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ページ番号:170103
掲載日:2022年8月15日
Q 中川 浩 議員(改革)
児童相談所の職員を増員しようにも、なり手不足だと先日報道もされておりました。子供と接していて、学校などで子供の状況を把握し、地域の協力を得る密接な関係が市町村では構築できておりますが、児童相談所職員は人事異動が県内の広範囲で、地域密着で理解するのは組織論として無理があり、地域に根差せる関係は困難です。
そして現在、市町村職員に子供を保護する権限はありませんが、虐待通報を県が受けたら、緊急の場合を除くほとんどの場合、児童相談所職員が市町村職員1人から2人を帯同させているのは、日頃の子供、家庭の状況を聞くためと、その後、市町村に直接家族と関わっていただくためです。日頃の状況を実際見ていない児相職員は、子供の状況についての決断に自信を持たせるためもあって子供を病院に連れていきます。これらに効率の悪さなどがあります。地域の支援者も、実際、歯がゆい思いをされています。子供、保護者の実情を実感を持って理解をしている市町村職員に保護要請権限、保護助言の格上げを試行的、段階的に認め、それに従って確実に保護することが必要ではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
虐待通報があったうち、結果として保護しておらず、不登校になっているネグレクト、育児困難状態の子供の人数を、質問を今回する前に調査をしていただきましたが、それは何人で、その内訳とアスポート支援は受けられていますでしょうか。お答えいただきたいと思います。
保護者の精神疾患などの理由で育児が困難になっている場合、子供が必要な御飯を食べられておらず、朝起きられず、学校に行けなくなることは当然あります。疾患の度合いにもよりますが、子供がいる状態では保護者自身の病状が良くならずに、つらくなるケースが県内で実在します。保護者が早く回復するためにも、今よりも子供をフラットに保護できるようにして、児童養護施設に入れるような仕組みの構築についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
虐待とは別の観点で、児童相談所が保護する人数を増やすには、施設も増やしていかなければなりませんが、国は現在、乳児院を除く児童養護施設の増設に難色を示しており、国に働き掛けるには知事会もありますが、具体的に知事がどのような方法で結果を出したいとお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
子供にとっても落ち着いた環境にすることが何より大切です。精神疾患の親の家庭に市町村職員を派遣しても、児童相談所職員や学校の先生が訪問しても、それと教育的支援は別物です。義務教育の機会の保障をどうしていくのか。子供の成長期はかけがえがありません。
埼玉県が発祥の子供の学習支援、アスポート事業ですが、先ほどの子供のうち、親の承諾が得られなければ、現状支援を行えませんが、教育委員会と今後具体的に協議をして、親の理解を得やすくし、義務教育が確保できる仕組みが必要です。この部分はボランティアでできるレベルを超えた専門性が要求されますので、予算化についてのお考えをお示しください。
A 大野元裕 知事
まず、「人手不足にも関わらず、現場に無理のある現状の対応」のうち市町村職員に保護要請権限を試行的・段階的に持たせ、確実に保護することについてでございます。
平成16年の児童福祉法の改正により、市町村も児童虐待の通告を受ける相談窓口として位置付けられました。
身近な市町村において相談や安全確認、継続的な支援が行われることは、児童虐待を防止する上で大変重要なことです。
議員お話しの一時保護は子供の処遇に重大な影響を与えるものであり、児童福祉法に基づく権限であります。
政令市を除く市町村は一時保護を行う権限を有しておりませんが、市町村職員は家庭環境や学校での様子などを把握しやすい立場にあります。
子供の安全確保には、こうした市町村職員が有している情報を活用することが重要となります。
児童虐待防止法では、市町村が一時保護することを適当と考える場合には、その旨を児童相談所長に要請する制度があります。
