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ページ番号:147312

掲載日:2023年5月9日

平成31年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(浅野目義英議員)

児童養護施設出身者の進学について

Q   浅野目義英   議員(立憲・国民・無所属

虐待を受けた、実の親が養育できないなど、児童養護施設で暮らす子供たちの入所理由は様々です。幼い頃に絶対的な無償の愛を受けることで、自己肯定感が育つと言われています。入所してくる子供たちは、人として育つために不可欠な無償の愛を心にしみ込ませることなく、不安な心を持っています。心が痛むところです。そのため、学習習慣が体得できない、不安から進学を諦めてしまうなどのケースもあるようです。結果として、貧困の連鎖を生む可能性も生まれてきています。
私は、児童養護施設いわつきを訪問させていただいたことがあります。職員の方々から、一人でも多くの子供たちに、大学などに進学して将来の夢に向かって前進してもらいたい、子供たちに早い時期から勉強に取り組むことを促すなど努力を傾けているという話を伺いました。頭が下がる思いでした。
また、県では、施設を巣立ち、大学などへ進学した子供たちに住居を提供し、社会福祉士が日々生活相談に応じる知事肝いりの「希望の家」事業を行っています。この児童養護施設の退所者を温かくフォローする取組は、平成29年12月に全国知事会から優秀施策として表彰され、高い評価を受けました。
しかしながら、埼玉県の児童養護施設の子供の大学などへの進学率は28%、一般世帯の74%に比べ極めて低い状況にあります。私は、どんな子供にもひとしくチャンスがある社会を生む取組は重要なことだと考えています。
その子供たちの大学進学の受入れを後押ししようと門戸を広げた大学側の動きが少し目立ってきました。立教大学コミュニティ福祉学部では、2015年度から入学合格者の中で施設出身者の4年間の学費を無料にし、年間80万円の奨学金を給付しています。1年置いて、2017年度から早稲田大学では全学部を対象に4年間の学費を無料にし、月額9万円の奨学金を給付しています。2018年度から青山学院大学では、施設出身者に限定した推薦入学制度を学部にかかわらず設けたという特徴的な制度を実施しました。合格者は4年間の学費を無料にし、月額10万円の奨学金を給付しています。全国の各施設から10名の推薦があり、実際に2名が入学をし、学んでいるそうです。このように、児童養護施設で暮らす子供たちの大学進学の扉を広げる動きが加速しています。青山学院大学の三木義一学長は、「全国の大学が養護施設出身者を一人ずつ受け入れられれば、600人の子供の未来が広がる。日本の大学が一丸となって取り組んでいくことが理想だ」と話されています。
「小学校、中学校の義務教育の期間は何とかなるが、高校に進学したり大学を考えると、経済の問題が課題となる」との関係者の意見もうなずけるところです。県立大学でこういった取組が可能でしょうか。埼玉県自らが、県立大学において児童養護施設の子供たちに高等教育の機会を提供していくことは重要な取組ではないかと考えています。児童養護施設出身者の進学支援を充実させるため、県としてどのように取り組んでいくのか。この大学の設置者である知事に見解をお聞きします。答弁ください。

A   上田清司   知事

児童養護施設の子供たちに対し、進学支援に力を入れることは子供たちの将来の選択肢を広げるためにも極めて大切な御提案だと思います。
このため県では平成27年度から大学などへの進学者を支援する「希望の家」を設置し、低額な住まいの提供とともに支援員が定期的に訪問しサポートしております。
一方、大学などへの進学支援は施設に入所中からの支援が重要です。
子供たちが充実した学校生活を送りながら学習の習慣を身に付け、さらに、一般家庭の子供たちと同等の学習環境を整え学力向上を図る機会も確保する必要があります。
こうした考え方から、平成30年度から本県独自に児童養護施設の子供たちの塾の費用や受験料などを補助する「フェアスタート応援事業」を新たに始めました。
さらに、民間企業からの支援の輪も広がっております。
児童養護施設から大学などへ進学する子供に対し、平成27年度から県内民間企業に独自の給付型奨学金制度を設けていただき、現在までに10名がこれを利用して大学などへ進学しております。
県立大学に児童養護施設出身者に限った推薦入試を導入するなどの議員の御提案は、大学などへの進学支援を必要とする子供たちに光を当てるという視点からはビッグアイデアだと思います。
導入に当たっては公立大学法人であります県立大学の自主性を尊重する必要があります。
まずはこういった議論があったことをしっかり県立大学にお伝えし、検討していただきたいと思います。
今後も、児童養護施設の出身者が自ら希望する進路を選択できるようしっかりサポートさせていただきたいと思います。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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