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掲載日:2022年8月15日

令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(深谷顕史議員)

令和元年台風第19号被害を踏まえて - 県立学校体育館のエアコン整備、照明LED化について -

Q   深谷顕史  議員(公明

知事は、今回の災害時に避難所となった学校体育館を視察されましたでしょうか。本年9月の台風第15号では、私の地元川越市立南古谷小学校に13名の方が避難、ほとんどが災害弱者と言われる高齢者や小さなお子さん連れの御家族であります。蒸し風呂のような暑さで、準備に当たっていた川越市の職員も汗びっしょりでありました。台風第19号の際は、同体育館に200名以上の方が避難され満員となり、蒸し暑さで気分が悪くなりそうな方がたくさんおりました。大規模自然災害への備えとして、避難所の環境改善の必要性を痛感しております。
熊本県が行ったアンケート調査では、避難生活が1週間を超えるなど長期化した場合には、空調、照明等へのニーズが高まるとされております。近年頻発する自然災害による被害状況や災害弱者の健康維持とストレスの低減を考えると、生活環境に関する設備の早期稼働が不可欠であります。そこで、暑さ対策として新たな事例を紹介したいと思います。
11月28日、私は奈良県葛城市へ伺いました。同市は、市内3カ所の体育館に、天井吊ダクト形の大型スポットクーラーを常設設置しています。そのために必要なコストは、エアコンの本設置に比べ、工事費込みで10分の1以下まで抑えられたそうです。この大型スポットクーラーは、暑さ指数(WBGT)に着目し、熱中症予防を重視した設備で、今夏の運用において、利用者からは「空気が対流し、体感温度が下がった」との喜びの声を多数いただいたそうです。職員は、災害時に避難所となった場合も含め、その冷房効果に自信を持って語られていたのが印象的でありました。
一方で、本県は暑さ対策として可動式エアコンでの対応を想定していますが、もし小型のスポットクーラーしか確保できなかった場合、冷風も出ますが、排気もその場で出てしまいます。せいぜい排気の熱を人のいない方向にダクトを向けて逃がすくらいの対策しかありません。災害級の暑さと言われる真夏に災害が発生し、体育館に多くの避難者が押し寄せた場合、その冷房効果には疑問が残ります。このことは、電気や空調設備を扱う業者の方も口をそろえてそうおっしゃいます。
一方、大型スポットクーラーは、熱気は室外機から屋外へ放出されます。そもそも災害により道路が寸断されれば、可動式のエアコンを運んでくることもままなりませんし、必要な台数を確保できる保証がないことは明白であります。
次に、照明の問題であります。
6月定例会一般質問で木下高志議員が取り上げたとおり、多くの体育館の既存のHID照明では調光ができないため、災害時に避難所となった場合、避難者の睡眠の妨げになることがあります。HIDとは、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及び高圧ナトリウムランプの総称です。HIDランプは、2020年以降、生産中止になるとの大手メーカーの発表もあり、早期の調光機能付きLED照明へのリニューアルが必須です。安全性の面でも、HID照明は照射面がガラス製のため、地震による破損、落下の危険性があります。一方、LED照明の多くは照射面がポリカーボネート製のため、リスクを低減できます。
しかし、本県の対応は遅れています。県立学校体育館照明のLEDへの改修状況は、高等学校が11%、特別支援学校が25%にとどまっています。残念ながら、全て調光機能はついていません。
そこで、以下2点について、知事にお伺いいたします。
1点目に、これまで公明党は、財政上有利な緊急防災・減災事業債の活用というチャンスを生かし、県立学校体育館へのエアコン本設置を求めてきましたが、現在の本県の考え方は、空調機器設置済みの避難所がない14の地域の県立学校体育館に電源の整備だけを行い、いざというときには、さきに述べたように冷房効果に疑問のある可動式のエアコンを運んでくるものです。これでは役に立たないと我々は考えております。せめて奈良県葛城市で導入している天井吊ダクト形の大型スポットクーラーを常設設置することを是非検討していただきたいと思います。御所見をお伺いいたします。
2点目に、調光機能付きLED照明への改修については、大規模改修のタイミングを待っていては、全て交換できるまで数10年を要します。交換を前倒しすべきと考えます。御所見をお伺いいたします。

A   大野元裕   知事

県立学校体育館に大型のスポットクーラーを常時設置することについてでございます。
近年の猛暑を考えますと、避難所となる県立学校の体育館の環境整備については、課題として認識しております。
議員お話しのとおり、天井吊・ダクト型と呼ばれる大型のスポットクーラーには、初期投資が低額であるというメリットがあります。
しかし、エアコンは空間全体を冷やす機能を有しているのに対し、スポットクーラーは、特定のエリアにのみ冷風を送るものとなっています。
このため、夏季の災害時に避難所として使用する際の効果については、検証が必要であると考えています。
一方、現状では、暑さ対策以外にも、避難所となる建物そのものの老朽化など、施設面の課題もございます。
このため、現在、校舎、体育館などの老朽化対策や生徒が使用する実習棟などの耐震化といった、建物そのものの安心安全に関わる対策を優先させていただいているところでございます。
大型スポットクーラーの設置につきましては、新たな御提案でございますので、こうした課題も踏まえつつ、他の自治体の事例、体育館の構造や球技など生徒の利用への影響など、幅広く研究をしてまいります。
次に、調光機能付LED照明への交換を前倒しすることについてでございます。
現在、照明のLED化につきましては、照明のみを単独で改修するよりも、大規模改修の中で行う方が、単独で足場を設置する必要がないなど、工事費が抑えられることから、大規模改修の機会に実施しています。
しかしながら、議員お話しのとおり、水銀灯などの照明器具はメーカーの生産中止により、交換が困難になることも予想されます。
今後、こうした事態により学校活動に支障が出ないよう、課題を整理しながら、大規模改修以外の機会も捉えて、調光機能付LED照明への交換をしてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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