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掲載日:2023年5月9日
Q 福永信之 議員(公明)
ドクターヘリは、東京都、福井県、香川県を除く道府県に配備されています。日本航空医療学会のデータによると、川越市にある埼玉医科大学総合医療センターから飛び立った本県のドクターヘリが平成29年度の1年間に現場に出動して診療した人数は543人です。うち交通事故は153人です。543人は全国で13番目に多い、交通事故の153人は6番目に多い人数です。ドクターヘリに搭乗する埼玉医科大学のフライトドクター、フライトナースや運航に当たるパイロット、整備士さんたちがいかに頑張って県民の命を守っているか数字が雄弁に物語っています。
埼玉医科大学総合医療センターの堤晴彦病院長から、「ドイツの15分ルール」という言葉を教わったことがあります。全ての国民は15分以内に医療を受ける権利があるというルールです。本県にはドクターヘリが着陸できる場所、ランディングポイントが599カ所あり、県内であればおおむね15分以内に現場へ到着し、医師と看護師が治療を開始できます。重篤な患者やけが人の場合は機内で治療しながら飛び立ち、約15分で埼玉医大の集中治療室に到着できます。救命救急センターのない地域であっても、あるのとほぼ同じような医療を受けられます。病院を建設し、医師を確保するための費用などを考えれば極めて経済的であり、即効性があると言えます。
ドクターヘリの運航経費は、飛行回数にかかわらず、国の定めた一定の額が県から運航主体である埼玉医科大学に補助金として支出されています。本県の場合、平成28年度の出動回数は387回、本年度は600回を超えます。額は増えません。ドクターヘリの予算額は約2億5,000万円。ヘリの種類が違うこともありますが、防災ヘリの予算が年間約7億円前後で、過去5年間の年間平均出動回数が約115回であることと比べれば、ドクターヘリの奮闘ぶりがうかがえます。
先日、ドクターヘリのパイロットと懇談しました。悪天候で飛べない日も加えての年間出動回数ですから、1日に5回飛ぶ日もあるそうです。パイロット不足という課題もあります。また、本県の交通事故死亡者を見ても平成24年までは200人以上でしたが、25年以降は151人から180人の間にとどまっています。全国的にも平成20年の5,197人から毎年減り続け、平成29年には3,694人と約3割も減りました。ドクターヘリの出動が増えるとともに死亡者が減っている。ドクターヘリの活躍が死亡者数削減に寄与していることは言うまでもありません。交通事故死亡者が減ったことで、損保会社は死亡保険金の支出が減ったといえます。
そこで、全国知事会長でもある知事に3点お尋ねします。
1点目、損保会社は自賠責に限った運用益拠出事業を行っており、ドクターヘリ事業にも補助を出していますが、その額は年間わずか1,050万円に過ぎません。もっと支援すべきです。安定的な運航に資するため、あるいはパイロットの育成や運航チームを顕彰することなどを目的とした基金を作るよう、損保会社に要請なさるお考えはありませんか。
2点目、全国的にもフライト回数が増えている実態を踏まえ、国へ補助金額の引上げを求めるべきと考えますが、前向きな御答弁をお願いします。
3点目、日没後の出動について、防災ヘリの活用も視野に置きながら安全運航に最大限配慮しつつ検討し、試験運航を開始するなさるお考えはありませんか、御答弁をお願いします。
本県には、重症の患者、負傷者にはドクターヘリが、軽症の方あるいは受診を迷っている方には救急電話相談が整備されています。平成30年1年間の電話相談件数は、大人が8万2,321件、1日平均225件、子供が11万2,790件、1日平均309件と多くの県民に利用されています。一方、ドクターヘリについては、冒頭に全国比較のできる最新年度の数字を挙げましたが、平成30年の1年間で見ると636回も出動しています。重症者にはドクターヘリ、軽症者には#7119、車の両輪となって県民の命を守っています。全国トップレベルの取組です。知事、誇りを持って是非とも前向きな御答弁をお願いいたします。
A 上田清司 知事
ヘリのパイロットの育成や運航チームを顕彰することなどを目的とした基金をつくるよう損保会社に要請することについてでございます。
ドクターヘリはドクターとナースをいち早く現場に届け救命率の向上や後遺症の軽減を図るなど、今や救急医療にとって欠くことのできないものになっております。
損保会社に対して基金をつくるよう要請する考えはないかとの御指摘でございます。
損保会社としては被保険者から保険料を収受し、被保険者との契約に基づいて保険金を支払うことが原則です。
自賠責保険の場合、死傷者数の減少により保険金の支払いが減少した場合には保険料率を引き下げ、被保険者に還元されるのが基本になっているのが原則でございます。
一方、知事はドクターヘリの安全運航に責任を持つ当事者でもございます。
このため、知事の立場で基金の創設を含め保険料の使い道を保険会社に対し要請すること自体はなかなか難しいのかなというふうに考えます。
議員が御提案いただきました内容については日本損害保険協会にお伝えしたいと思います。
そしてその判断というものをよくお伺いしながら、こうしたことが可能かどうかさらに追っかけをさせていただきたいと思います。
次に、国へ補助金額の引上げを求めることについてでございます。
平成29年度における全国のドクターヘリ1機当たりの出動回数は537回で10年前の約1.5倍になっています。
本県でも出動回数は右肩上がりで増加しており、国に対し、ドクターヘリの補助金についても改善を求めております。
国の補助基準額は段階的に引き上げられ、現在のところ10年前の約1.5倍まで増額されましたがまだ十分といえない状況です。
ドクターヘリを安定的に運航していくために、実態に即した補助金額を確保できるよう引き続き国に対して要望をしてまいります。
次に、日没後の出動について、試験運航を開始する考えはあるかについてでございます。
運航主体の埼玉医科大学総合医療センターでは、スタッフの確保や夜間飛行のリスクなどから現時点では難しいとの判断であると伺っております。
日没後まで運航時間を延ばすことでより多くのパイロットが必要になりますが、全国的な人材不足の中で夜間飛行ができる熟練したパイロットを確保するのが大変難しい状況だと伺っております。
防災ヘリを活用するとなると、医療機材の搭載や医療スタッフのピックアップなどに多くの時間を要することになり、「いち早くドクターとナースを現場に届ける」という役割を十分果たすことができません。
日没後の運航にはこうした多くの課題があり、試験運航を開始するのは難しいとは考えております。
よく課題を研究する必要があるかと思っております。
福永議員の御提案から生まれた一つのアイデアがございます。
例えば医師の乗ったドクターカーを派遣し患者の乗った救急車に合流させるなど、病院到着前からいち早く処置を開始するための方法などが検討されないだろうかと、このようなアイデアが私たちの間で生まれました。
早速相談してみたいと思っております。
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