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掲載日:2022年8月15日
Q 井上将勝 議員(民主フォーラム)
厚生労働省は、2020年までに男性育休の取得率を13%にする目標を掲げています。にもかかわらず、2018年度の調査によれば、男性育休取得者の割合は6.16%と半分にも達しておりません。その背景には、最近話題に上がることも多いマタニティハラスメントや育休を取ると出世に響くという事情、何より子育ては女性がやるものという時代錯誤の認識があると思います。
男性の育休は女性の産休、育休と違い取らざるを得ない状況ではなく、いまだに選択できる状況、取ることが不可欠ではないという認識が強いのが現状です。その中でマタニティハラスメンと呼ばれる育休を取得する男性に対する嫌がらせが聞かれるようになりました。最近も日本を代表する証券会社や化学メーカー、スポーツ用品大手において復帰後に転勤を命じられた、復帰後に出向させられた、転勤を拒んで解雇されたなどいわゆるマタハラ被害の訴えがあり、訴訟にも発展しています。
生産年齢人口が減少し、人手不足が叫ばれる中、こんなことで優秀な人材を会社として失うのはばかばかしい話です。何より今回の問題により、当該会社は軒並み株価が下落しました。ここ数年で労働時間管理や女性管理職比率などを加味して投資するESG投資が当然になってきているからです。もはや男性の育休をはじめ社員の働き方改革は、そのまま経営に直結する時代となりました。また、子育ては女性がやるものという認識に至っては、時代錯誤どころか人としての認識に疑問を感じます。
私も今年の7月に第1子が生まれ、はなはだ不完全ながらも子育てをしています。今日も傍聴に息子が来ております。ちょっと騒がしいんで申し訳ないです。おれは子育てにノータッチなんて恥ずかしいことを息子や周りには言いたくないですし、自分の子供を育てているだけなのに、わざわざイクメンなんて気持ち悪い言葉で呼ばれたくもありません。男性も当然子育てに参加する社会にしなくてはならないことから、県が男性の育休取得率アップに向けて何をしていくのか、お尋ねいたします。
まず第1に、マタニティハラスメント対策について、県は県内企業のマタニティハラスメント被害について現状どれだけ把握し、どう対処しているのか。そして今後、そのようなことが起きないために、具体的にどのように企業側に働き掛けていくのかをお尋ねいたします。
第2に、企業側が育休取得に積極的になるように県として何を考えているのか。育休取得までの業務引継ぎの段取り、育休中の業務分担、育休明けの復帰予定先などの具体的な育休復帰支援プラン策定の支援や、そうしたプランを作成した企業に対する制度融資、税制優遇、入札加点など具体的なインセンティブを考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
新潟県長岡市の中小企業サカタ製作所は育休取得率100%を達成しました。その結果、社員の長期休暇を前提とすることで、業務の見直しや特定の人が仕事を抱える属人化の解消が起こり、生産性も向上したそうです。男性の育休取得は、母親の子育て負担軽減やワークライフバランスというだけではなく、それをすることが企業の生産性アップにつながる時代になってきています。県の積極的な行動をお願いしたく、産業労働部長の御所見をお伺いいたします。
A 加藤和男 産業労働部長
まず、「県は県内企業の『パタニティハラスメント』被害をどれだけ把握し、どう対処しているのか、被害が起きないためにどのように企業側に働きかけていくのか」についてでございます。
県の労働相談センターには、年間5,000件を超える相談が寄せられておりますが、これまで男性の育休取得に対する嫌がらせ、いわゆる「パタニティハラスメント」に関する相談は寄せられておりません。
国の相談窓口である埼玉労働局には、件数は少ないものの「育休を取る際に嫌味を言われた」などの相談があったと聞いています。
県といたしましては、労働セミナーでのアンケートや就労実態調査を通じて状況把握に努めるとともに、相談が寄せられた場合には、事業主への対応方法や法的な解決方法など、適切なアドバイスを行ってまいります。
また、企業に対しましては、企業向けのセミナーで、「パタニティハラスメント」の防止を働きかけるとともに、国、労働団体及び経済団体で構成される埼玉県公労使会議を通じて、普及啓発に取り組んでまいります。
次に、「企業側が育休取得に積極的になるよう、県として具体的なインセンティブを考えるべき」についてでございます。
県では、男女ともに働きやすい職場づくりに取り組んでいる企業を「多様な働き方実践企業」として認定しています。
認定を取得すれば、県が開催する合同企業面接会に優先的に参加することが可能となり、働きやすい企業であることをアピールできるなど人材確保でのメリットがあります。
また、議員お話のような、県制度融資の優遇貸付を利用できるほか、建設工事の入札参加資格審査での加点を受けられるなどのインセンティブがあります。
さらに、男性育休の取得実績がある場合は三つの認定区分に加え、「ゴールドプラス」といった「プラス」評価を行い、男性の働き方見直しにも積極的な企業として、企業イメージを高める工夫をしています。
このほか、10日以上の男性の育休取得を目標にした企業が、休業中の支援体制などについて、専門家のアドバイスを無料で受けられる取組も実施しています。
目標を達成した場合には奨励金を30万円支給するとともに、取組事例をホームページで広く紹介しています。
ワーク・ライフ・バランスへの関心が高まる中、男性の育休取得に取り組むことで、従業員の満足度が向上し、仕事に対するモチベーションも上がります。
また、休業中の従業員を他の従業員がカバーすることで、コミュニケーションの活性化や業務のやり方を見直すきっかけにもなり、業務効率が向上するといった効果も得られ、企業価値の向上にもつながります。
今後は、これまでの取組に加えて、男性の育休取得がより促進されるよう、埼玉県公労使会議を通じて県内企業の支援に取り組んでまいります。
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