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掲載日:2023年5月9日
Q 高木真理 議員(立憲・国民・無所属)
「教員の多忙化」という言葉がよく聞かれるようになって、どのくらいたつでしょうか。最近初めてお会いした方に「お仕事は」と伺ったら、「ブラック職場で有名な教師です」と自虐的な答えが返ってきました。生身の子供が相手の仕事なので、働き方改革と一口に言っても定式化しにくく、難しいのは分かります。
しかし、その分しっかりと知恵を働かせて実際の成果を出していかないと、体調を崩す先生も出かねませんし、心の健康が保てなくなって子供に良い指導ができなくなるおそれもあります。実際、教師のなり手が減ってきているという問題もあります。採用試験の倍率は下がっています。また、病休者や産休者、育休者の代替教員の補充に支障を来している県もあると聞きますが、埼玉県はどうでしょうか。
さて、こうした背景の中で、2020年度から小学校で、2021年度から中学校で新学習指導要領が導入されます。この全面実施に向け、本年度は小中で先行実施中で、小学校3、4年生での外国語活動の新規導入、高学年での英語の教科化、また、小学校では本年度から、中学校では来年度から道徳の教科化が行われます。道徳を教科化して成績を評価するぐらい、ばからしいものはないと私は思っていますが、国で決まったからには仕方がありません。現場の先生には、これらの新しい授業をどのように行うかの準備や研究に、通常の授業に加えた時間を割く必要があります。
どの職場でも、新規事業の立ち上げや大型対応案件の出現などで一時的に、あるいは特定の部署で繁忙期を迎えるということはあります。しかし、今ただでさえ相当な労働時間になっている学校現場なので、漫然と新しい負担を加えるのではなく、工夫がないと先生たちが潰れてしまいます。
今回、文科省は、1月25日の中教審学校の働き方改革特別部会の答申を受けて、文科大臣を本部長とする学校における働き方改革推進本部を設置しました。学校の先生は、学級を経営する上で一人ひとりが独立した社長さんのようなところがあるので、管理が難しいところもあると思います。しかし、この現状を良くしていくためには、県教委においても教育長自らが本部長となってその決意を示し、強いリーダーシップを発揮して改革をぐっと前に進めるべきではないでしょうか。
そこで、以下の項目について教育長に伺います。
1点目、そもそもの多忙化解消はどのくらい進んだのでしょうか。
2点目、補充されていない休職代替の実態はどうでしょうか。
3点目、具体的に負担減のためには、仕事量を何割ぐらい減らす必要があると考えているでしょうか。
4点目、全体の働き方改革がなかなか進まない中、新学習指導要領の導入に伴う負担増が出ておりますが、この問題への対応はどうなっていますでしょうか。
5点目、県教委として市町村教育委員会や各学校での負担軽減にどのように関与しているのか、また、今後関与して前に進めるつもりはあるか。
以上5点につき、教育長の御所見を伺います。
A 小松弥生 教育長
まず、「多忙化解消はどのくらい進んだのか。」についてでございます。
県では、平成24年3月の「学校における負担軽減検討委員会報告書」に基づき、文書作成や調査回答事務の効率化など、負担軽減に取り組んでまいりました。
平成30年9月1日現在、市町村の取組状況は、学校閉庁日の導入率が95%、負担軽減検討委員会の設置率が71%、教職員の事務処理の効率化に役立つ校務支援システムの導入率が58%となっております。
また、業務改善加速事業のモデル地域として取り組んでいる伊奈町では、カエル会議、業務アシスタントの配置など行い、昨年度同時期と比較したところ、平日の在校時間が、小学校で35分、中学校で18分減少し、負担軽減が図られているという成果も出ております。
今後も、県教育委員会といたしましては、小中学校における教職員の負担軽減に関して、市町村をしっかりと支援してまいります。
次に、「補充されていない休職代替の実態はどうか。」についてでございます。
平成30年12月1日現在における小中学校での休職者数120件のうち、休職代替が補充されていない件数は、7件となっておりますが、関係機関等と連携を図り、早期の解消に努めております。
次に、「負担減のためには、仕事量を何割ぐらい減らす必要があると考えているか。」についてでございます。
教員の仕事量は、例えば、授業準備など、子供のために丁寧に行う業務もございますので、定量的に捉えて、一概に何割減らすということは難しい面があると考えます。
しかし、教員が子供と向き合う時間を確保し、学校教育の質を維持向上させるためにも、減らせる業務は、可能な限り、負担を軽減していくことが必要でございます。
そこで、今後、調査回答に要する時間の2割削減、部活動の適切な活動時間設定による時間減、外部や地域の人材活用による業務削減など、あらゆる手段を駆使し、負担軽減に取り組んでまいります。
次に、「新学習指導要領の導入に伴う負担増への対応はどうなっているのか。」についてでございます。
県といたしましては、教員の負担に十分留意しながらも、各学校において、新学習指導要領が円滑に導入できるよう、支援することが重要と考えております。
具体的には、小学校英語の教科化に対応し、各学校が効率的に指導体制を整えられるよう、各小学校の英語指導の推進役となる教員を対象に研修を実施しております。
また、小学校英語の教科化に伴う授業時数の増に対応するため、英語を専門に指導する専科教員を配置しております。
さらには、中学校における道徳の教科化や小学校のプログラミング教育の導入については、教員が戸惑うことなく指導ができるようにするため、実践事例を掲載した指導資料を提供し、教員の負担軽減を図ってまいります。
最後に、「県教委として、市町村教育委員会や各学校での負担軽減にどのように関与し、また、今後、前に進めるつもりはあるのか。」についてでございます。
県では、市町村を対象とする様々な会議等において、県内各市町村や他の都道府県における負担軽減に関する優良事例を情報提供するとともに、学校現場における負担軽減を一層推進するよう働きかけております。
また、本年度末を目途に、「学校における働き方改革基本方針」を策定すべく、準備しているところですが、その中で、市町村教育委員会や学校、保護者、地域等に対し、働き方改革への理解と協力を得られるよう、県としての強い意志や姿勢を示してまいります。
今後、県の方針をもとに、各市町村が状況に応じて方針を策定することになりますので、引き続き、県と市町村が協力して働き方改革を力強く推し進めてまいります。
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