トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年2月定例会 > 平成29年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (秋山文和議員)
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掲載日:2020年3月10日
Q 秋山文和議員(共産党)
1960年から70年代頃に建設された公社・公団住宅や公団仕様の民間共同住宅は5階建て以下のものが多く、エレベーターが設置されていないものがほとんどです。これらの建物は、建築後40年以上を経て耐震性への不安とともに、老朽化への心配があります。また、居住者が高齢化しているため、日常の移動に大変なのはもちろん、車椅子生活となった場合の移動や介護が困難になります。今、高齢化の中で、特別養護老人ホームなど入所施設建設を進めたとしても、在宅医療、在宅介護の拡充は不可欠です。
現在、福祉部を中心に地域包括ケアシステム構築が進められていますが、受皿となる居宅が在宅医療、在宅介護に適していなければ、これらの構想は困難になります。老朽対策、バリアフリー化など、民間老朽マンションが抱える課題解決は、まちづくりにとどまらず、大事な福祉・保健・医療の問題と考えますが、知事の見解を求めます。
国は、既存建物をバリアフリー化する場合には、一定の範囲内で建築基準法の適用を緩和して、エレベーター設置などの改修がしやすい施策を行っています。これに基づいて、公営住宅ではエレベーター設置を進め、全国で1,000か所以上、埼玉では県営6団地7棟でエレベーター設置が進みました。
公共住宅のエレベーター設置が進む一方で、UR分譲などを含む民間共同住宅では、エレベーター設置例は数えるほどしかなく、その差は際立っています。この原因は、既存の建物にエレベーターを増築するためには、各戸に数百万円の負担が必要となり、住民合意ができないからです。マンション管理組合の修繕積立金は、既存建物の維持保全のために積み立てられたもので、エレベーター増築までは想定しておりません。都市整備部長にお尋ねしますが、県内UR賃貸住宅とURが分譲したマンションでエレベーター設置状況に格差がある現状をどう認識をしていますか、お答えください。
老朽マンションのスラム化を懸念して、県は、この3年間に300を超えるマンションを調査し、管理組合が機能するよう支援していますが、私は、マンション管理組合に対する財政支援なしに、この問題は進まないと感じております。国土交通省に、優良建築物等整備事業として社会資本整備総合交付金の交付対象の中に共同施設整備費があり、この中に民間老朽マンションのバリアフリー化のためのエレベーターも含まれています。交付率が3分の1です。この事業は、地方公共団体が窓口になることが条件です。国は、全国の100万戸と言われる新耐震基準を満たしていない民間マンションの再生に門戸を開いています。県が条例もしくは要綱を作って、民間老朽マンションの長寿命化・再生事業制度に乗り出していただきたいと思いますが、知事の答弁を求めます。
A 上田清司 知事
民間老朽マンションが抱える課題解決は、大事な福祉保健医療の問題ではないかについてでございます。
築年数の古い分譲マンションでは、建物の老朽化と入居者の高齢化が同時に進む、いわゆる「2つの老い」が進行していると言われています。
こうしたマンションの老朽対策やバリアフリー化は、地域包括ケアシステム構築の観点からも重要であると認識しております。
次に、県が条例もしくは要綱を作って民間老朽マンションの長寿命化・再生事業制度に乗り出すことについてでございます。
分譲マンションは私有財産であり、その管理は所有者で組織される管理組合が自己の責任と自助努力で行うことが基本だと考えます。
一方、老朽マンションの長寿命化や再生には専門的知識やノウハウも必要であります。
このような課題に対して、平成26年5月、県と分譲マンションの多い41の市町はマンション行政連絡会議を設置いたしました。
県は先導的な取組を行うこととし、平成26年度からの3か年で老朽マンション対策に意欲的な9市と連携し、建築後30年を経過した老朽マンションの管理適正化を支援しているところでございます。
この事業では363団地を対象に実態調査を行い、課題のある24の管理組合にマンション管理の専門家である「埼玉県分譲マンションアドバイザー」を派遣し、長期修繕計画の作成などの支援をしております。
県としては、地域の実情に詳しい市町村とともに老朽マンションの長寿命化や再生などの支援策について研究をしてまいります。
A 福島浩之 都市整備部長
県内UR賃貸住宅とURが分譲したマンションでエレベーター設置状況に格差がある現状をどう認識しているかについてお答えを申し上げます。
埼玉県内のUR賃貸住宅におけるエレベーターの後付け設置数は、約90基程度と把握しております。
また、URが分譲したマンションにおける後付けエレベーターの設置状況につきましては、把握できておりません。
マンションの改修事例に詳しいマンション再生協議会の調べによりますと、民間分譲マンションでの後付けエレベーターの事例は平成14年以降全国で5件となっています。
URに限らず分譲マンションにおいては、後付けエレベーターの設置が進まない状況にあり、費用負担に関する合意形成が困難であることなどがその背景にあるものと認識しております。
県では、マンションの耐震化を促進しており、後付けエレベーターの設置は、耐震化された上で行われることが望ましいと考えております。
このため、マンションの耐震化やバリアフリー化に向けて入居者の合意形成が図られるよう、支援してまいります。
再Q 秋山文和議員(共産党)
私への答弁の中で、研究をしていくと最後におっしゃっていただいたのは、大きな前進の一歩ではないかというふうに認識しております。
マンションが果たす役割というのは歴然としておりまして、分譲マンション50年の歴史になりますけれども、今住んでいる総戸数が約600万戸に上っていますね。日本の住宅総数の約1割、持ち家でいえば約2割、そこにお住まいの方は1,450万人以上と。これが、先ほど知事もおっしゃったように2つの老いの中で、居住者が年老いて、マンションも経年劣化をしてくると。そして、確かにそこにお住まいの60歳以上の方、50パーセントを超えているんですね、もう。その中で、ついの住みかと考えている方が52パーセント以上と。やはりもうずっとそこに住み続けようということになります。
それで、マンションの寿命というのは約100年と今言われるようになりました。これから50年、地域包括ケアシステムの構築、在宅医療、在宅介護、この受皿としても本当に重要だと。そのために、私は、国が社会資本整備総合交付金の中にこのメニューを入れておりますので、個人財産も、もちろんそういう面はあるんですけれども、この仕組みそのものをですね、いつまでにどういう形で研究を命じていくか、その点で知事のお答えをいただきたいと。
再A 上田清司 知事
今いみじくも秋山議員が言われましたように、この分譲マンションの老朽化というのは埼玉県の課題でもありますが、日本全国の課題でもあります。
国土交通省においても、この課題についても相当研究が進んでおります。
そうした研究を、しっかり共有しながら公平性の問題だとか、そしてまた、街づくりの問題だとか、さらに地域包括ケアも含む保健医療の観点からも含めて総合的に判断しなければいけないものも多いと思います。
時間の明示というのは御勘弁いただきたいと思います。
積極的に取り込む課題だということをしっかり受け止めているということで御理解いただきたいと思います。
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