トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年2月定例会 > 平成29年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (権守幸男議員)
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掲載日:2020年3月12日
Q 権守幸男議員(公明)
本県の犬猫殺処分の現状は、今月2月5日現在で1,105頭、平成18年の犬猫殺処分数9,118頭に比べ、この10年間で約9分の1にするという成果が出ております。これには、埼玉県議会動物と共生する社会を推進する議員連盟の取組や各議員皆様の議会質問も後押しになったものと考えております。
しかしながら、現在推進中である5か年計画には、最終年度である平成28年度の目標を1,000頭未満と掲げており、現時点で目標を既にオーバーしているのも事実であります。この間、犬の殺処分数は確実に減少の一途をたどっていますが、猫の殺処分数はなかなか減りません。本県の動物指導センターへ持ち込まれる猫の実に8割近くが飼い主のいない猫であり、そのほとんどが生まれたばかりの子猫であります。子猫は頻繁な授乳が必要なため、センターでは飼育ができず、処分せざるを得ないのです。こうした不幸な猫を減らすため、飼い主のいない野良猫に不妊・去勢手術をし、地域の合意を得た上で、トイレや餌やりなどの一定のルールを決め、その猫一代に限り地域で面倒を見る取組が地域猫活動です。
本県は、この活動を推進するため、市町村に対し補助金を交付する制度を平成24年度に立ち上げ、平成25年度から上尾市、入間市、吉見町の3市町で取組がスタートしました。今年度は10の市町で取り組まれており、合計13市町で既に取組が行われております。まず、これまで取り組んできた地域猫活動の成果と課題について、保健医療部長にお聞きします。
次に、県からの補助により、平成25、26、27年の3年間、地域活動に取り組んでこられた上尾市や吉見町は、県からの補助が終了した平成28年度から、独自に地域猫活動を支援する事業や猫の不妊・去勢手術を始めています。先日、上尾市の取組について、市の職員、上尾伊奈獣医師協会の獣医師さんからお話をお聞きする機会がありました。上尾市では、市民が捕獲した野良猫に対して、獣医師協会の協力により無償で不妊・去勢手術を実施しているとのことであります。地域猫活動は継続が重要であります。今後、本県は3年間の補助が終わった後、市町村が地域猫活動を継続できるような支援をするべきと考えます。見解について、保健医療部長にお聞きします。
もう一つの課題は、本県の動物指導センターに持ち込まれた犬猫の譲渡先をいかにして増やすかということです。例えば神奈川県の動物保護センターでは、登録している44のボランティア団体がそれぞれに毎月譲渡会を開催しているそうで、今月2月は16回、来月3月は12回の開催を予定しております。こういった譲渡会を頻繁に行うことで、動物保護センターに持ち込まれた犬猫が新たな飼い主のもとに行き、何とか殺処分数ゼロを達成しているとのことであります。本県も神奈川県の取組を参考にして、センターからの譲渡を強化するべきと考えます。見解について、保健医療部長にお聞きします。
最後に、犬猫殺処分数ゼロを達成するためには広報啓発活動も重要であります。平成29年度当初予算には、地域猫活動の啓発費も計上されたところでありますが、犬猫の殺処分ゼロに向けた取組を県民に広く知ってもらい、県民の協力を得ることが大切であります。それには県の広報紙、彩の国だよりの一面全面を使うくらいのアピールを是非していただきたい。見解について、保健医療部長にお聞きします。
A 三田一夫 保健医療部長
まず、「これまで取り組んできた地域猫活動の成果と課題について」です。
県の地域猫活動事業については、平成24年度から平成28年度までに13市町が利用しており、制度利用が終了した吉見町では県の制度と同様の助成制度を町単独で継承していただいております。
また、上尾市と草加市では、野良猫の不妊去勢手術に特化した独自の助成制度を創設していただいております。
こうした取組により、平成18年度に4,440頭であった野良猫の収容数を平成27年度末には1,807頭まで削減することができました。
現行の地域猫活動推進事業は、市町村に対し、自治会や動物愛護団体の協力のもとで、野良猫が問題となっている地区を定めて実施していくことが求められています。
一方、市町村からは、この制度を利用したいが、猫の不妊去勢手術や餌の管理などに協力していただける自治会や動物愛護団体が見つからない、猫の不妊去勢手術と管理を行う地域猫活動を実施する地区を特定できないなどの課題を指摘していただいております。
このため、平成29年度から、新たに現行の事業に加え、団体の協力や地区の特定を前提としない、野良猫の不妊去勢手術に特化した市町村補助制度の創設を予算案に計上しているところです。
次に、「県は3年間の補助が終わった後、市町村が地域猫活動を継続できるような支援をするべき」についてです。
地域猫活動推進事業は、事業期間を3年間に限定し、1回のみ助成するもので、限られた財源の中で、より多くの市町村に参加していただくことを想定しております。
事業終了後も3年間の成果を野良猫の問題解決や殺処分削減に活かしていただけるよう、市町村への事業運営や野良猫の飼育方法等に関する助言に努めております。
一方で、各市町村にお住まいの彩の国動物愛護推進員230人が、野良猫の不妊去勢を行う場合、その費用を支援する制度を平成29年度予算案に計上いたしました。
こうした制度を活用いただくことで市町村の取組を支援してまいります。
次に、「神奈川県の取組を参考にして、センターからの譲渡を強化すべき」についてです。
神奈川県では、動物愛護団体が県の動物保護センターから犬猫を引取り、その後引き取った犬猫を譲渡しています。
そのことが神奈川県の殺処分ゼロに大きく貢献していると伺っています。
本県でも現在、34の団体に譲渡の協力をいただいておりますが、埼玉県で殺処分となる猫の8割以上が子猫です。
生後間もない子猫は昼夜を問わず授乳を行う必要があるなど、飼育に多大な時間と労力を要することから、一般の方に譲渡することは困難です。
そこで、来年度から新たに、授乳期の子猫を一時的に預かっていただくボランティアに対し、ミルクの提供や体重計の貸出しなどを行う、ボランティア支援制度を創設いたします。
お話の、譲渡に関する先進的な取組を研究するとともに、引き続き、協力していただいている団体が行う譲渡会を支援してまいります。
次に、「県の広報誌「彩の国だより」の1面全面をつかうくらいのアピールを」についてです。
県の犬猫の殺処分ゼロに向けた取組、中でも地域猫活動の推進や犬猫の譲渡は、広報することが極めて効果的です。
今後とも、議員の御提案を参考に、「彩の国だより」1面全面はもとより、発信力のある広報媒体を用いて啓発活動の強化を図ってまいります。
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