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掲載日:2020年3月11日

平成29年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(木下博信議員)

埼玉「県」はどこにある

Q 木下博信議員(改革

さきの12月定例議会では、田並議員には御自身の様々な経験や反省からすばらしい質問をされていましたが、私も4回目の市長選挙で落選してからいろんな発見と反省が山のようにあります。今回の質問は、その反省も生かしながら、上田知事が目指す県庁改革はどのように実現しているのか、どこか意図どおりに進んでいないところはあるのか、あった場合はその本質的原因は何なのかという視点から、会派結成以来、3人で様々に討議をしてきた中で感じたことを基に質問させていただくものです。
同じ物事を見ても、知事からの見え方、県民からの見え方、職員から、市町村長から、議員から、更に各会派からの見え方は違うはずです。このシンプルな鉛筆でさえ、丸だったり、六角形だったり、細長かったり、違う視点から見たら全く違うものに見えます。そして、丸だ、六角形だ、細長いと言い合っていたとしても、事実はどれも間違っていません。それと同じように、県政の見え方ももっと違ってくるはずです。
私は落選して、全く違ったところから見てみたら、自分が見ていた風景と全く違う風景、議会から見た、市民から見た、職員から見た見え方があること、それがよく分かりました。ですから、上田知事には在職しながらも、ほかから見える風景と発想、それを一度見て考えてみようと。現状説明や否定をするのではなく、もしそうだとしたらと、思考してみてのお答えを期待して伺ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、1項目め、埼玉県の特性と施策について伺います。
まず、埼玉「県」はどこにあるということで、埼玉県の実情を通し、県の特性を踏まえながら考えてみます。
議会で審議中の5か年計画には、希望、活躍、うるおいの埼玉とあります。そういう埼玉にしたいという知事の熱い思いでしょう。
一方で、埼玉といっても多種多様、私の住む草加と隣の八潮は結構違います。西隣の川口だともっと違う、ましてや秩父や小鹿野とは全然違う、そういう違いは知事が一番知っているはずです。県議会議員になって2年、秩父、小鹿野、熊谷、本庄、狭山、東松山、飯能等々、県東部、南部以外の埼玉各地に伺う中で、本当に知らないこと、体験していなかったことをたくさん発見しています。議員の2年でこうなんですから、知事の13年は半端ではないはずです。そういう知事ですから、埼玉の多様性、彩りの豊かさ、つまり特性が全然違うということを一番知っているという確信から、まず伺います。
埼玉県民としての意識より草加市民という意識、埼玉県民というより秩父市民という意識のほうが強いのではないでしょうか。埼玉と一くくりにできるアイデンティティーはない可能性ありませんか。そう考えてみたとき、実はそれぞれの市町村の個性が生かされ、課題が解決され、市町村が輝いていれば、埼玉県というのは意識されない透明の存在、黒子どころか縁の下の力持ちでいいのではないですか。
でも、県というくくりがあり、法制度上果たすべき役割、広域インフラの整備等があるから、そのために県庁は存在します。存在すると存在価値を示したくなるので、それ以外のこともやるようになる。結果、市町村の個性を生かす以前に、埼玉県はこうであるという主張と方向性を示したくなります。そして、県としての全体像を描く、つくり出す仕事をたくさんしてしまっている可能性はないですか。このギャップがあるから、埼玉県全体で捉えた企業誘致数、経済指標ほか様々な数字をたくさん伝えられても、県民の反応が「おお、そりゃすごい」という反応にならない可能性があると感じませんか。それらの数値は明らかな前進であり、事業の財源を生み出す劇的な成果です。しかし、それは部分である市町村、地域の住民には実感できない。だから、「へえ」というぐらいにしかならないのかもしれません。
すごく頑張ってすごい成果を出しているのに反応が鈍い、悲しいことです。それが政治に関する者の宿命だと言ってしまえば、それまでですが、「へえ」と反応している県民は幸せでしょうか。自分たちを見てくれているという幸せを感じているでしょうか、答えはノーでしょう。だから、知事選も県議選も投票率が低いという可能性ありませんか。自分は落選して、外から市政や行政を見るようになって、「ああっ」とこれ実感しました。借金がこれだけ減った。公園面積を東京ドーム2個分、こんなに増やした。人件費がこんなに減った。財政改革度の調査で何項目も全国ベストテン以内に入った。さらに、保育園や学童保育の定員がこんなに増えた。動かなかったまちづくりがあそことここで動き始めた。役所の窓口対応が劇的に変化した等々、様々な事実を伝え、評価をいただいていると感じていました。
しかし、それは経営やまちづくりに関わる活動をされている方々まででした。その皆さんは、まちをつくってくれる大切な方々なのですが、24万市民のあくまで一部分だったんです。役所に行かず、まちで普通に暮らしていると、市がどう動いているかはほとんど見えません。自分が伝えていたと思っていたことが、通勤して暮らしている市民にはほとんど伝わっていないことを実感したんです。暮らしの9割以上は仕事と身近なコミュニティ、行政がどうであるかは生活の一割以下、この現実。この方々に実感いただける政治と行政を考えなければと痛感しています。
県政においても、そういう伝わってない感あるんじゃないでしょうか。そして、そういう皆さんにも県税を納めていただいている分、ちゃんと暮らしに役立っているという実感を感じてほしいです。そのためには、何かを見直し、何かを生み出していく必要があると感じるのですが、いかがでしょうか。
今申し述べた7つの視点から、そうかもしれないなと見ていった場合、何か違った埼玉の特性、行政の在り方が見えてくると思うのですが、いかがですか、知事の所感をお伺いいたします。

