置付けております。
気候変動に対応した安定的な生産や、食に対する安全・安心への関心が高まる中、県内生産者の次世代施設園芸に対する期待は高いものがあると考えております。
県といたしましては、今後とも次世代技術実証・普及センターと埼玉拠点の取組を通じ、生産者の技術向上と最新の栽培技術に関する情報発信に努め、埼玉の施設園芸の発展につなげてまいります。
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