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掲載日:2020年3月11日
Q 荒川岩雄議員(自民)
平成27年6月、選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる、いわゆる改正公職選挙法が参議院本会議で可決されました。選挙権を持つ年齢が変更されるのは、25歳以上から20歳以上へと変更されたあの戦後の昭和20年以来、正に70年ぶりだそうでございます。そして、私の考えとは反対に、世界に目を向けると、平成26年の国会図書館調査によれば、192か国のうち92パーセントが、すなわち176か国が18歳までに選挙権を与えているとの結果でございます。こうして我が国も18歳以上に選挙権を与え、世界の主流の仲間に入ったと言って喜んだわけでございますけれども、私は決して喜んでいるわけではございません。
法律で決まった以上は、仕方がないことと思いますけれども、私の本音といたしましては、どこの国がどうあれ、この日本では、我が国では最後の一つになっても私は成人にすべきであると今でも考えております。それは、余りにも問題点が多過ぎるからであります。18歳選挙権を実施して1回参議院選挙がありましたけれども、一体何かいいことがありましたか。高校の社会科の授業等でも十分勉強しているはずなのに、模擬投票だ、何だかんだといって余計なことを高校でやらなければならなくなっております。生徒会等で、それこそ大人より立派な選挙を実践しているではありませんか。また、同じ高校生でも、ある人は選挙権があり、ある人は選挙権がない、これが混在していること。校内の政治活動、選挙活動等の許容範囲、これらが大きな問題を抱えている。こういうことで、枚挙にいとまがございません。このように、学校現場では余計な手間がかかるようになったと考えられますが、18歳に選挙権を与えたことについて、この功罪について、まず選挙管理委員長に伺います。
続いて、学校の現場についてはどうなのかということで伺います。
くどいようですが、私は18歳選挙権になったのは良いことではないと今でも思っております。18歳はまだ成人ではありません。高校生は御存じのとおり、親のすねをかじって勉強している最中で、まだ子供じゃありませんか。民法や刑法、少年法でも、まだ未成年扱いであります。大学の入学式を皆さん御覧になりましたか。最近の大学の入学式には19歳、18歳の子供が両親に付き添われて出席する。正に子供じゃありませんか。この高校生が、しかも我々に選挙権を与えてくれなんて、そんなことを希望した人も一人もないと私は思います。正に、大人の押付けであります。選挙にうつつを抜かすよりも、受験勉強などに一所懸命取り組むことが大切という、これはお父さん、お母さん、保護者の大多数の意見だと私は思います。
現に、選挙のために、あの大事な、大事な高校野球の時間を割いて犠牲にしたというではありませんか。学校では、学業が最優先であります。しかし、選挙のことも教えなければならなくなりました。さらに、主権者教育では政治的中立が守られなければなりません。だけど、学校の先生のすることですから、信用できません。等々幾多の問題を抱えております。これは笑い話ではありません。
そこで、18歳選挙権の導入により学校教育の現場では混乱はないんですか。教育長、はっきりともう答えてください。
続いて、高校での選挙に関する学習についてであります。
選挙については、既に中学校や高校の授業で取り上げております。その上に、時間を取って学習することは必要なんですか。弁護士会などは、例によって我々が教育に行くと言って高校に出かけていって、主権者教育などをやったと私は伺いました。こんなことをされて、皆さん大丈夫だと思っているんですか。弁護士などが学校へ行って政治の話をすることは、かえって偏ってしまいますよ。
小学校以来、学級委員や生徒会で選挙を十分経験をしており、それと同じ程度のことを教えれば、それで済むじゃありませんか。決して難しいことではありません。中立を損なうおそれのある押付け教育を無理にしないで自然体でやれと、決まったものだからしようがないと、選挙に行きたい人は行ってくださいと、この程度で私は止めるべきだと思うんです。私は、このように考えていますが、高校での選挙に関する学習について、教育長、もうそろそろ思い切って答えてください。
続いて、投票率についてお伺いいたします。
まず、選挙管理委員会としては、学校は高校生の投票率を上げるような取組を望んでいるのですか。高校生の投票率を上げようとすれば、これは簡単です。社会科の先生が投票に行けば生きた実務研修として点を1点あげると言えば、100パーセント行きますよ、これは。また、選挙管理委員会は一般の県民にも投票参加の呼び掛けを盛んに行っていますが、投票率が上がると何かいいことがあるんですか。なるほど、実際の選挙では投票率が5パーセント、10パーセント上がれば、投票結果が変わるかもしれません。しかし、投票結果を望んでいるんですか、変わるのを望んでいるんですか。私は選挙の際に、あるとき選挙管理委員会が貼ったポスターで「あなたの一票で政治が変わる」、こういうポスターを見たことがございます。何ですか、これは。現政権を変えようというんですか、批判しているんですか。選挙の公正を保つべき選挙管理委員会は、何か選挙の公正を害しているように私は思えたんですが、いかがでしょうか。選挙は自由公正が最も重要ではないでしょうか。
そこで、選挙管理委員長にお尋ねします。選挙管理委員会は、投票の呼び掛けを盛んに行っていますが、投票することもしないことも有権者の自由であります。投票率を上げることばかりに目を向けていると、選挙の公平公正が害されるおそれもあるために、有権者が自由な意思で投票できるように、無理に働き掛けをするのは、私はすべきではないと考えますが、委員長、いかがですか。
次に、期日前投票についてでございます。
期日前投票は、投票日当日に投票できない人、やむを得なく投票できない人のために、あくまでも例外的に設けられた制度であります。期日前投票所では、投票日に投票できない理由を一応形式的に書かせているようでございますけれども、いつの間にか要件が緩和されて原則と例外が全く逆になっているのが現状であります。理由を書かせても一切確認しない。だったら、もう理由を書く必要はありません。むしろ、毎日が投票日であると言っても、もういいじゃありませんか、そうだったら。投票日に用事がある人は、期日前投票ができますということをしゃにむに言うのではなくて、期日前投票は特別な事情がなければできませんというのが原則であり、これを選挙管理委員会は周知すべきではありませんか。