市町村に対して、こうした制度があること、活用することについて改めて周知を図るとともに、市町村と連携を密にし、必要な場合には子供の安全確保を最優先に躊躇なく一時保護をしてまいります。
次に、虐待通告があったうち、保護しておらず不登校になっているネグレクト・育児困難状態の子供の人数とその内訳、アスポート支援を受けているのかについてでございます。
本年4月から10月までの間に虐待通告があったネグレクトの家庭を調査したところ、不登校の小中学生は23人おります。
そのうち、全く登校できていない子供は9人、月数回の登校やフリースクールを利用しているなどの子供が14人となっています。
アスポート事業により学習支援を受けている子供はおりませんでした。
次に、子供をフラットに保護できるようにし、児童養護施設に入所させる仕組みについてでございます。
児童相談所では子供の安全を第一に考え、リスクがある場合は躊躇せず一時保護を実施することとしています。
一時保護をするに当たっては、危険度を判定する29項目からなるリスクアセスメントシートの活用により、客観的かつ組織的に判断を行っています。
また、一時保護した後の対応としては、虐待の状況、親子関係などを考慮し、家庭に戻すことができないと判断した場合には、施設入所などの措置を講じています。
一人一人の子供の状況を適切に把握し、子供の安全確保と最善の利益を最優先に一時保護や施設入所への適切な対応を引き続き行ってまいります。
次に、「国への働き掛け」及び「通報があったうち、不登校になっている子の保護と、『義務教育』確保の予算化を」でございます。
まず、児童養護施設の増設を国に働き掛け、どのような方法で結果を出したいと考えているのかについてであります。
国では家庭養育優先の原則のもと、施設養育から里親委託へ大きな転換を進めています。
しかし、それを実現するためには、里親の確保や育成、社会全体の意識の醸成など多くの課題があり、一定の時間が必要となります。
安全確保の観点から家庭に戻すことができない子供は、まずは里親委託を検討し、それが難しい場合には、児童養護施設に入所することとなります。
施設には心理担当職員などの専門スタッフや様々な処遇のノウハウを持ったベテラン職員もおり、心に傷を負った子供にきめ細かなケアができるようになっています。
また、地元の学校に通学し、勉学に励むことができる環境もあります。
県では本年7月に関東地方知事会を通じて、国に対して子供の養育の受け皿となる児童養護施設が十分確保されるよう、施設整備に対する財政支援を要望いたしました。
今後も地域の実情に応じて施設整備に柔軟な対応が図られるよう、様々な機会を捉え国に対して要望してまいります。
次に、親の理解を得やすくして、義務教育が確保できる仕組みと予算化についてでございます。
ネグレクトによる虐待を受け、かつ学習機会も与えられていない子供がいることは大変深刻な問題であります。
子供の将来を考える上で、教育を受けることは何よりも重要なことです。
現在、市町村教育委員会では不登校の子供たちに対して、一人一人に応じた学習や様々な体験活動を行う教育支援センターを設置をしております。
そこに通うことができない子供たちに対しては、家庭訪問による学習指導を行うアスポートなどの学習支援事業があります。
子供がこうした支援を利用するためには、親の同意と協力が欠かせないことから、これからも必要性を丁寧に説明し粘り強く理解を求めていく努力を講じていきます。
再Q 中川 浩 議員(改革)
虐待の通報、通告があったお子さんのうち、いわゆる市町村の教育センターを含めて学校などに行けていない子供については、そういう家庭の状況であるので、通常のアスポート支援というものとは別に専門的な支援が必要なので、事業化についてのお考えをお聞きしたかったのですが、予算化についての言及があったように感じませんでしたので、それについてのお考えをお聞かせください。
再A 大野元裕 知事
まず、先ほど答弁を申し上げたとおり、まずは親御さんに対して必要性を丁寧に説明することが大事であるのはアスポート事業のみならず、様々な支援を行う際に保護者の理解と許可が必要であるということから、まずは粘り強く理解を求めていきたいと思っております。
その上で親の理解を得やすくし、義務教育が確保できる仕組みについては県の教育委員会と連携をして、今後検討させていただきたいと思います。
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