A 上田清司 知事

埼玉県は江戸時代、川越、忍、岩槻などの各藩や幕府直轄領に分かれていたため、一つのアイデンティティとする拠り所に不利な部分があると思っております。
また、近代では首都圏という経済圏の一角として、約94万人の県民が都内に通勤・通学するなど、県の枠を意識するのがつらい面があると思っています。
一方で昨今、埼玉県をテーマにした、いわゆる御当地本が多数作られ、意外に好評を得ていることも事実であります。
私の解釈ですが、県民がアイデンティティを探している動きの一つではないかと思っています。
例えば、大宮の氷川神社が全国の氷川神社の総本社であり、武蔵一の宮と言われておりますが、大宮という地名そのものが出雲大社と同じように、大いなる宮と古代から位置付けられていました。
また、あの参道が日本でも一、二を争う長さで、1,900mもあるというようなことを知って、あるいは、大宮の盆栽村は世界の盆栽のメッカであるとか、いろいろな埼玉の歴史を知ればもっと県民は変われるのかなと思っております。
東京の下町が海の底に沈んでいる時代から、さきたま古墳群に代表されるような豪族が、埼玉には一種の勢力を張っていたというようなことも実は埼玉はすごいぞと言える部分があるのではないかと思っています。
また、諸説ありますが、「いざ、鎌倉」という御家人が集まるための鎌倉街道は、京ノ道が1本あって、それ以外は下ノ道、中ノ道、上ノ道、山ノ道の4本が武蔵の国を通っています。
そういう意味では埼玉が街道の中心になっていたという鎌倉時代の初期の位置付けもあります。
いろいろな意味で埼玉県のアイデンティティというものを感じる時もこれからは多くなる。このように思います。
また、行政としての県の存在意義についてもお問い掛けがございました。
個々の市町村では難しい産業・雇用政策、医療、広域交通などの役割をしっかり果たすべき、そのとおりだというふうに思います。
あるいは、先進的な市町村などの取組を支援して実現化したり、モデル化していくことや、全県的なムーブメントを創っていくことなどが県に求められるような役割かなと私は思っています。
また、それに対して住民に身近な市町村は、福祉サービスや義務教育などを主体的に担う役割を果たしているものだと思っています。
県と市町村のどちらが主役でどちらが黒子ということではなく、それぞれの役割をしっかり果たし、協力して県民生活の向上を実現することが大切だと思っております。
県として創りだす仕事をたくさんしてしまっている可能性があるのではないかという御指摘は、しっかり受け止めていきたいと思います。

再Q 木下博信議員(改革

埼玉「県」はどこにあるかということの中で、県というアイデンティティーはないんじゃないという話の中で、大変示唆に富んだ岩槻の話、いろんな藩からの話をいただきました。それが正に知事から見えている、毎日仕事をしていて県内回っているから見えている感覚なんですね。同じように、でもじゃ議会から見たら、県民から見たらどう見えるかというと、さっきの鉛筆じゃないけれども、違っているんですね。違っているから、ちょうど例えば代表質問の中でもメッセージ性をもっと強く打ち出してみたらどうだというところで、知事物すごく丁寧に私はメッセージ出していますと答えられていたんですけれども、あれも横から見ていると、言われていることはそうじゃないんですね。知事は全部を広く見ていて感じているから、そう答えられるんだと思うんですが、議員もエリアは限られているけれども、小さく深く見ているから、県民とつながっているから、そこに届いていないですよということを私質問されているように思ったんです。だけれども、知事は私はこれだけ発信していますと答えちゃっているから、すれ違っているように感じたのかなという、その見方の部分ですごくもう一度、同じように今も答えをいただいちゃったんで、その見方に対して、県とは何かという、その見方を見るときに、幅広く違う視点を持ってみようという思いを強く持っていただいているかどうか。

再A 上田清司 知事

私も県民というよりも、それぞれの市町村民であることの方が意識が強い、このような認識を持っています。
今、流行りの言葉で言えば、「草加ファースト」みたいなことでしょうか。
それぞれが市町村ファーストで、いろいろな形で代表する方々、あるいは代表はしていなくてもそこで活動している方々の帰属意識とか、ものの目線は市町村単位にあると思っております。
こういう中で、県をどう見ていくかというのは、なかなかつらいところもございます。
47都道府県という枠組み、あるいは国と市町村とのつなぎを県がある意味ではさせられているということもありますので、これは永遠の課題かなと、答えのない質問をされたかなというきらいは正直なところ無きにしもあらずではあります。
ただ、御指摘の目線が違えば中身が変わってくるというところは、貴重な御指摘、御意見ですので、くれぐれも私自身も注意して今後取り組むことにしたいと思っております。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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