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掲載日:2020年3月9日

平成29年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(鈴木正人議員)

AI(人工知能)について

Q 鈴木正人議員(県民

近年、AI(人工知能)研究はすさまじい進歩を遂げております。先日、自民党県議団の小谷野団長も代表質問で取り上げていらっしゃいましたが、これまでのチェスや将棋に加え、ついには将棋においても人間を破ったことは記憶に新しいと思います。これまでは人に代わる、むしろ正確性とスピードではたけることの多いロボットが多く開発され、日本の産業をはじめとした様々な分野で活躍してきました。そして、ロボット活用を含め、経済大国としての地位を確立したのであります。
反面、失ったものも多く、熟練した職人による技術の多くはロボットによる大量生産のあおりを受けました。伝統と引き換えに効率と利益を得た結果となっております。ところが、精密さと生産性において利があると言われているロボットでありますが、最終工程はやはり人間の手と感覚によらなければならないという話もよく耳にします。
さて、現在、急激な開発と試験が重ねられているAIでありますが、機械学習をベースとした利用として識別、予測、実行が主たるものと解されております。人工的な知能を持つことによって、一般的なロボットに比べ数段高いレベルでの活躍が期待されております。中でも医療現場においては、東京大学医科学研究所ではAIの助言を受けて診断治療方針を採用した結果、慢性骨髄性白血病の劇的な改善が図られたという実績を得たほか、自治医科大学では患者の症状から鑑別診断を提示し、診療を支援するシステム、ホワイトジャックの開発、グーグルの開発チームにおいては深層学習の技術を応用した糖尿病性網膜症などの網膜疾患の画像識別において眼科医と同レベルまたはそれ以上の精度で診断が可能となる研究を進めており、臨床の現場において貢献する日は遠くないはずであります。
このように、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータが模倣するのがAIであるわけですが、機械学習より高度な深層学習の進化や感情を持たせることへの研究が進んだ場合、純粋に喜んでばかりいられないのも事実であります。
前述のように、ロボットは人間の作業を補完することから始まり、いつの日かほぼ工程の全てを担うこととなりました。今後、AIの進化により感情と意思を持った場合は、これまで人間が果たしてきた思考するというところまでAIに代わる可能性が否定できません。こうした場合、果たして人間とAIは共存していけるのかという不安さえ抱いてしまいます。事実、ホーキング博士は人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが、同時に最後の出来事になってしまう可能性もあると言い、ビルゲイツはこれは確かに不安を招く問題だ、よくコントロールできればロボットは人間に幸福をもたらせる。しかし、数年後ロボットの知能は十分に発展すれば、必ず人間の心配ごとになると懸念したそうであります。今後、一層AI研究開発が進むにつれて、これらの懸念が現実のものとなるかもしれません。人工知能を有するロボットは、従来のロボット台頭と同様、いやそれ以上に人々に与える影響、中でも産業分野においては甚大と考えられております。
例えば、イギリスのオックスフォード大学で人工知能などの研究を行うマイケル・オズボーン准教授を中心として発表された論文によると、近い将来、これまで人の手によって行ってきた仕事の約半分が失われるという衝撃的なものでありました。このように、AIは人間にとってのメリットとデメリット、正にもろ刃の剣となっており、ということは人類の英知を集結し、形となりつつあるAIを生かすも殺すも、今を生きる私たちにかかっていると言えるのではないでしょうか。
そこで、上田知事にお尋ねいたします。
このようなAIロボットの開発普及は本県の雇用をはじめとした産業労働構造全体に影響が及ぶことが想定される中、どのようなビジョンを持って施策を講じていくのでしょうか。
一方、知事が提唱し、全国一の実績を誇る最少で最強の県庁をより進化させ、県民サービスの充実に資するためにAIのメリットを生かすべきと考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。

A 上田清司 知事

AIロボットの開発普及について、どのようなビジョンを持って施策を講じていくのかについてでございます。
AIロボットの開発普及は、人類に役立つ無限の可能性を持っている反面、人類がAIロボットを十分に制御できなくなるリスクもあるのではないかと考えられます。
このため、人間が相当な緊張感と知力を持ってAIロボットを確実にコントロールしていく必要があると考えます。
その上で、私は、AIロボットの開発普及を進める方向性を大きく2つ考えていけばよいのかなと考えます。
1つは、企業の生産性向上を促し、強い経済を創ることでございます。
県としても、平成29年度予算案では、産学連携や企業によるロボット研究開発への補助金公募枠を7件設けるほか、AIやロボット技術を学ぶ県内企業への人材育成事業を拡充しています。
こうした取組を通じて、県内企業のロボット分野への参入とともに、様々な場面でのロボットの活用を後押ししてまいります。
方向性のもう1つは、AIロボットを活用した社会的課題の解決です。
生産年齢人口の減少が進み、介護や医療、農業など様々な分野で働き手の不足が深刻化する中で、労働力の代替や生産性向上のためのAIロボットの活用が期待されます。
例えば、介護の分野では、AIを活用したコミュニケーションロボットや高齢者見守りシステムなどが開発されています。
これらの現場への普及を進めるため、県では介護施設がロボットを導入する際、補助制度を設けるほか、介護施設とロボットメーカーによる研究会を開催し、開発普及に向けた両者の連携を深めています。
平成29年度は介護施設の職員を対象に、介護ロボットの導入・活用に必要な知識・スキルを学ぶ講習を新たに実施いたします。
使う側の視点にも配慮しながら、AIロボットの開発普及を後押ししてまいります。
次に、「最小で最強の県庁」の進化や県民サービスの充実に、AIを生かすべきではないかについてでございます。
これまでもICTの導入により、計算やデータ整理など単純・定型的な業務の効率化が進みました。
今後AIを活用することで、知識や判断を必要とする複雑な業務についても改善ができるかもしれません。
例えば、各種の問合せに対して、いずれAIが自ら判断して、最初は文字で対応する、後には音声で答えてくれることができる可能性もあるかもしれません。
また、AIとビッグデータを組み合わせることで活用の範囲が広がります。
利用者の声などのビッグデータをAIが分析することで、行政の施策に対するニーズや事業効果を効率よく把握できるとも考えられます。
現時点では実験段階のものが大半であり、セキュリティ対策など実用化にはまだ課題が多い状況だと思います。
AIの導入については、最新の動向を踏まえながらしっかり研究してまいります。

  • 上記質問・答弁は、速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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