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掲載日:2023年5月9日
Q 宇田川幸夫 議員(自民)
主にシリコンバレーで使われ始めたスタートアップ企業という言葉があります。新しい発想の下、急激に成長を遂げる特徴があります。そして、外部から資金を調達して事業や研究を行っていきます。その際に、ベンチャーキャピタル、投資ファンド、大手企業からスタートアップ企業に資金を投資いたします。そこで、重要なのがエコシステムという言葉であります。お金を出す人、技術を提供する人、リスクをとる人、仕事の場所を提供する人、法律を管理する人などの環境を整える必要があります。エコシステムを直訳しますと生態系であります。事業に対して相互依存し合っているという意味が強いと捉えております。世界でのベンチャー企業への投資額を見ますと、2017年度ベースで約18兆円となり、2年ぶりの過去最高となりました。日本では超低金利で資金が集まりやすい傾向ではありますが、投資実績と非公開と合わせた資産で二千億半ばとの見通しとのことです。
国としても世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出す企業の育成支援プログラム、J-Startupが始まりました。スタートアップ企業約1万社の中から一押し企業を推薦し、J-Startup企業として選定されます。日本のスタートアップ企業を成長させるためにも、J-Startupに期待されるところであります。
このことから鑑みますと、埼玉県のスタートアップ企業の成長が与える経済効果や税収を上げるためにも、県として力を入れていく必要があると考えます。現在においても、産業振興公社に設置された創業・ベンチャー支援センターを活用して、県として創業に対する支援を実施していることは十分承知しています。しかし、経済や技術が非常に速いスピードで、しかもグローバルに進展する現代において、新しいニーズに対応した事業を創出する重要性はますます高まっております。
そこで、産業労働部長に伺います。まず、スタートアップ企業を生み出していくための前提として聞きますが、本県としては産業振興公社の創業・ベンチャー支援センターを活用して、この五年間、何件程度の創業を実現しているのでしょうか。また、本県の企業は現時点でJ-Startup企業に入っていないようですが、この選定を獲得することやエコシステムの実現、効果的な資金調達を目指し、スタートアップ企業への支援をより積極的に進めるべきであります。
以上、2点について、産業労働部長にお伺いいたします。
A 渡辺 充 産業労働部長
まず、本県における産業振興公社を活用した5年間の創業件数についてでございます。
本県では企業を創出し、更なる県経済の活性化を図るため、産業振興公社内に創業・ベンチャー支援センター埼玉を設置しております。
このセンターでは、創業希望者や創業直後の企業に対し、事業計画や税務など新たな企業の立ち上げに必要な支援を行っているところです。
平成25年度から29年度までの5年間の相談件数は延べ1万1,874件で、1,031件の創業が実現しています。
また、本年度につきましては、11月末現在で1,990件の相談に対し、136件となっております。
次に、スタートアップ企業への支援をより積極的に進めるべきではないかについてでございます。
グローバル化や生産年齢人口の減少など、これまで社会が経験したことのない大きな変革の波が押し寄せて来ています。
今後も県経済の活力を維持していくためには、産業の新陳代謝を促し、新たな企業の誕生に結びつけることが不可欠です。
このため、本県では公社や商工団体などと連携し、創業希望者に対して各種セミナーや丁寧な事業相談、ビジネスプランを競わせる「ベンチャーピッチ」を定期的に開催しています。
また、創業時には、インキュベーション施設や県制度融資による低利な資金の提供などで側面から支援し、創業後5年を目安にきめ細やかなフォローアップを行っています。
さらに、現在県で進めている先端産業創造プロジェクトでは、大学等の研究シーズと企業の優れた技術の融合による産業の育成、集積を目指しています。
このプロジェクトでは、新たに事業を行う起業家、大学等の研究機関、資金提供者などが連携することを目指しており、これは一種のエコシステムとも呼べるものです。
議員からお話がありましたが、国では、革新的な技術やビジネスモデルによる世界に新しい価値を提供することを目指した「J-Startupプログラム」を開始しました。
この取組は非常に時宜を得たものと考えております。
新しい発想や技術をもとに短期間で高い成長を目指す企業、いわゆるスタートアップ企業は、イノベーションの担い手として貴重な存在です。
県といたしましては、創業に関する世界的潮流や国の取組などを十分に踏まえた上で、大学や公社・商工団体などと連携し、新たな分野に果敢に挑戦する創業者を積極的に支援してまいります。
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