期日前投票では、公示の翌日から投票ができます。有権者は、政見を聞いてから投票すべき人を判断するという選挙の常識を破ることになるんです。期日前投票を促すのは、政見を聞かずに投票に行けと言っているのと同じなんです。そういう意味では、期日前投票は邪道であるとさえ私は思います。候補者は、最後まで一所懸命、最後の5分、皆さんやっているでしょう、一所懸命演説をして頑張っている。この候補者が期日前投票が8割終わったとなったとするならば、ばかにしていると言われても仕方ないじゃないですか。もっともね、ある候補者は浦和駅前で演説をしながら、盛んに期日前投票を勧めているのを私は見たことがあります。全く理解できません。何のために一所懸命演説しているんですか。自分の演説を聞いて、政策を十分理解して投票してくださいと訴えるべきじゃないですか。
期日前投票は、あくまで例外的な捉え方で、投票日に用事のある人は期日前投票ができますということをPRすることじゃなくて、ちゃんと特段の事情のない限り駄目だということを私はするべきだと思います。
なお、選挙管理委員会、最後にお尋ねしますが、選挙違反について公正公平な選挙を指導するのが選挙管理委員会だと思います。2連、3連ポスターで大掛かりな選挙違反がありましたが、選挙管理委員会にいくら言っても、これを直さなかった選挙管理委員会、私はこれについてはぜひこれから厳正な取締りをしていただきたい、それが選挙管理委員会の仕事だと私は思います。
A 細田徳治 選挙管理委員会委員長
まず、「18歳に選挙権を与えたことの功罪は」についてでございます。
選挙権年齢の「満18歳以上」への引下げは、少子高齢化、人口減少社会を迎えた我が国において、日本の未来を作り担う存在である10代にも、より政治に参画してもらうことを目的として導入されたものでございます。
また、選挙権を持つことで、社会の担い手であることを意識し、主体的に政治に関わる若者が増えることも期待されております。
昨年の参議院議員通常選挙における本県の18歳、19歳の投票率は、18歳が55.31%、19歳が46.31%、合わせて50.73%となり、いずれも20代の投票率を大きく上回る結果となりました。
新たに選挙権を得た10代の若者が、積極的に投票を行ったものと考えております。
今回の結果が一過性のものではないよう、引き続き若者をはじめとした投票の呼びかけを行い、長期的には有権者全体の政治参加につながるよう努めてまいりたいと存じます。
次に、「投票率について」でございます。
選挙に関する啓発や周知については、公職選挙法第6条の規定により、選挙管理委員会の責務とされております。
そもそも、選挙は民主政治の基盤をなすものであり、国民が主権者として政治に参加する最も重要かつ基本的な機会でございます。
そして、民主政治の健全な発展のためには、積極的な投票参加が欠かせないものと考えております。
政治的無関心や選挙離れなどが指摘される中で、今後も有権者の一人一人が政治や選挙に関心を持ち、主権者として一票の権利を大切に行使するよう、啓発や周知に努めてまいります。
次に、「期日前投票について」でございます。
期日前投票制度は、不在者投票の手続を簡素化し、有権者の投票環境の更なる改善を図ることを目的として導入されたものであります。
この背景としては、国民のライフスタイルの変化や投票率の低下があり、有権者の投票機会の確保を図る必要があったものと認識をいたしております。
昨年の参議院議員通常選挙では、本県で約80万人の有権者が期日前投票制度を利用することにより投票を行いました。
今後も有権者の投票機会を確保するため、期日前投票制度の周知に努めてまいります。
最後に、「選挙管理委員会の役割について」でございます。
議員御指摘のとおり、公平、公正な選挙の管理執行を行うことは、選挙管理委員会の重要な責務でございます。
ポスターの掲示については、各候補者に対し、立候補予定者説明会などでその制度を周知いたしております。
ポスターについては、各候補者や政党に対し、注意喚起の通知を行うとともに、違法なポスターについては、個別に撤去指導を行っております。
今後も公職選挙法など各法規に沿った選挙運動が行われるよう、制度を周知するとともに、市町村や警察など関係機関とも十分連携を取りながら、適正な選挙の管理執行に努めてまいります。
A 関根郁夫 教育長
まず、「学校教育の現場で混乱はないか」についてでございます。
選挙権年齢が引き下げられ、学校現場では、政治的中立性の確保や、生徒が選挙違反をおかさないよう知識を身に付けさせることなどの課題がございます。
県では管理職や教員を対象とした研修会を実施し、政治的中立性の確保などの留意点について、周知を図りました。
また、学校行事など、やむを得ない理由で選挙に行けない場合には、期日前投票などを活用することについても、生徒に指導いたしました。
こうした取組を通じて、現在まで、混乱はないものと認識しております。
次に、「高校での選挙に関する学習について」でございます。
生徒に、選挙に関する理解を深めさせることだけでなく、身近な課題について主体的に解決する能力を身に付けさせることが大切であると考えております。
そのため、教科・科目の授業をはじめ、ホームルーム活動や生徒会活動などを通じて、地域の課題などについて多面的・多角的に捉える力を養い、集団での意思決定の仕組みを学ばせるよう取り組んでおります。
また、県では、国が作成した主権者教育の副教材を活用するなどした指導事例について検討を重ねており、今後、実践事例集にまとめてまいります。
今後とも、生徒が、身近な課題について多面的・多角的に考察し、主体的に判断できる力を養うことができるよう取り組んでまいります。
注意:氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。
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