トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和元年12月定例会 > 令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松井 弘議員)
ここから本文です。
ページ番号:170094
掲載日:2022年8月15日
Q 松井 弘 議員(自民)
今年も日本列島には多くの台風が接近、上陸し、大雨、洪水、土砂災害、暴風により各地に甚大な人的・物的被害をもたらしました。被災された方々に対して、お見舞いを申し上げます。
10月12日に上陸した台風第19号は、関東地方や甲信地方、東北地方などで記録的な大雨となりました。長野県や福島県では、この台風に伴う大雨や洪水により下水処理場が浸水してしまい、汚水処理機能が停止し、市民生活にも大きな影響が生じたと聞いております。埼玉県内においても、広い範囲で河川の氾濫や堤防の決壊が相次いだことで、床上浸水2,361棟、床下浸水3,282棟と、多くの住宅が被害を受けました。下水道に関しても、下水処理場の機能は確保できていたが、河川の氾濫により市町村が管理しているポンプ場などに浸水被害が生じたと聞きました。
下水道は、家庭や工場などから排水された汚水を、地中にある下水道管を通じて比較的市街地から離れたところにある下水処理場へ送り、そこできれいに生まれ変わった水を河川に流しているわけですが、施設のほとんどが地下にあるため、県民にとっては分かりづらい存在です。しかし、災害時などにトイレが流せずに不便をしたという報道があったように、実は生活になくてはならないとても重要なライフラインであります。今回、改めて下水処理を24時間365日継続し、提供することの重要性を認識したところです。
下水道事業は、県が行う流域下水道と市町村が行う公共下水道があります。特に、市町村が行う公共下水道については、人口減少や節水機器の普及、節水意識の向上により処理水量も減少傾向にあり、下水道を運営する上で必要な事業収入の確保が大きな課題となるのは間違いありません。また、下水道を建設し、維持管理する技術職員数の減少や、施設の老朽化に伴う改築更新費用の増加など、経営環境は厳しさを増しており、一層の効率的な事業運営が求められていると思います。こうした背景から、広域行政体としての県が、市町村の公共下水道事業を様々な面で支援することは非常に重要であると考えます。
本県では、流域下水道事業は公営企業としての下水道局が、また、市町村の公共下水道に関する指導監督事務は都市整備部が実施する二元体制でしたが、今年の4月から下水道局に一本化されました。下水道局がこれまで以上に、市町村の公共下水道に積極的に技術支援や助言を行うことを期待しています。
そこで、市町村の公共下水道に関する事務を一元化したことによる効果と今後の市町村支援の具体的な取組について、下水道事業管理者に伺います。
A 砂川裕紀 下水道事業管理者
まず、「公共下水道に関する事務を一元化したことによる効果」についてでございます。
昨年度まで、県の流域下水道事業は下水道局が、市町村の公共下水道に関する事務は都市整備部で実施する二元体制をとっておりました。
今年度から、これらの事業事務を下水道局に統合し、全国で初めて知事の事務を下水道事業管理者が執行する、いわゆる下水道事業事務の一元化を行いました。
一元化によりワンストップ対応が可能となり、下水道事業計画の変更や農業集落排水施設の公共下水道への接続手続などで市町村にとって事務の迅速化・効率化が図られております。
また、議員ご指摘のとおり、先般の台風第19号によって、市町村のポンプ施設などが浸水被害を受けましたが、県内の下水道に関する被災情報が、下水道局に一元的に集約されることにより、機動的な支援を行うことができました。
例えば、損傷した大谷川雨水ポンプ場を管理する坂戸、鶴ヶ島下水道組合では、災害復旧事業の国への申請期限が迫る中、技術職員不足により、対応が困難な状況でございました。
そこで、下水道局や埼玉県下水道公社が有する災害対応ノウハウを生かし、被災機器の精査や設計書の作成など技術的支援を行いました。
また、朝霞地区一部事務組合のし尿処理施設が浸水により機能の一部が停止いたしましたが、組合からの支援依頼を受けて、速やかに県の新河岸川水循環センターで、し尿の受入処理を行うことができました。
これらの取組は、下水道局と市や町や組合との情報共有・連携がこれまで以上に密接になった結果によるもので、下水道事業事務の一元化の効果であると考えております。
次に、「今後の市町村支援の具体的な取組について」でございます。議員ご指摘のとおり、市町村の公共下水道事業は、経営環境の厳しさが増しています。
市町村のより一層の効率的かつ効果的な事業運営のためには、下水道事業の広域化・共同化や人材育成などを図ることが必要です。
下水道局では、昨年度から、東松山市、羽生市、坂戸、鶴ヶ島下水道組合の2市・1組合から発生する汚泥の処理を流域下水道の施設で受け入れる共同化の取組を開始いたしました。
市や組合にとっては、県の施設を活用することにより、コストを削減できる一方、県にとっても、新たな収益が生まれるなど、両者にとってメリットのある取組となっています。
また、深谷市と久喜市において、改築更新の時期を迎えた農業集落排水施設を公共下水道に接続する広域化事業の支援にも取り組んでおります。
両市とも、令和3年度の接続に向けて、法手続や実施設計を行っているところです。
さらに、下水道公社では、今年度から処理場の効率的な運転管理の支援、設備の修繕に関するアドバイスなど、市町村のニーズに応えるトータルサポートを行っております。
併せて、技術職員不足に対応するため、下水道局や下水道公社が主催の実地研修や、若手職員を対象とした彩の国下水道塾などを通じた人材育成を行っております。
今後とも、下水道局や下水道公社が培ってきた流域下水道の経験やノウハウを生かしながら、更なる広域化・共同化など、市町村の支援に積極的に取り組んでまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください