トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年2月定例会 > 平成29年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文 (西山淳次議員)
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掲載日:2020年3月4日
Q 西山淳次議員(公明)
子供の貧困が大きな社会問題となっています。厚生労働省の2014年の統計によりますと、日本の子供の貧困率は16.3パーセント、約6人に1人が相対的貧困、つまり平均的な所得の半分以下で暮らしていることになります。都道府県別の貧困率は発表されていませんが、参考になるものとして就学援助の支給率があります。就学援助は、生活保護世帯あるいはそれに準ずる家庭の児童生徒に対して、学用品や給食費などを支給する制度です。平成16年度は要保護・準要保護合わせて9.20パーセントでしたが、右肩上がりで上昇し、平成27年度は12.31パーセントになっています。人数にして1万4,418人の増加であり、本県でも貧困世帯の子供が相当数増えていることが明らかであります。
貧困の連鎖を断ち切るために、平成22年、本県は生活保護世帯の児童生徒を対象にした放課後の学習支援事業を立ち上げました。この学習支援は、全国的な注目を集めました。公明党の推進もあって、保護世帯だけでなく、生活困窮者世帯にも対象を広げた上で、生活困窮者自立支援法という国の制度として再スタートをいたしました。貧困世帯の子供に学習機会を提供する本事業は、非常に意義あるものと思います。
そこで、この生活困窮者自立支援法に基づく学習支援について伺います。
第一に、法律制定により学習支援は市の事業となり、町村部を県が行うことになりました。事業実施については、市の自主性に任されており、県内の実施状況にでこぼこができています。また、一部の市では県事業のときには実施されていた高校段階のクラスがなくなったままです。こうした県内で生じている、いわば格差への認識と解消の取組について、まずお伺いをします。
第二に、この事業はもともと生活保護世帯の児童生徒を対象にスタートしましたが、もちろんそれに準ずる世帯の子供にとっても必要かつ有効な施策であります。直近の学習支援の実績は、中学校で1,368人でありますが、県内で就学援助を受けている生徒数は2万6,441人と約20倍であります。現在審議中の新5か年計画では、本事業の目標について、生活保護世帯については60パーセントの利用率を掲げていますが、準ずる世帯についての目標はありません。この部分にもっと目を向けて、力を入れていただきたい。そのために必要な資源は人と場所ですが、県内には複数の教員養成大学もありますし、社会貢献に協力してくれる社会福祉法人もまだまだあると思います。保護世帯だけでなく、困窮世帯の学習支援にももっと力を入れていくべきです。それこそ、新たな埼玉モデルを付してはいかがでしょうか。知事の御所見を伺います。
一方、類似の事業として教育局が実施している放課後学習支援事業があり、本県では5市4町において中学生学力アップ教室事業として学習支援が実施されています。この事業は、貧困世帯の子供のみを対象にしてはおりませんが、貧困世帯の子供の学習支援にも資するものです。この事業についても、今後の取組について教育長にお伺いをいたします。
A 上田清司 知事
学習支援事業の格差の認識と解消に向けての取組についてでございます。
本県では全国に先駆けて平成22年9月から学習支援事業を行い、高校進学率を一般世帯並みの水準に引き上げることができました。
この成果は公明党の厚生労働部会で評価をいただき、その後厚生労働委員会などの議論を踏まえて政府に法制化を働き掛けていただいたところです。
その結果、平成27年度、生活困窮者自立支援法に学習支援事業が位置付けられました。
この法律の下で市部は市の責任で事業を行うことになりました。
中学生支援は全ての市が行っていますが、平成28年度は高校生支援を行っていない市が9市、家庭訪問を行っていない市が5市ございます。
全ての市で高校生支援や家庭訪問を実施していただきたいと考えておりますので、未実施の市には会議や個別相談などにより働き掛けてまいります。
次に、生活困窮世帯の学習支援事業の新たな埼玉モデルについてでございます。
学習支援を必要とする生活困窮世帯の子供はまだまだ多く、より多くの子供に参加していただきたいと考えております。
そのためには人の確保が重要ですが、本県では全国唯一、県が市の分も含めてボランティアを確保しております。
平成28年度は46の大学で、570人の学生に登録をいただき、市の要請に応じて必要な方を派遣しております。
ボランティアへの参加が単位として認定される大学では、特に多くの学生がボランティアとして参加しています。
こうした単位認定をより一層取り入れていただくよう大学に働き掛けて、更にボランティアの確保に努めるべきだと思っております。
また、今後の生活困窮世帯の参加者の増加を踏まえると更に教室が必要です。
御提案がありました理解ある社会福祉法人に協力を得るなど教室の確保にも努めていきたいと思っております。
ボランティアの確保のための単位認定と教室の確保が、この埼玉モデルの二本立てになっていくのではないかと考えているところでございます。
A 関根郁夫 教育長
県では、学力に不安を抱える中学生を対象に、地域の方々が学習を指導する中学生学力アップ教室事業を行う市町村を支援しております。
この事業は、学校の教室や公民館などを活用して、放課後などに元教員や大学生が、生徒の理解度に応じた学習指導を行うものでございます。
家庭の経済状況に関わらず、原則無料でどの子供も参加できる貴重な学習の場となっております。
参加した子供たちからは、「授業の復習や分からないところを聞くことができて良かった」「家でも勉強するようになった」などの声が寄せられております。
事業をスタートした平成27年度は1市1町、平成28年度は5市4町で行われており、平成29年度につきましては、9市6町での予算を計上させていただいております。
今後も、このような取組を通じて、全ての子供たちがその能力と可能性を開花できるよう、子供たちの学習を支援してまいります。
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