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掲載日:2023年5月10日
埼玉県浦和競馬組合が設立40周年を記念して、浦和競馬チャレンジ奨学金を創立するとの報道がありました。これは浦和競馬組合の収益金の一部の1,130万円を公益財団法人埼玉県国際交流協会に設置されている埼玉グローバル人材活躍基金で活用するもので、海外留学生の費用などに使われるとのことであります。
御承知のとおり、浦和競馬は長期にわたり厳しい経営が続きましたが、関係者の並々ならぬ努力により、ついに数年前から黒字に転換し、現在では構成団体であるさいたま市及び埼玉県に対し、収益から配分金を支払う状況になりました。本年度もまたこの状況は続いております。正に関係者の浦和競馬の存続を願った血の出るような努力のたまものであるといっても過言ではありません。
さて、私はこの配分金の使途については、県民にも見える形で還元するべきであると常々考えておりましたが、このたび配分金とは別に収益金の一部が海外留学のための奨学金に無償で使われる趣旨のことを聞き、「えっ」と思いました。元はと言えば、この問題は我が自民党の柿沼議員が競馬議会で「収益金や配分金の使途については、競馬関係者の張り合いや、あるいは県民が理解をするように、何のために使われるべきかはっきり見えるようにすべきだ」という意見を述べたものから始まったものでございます。しかし、この趣旨を一体関係者は理解していたのでしょうか。やさしく言えば、柿沼議員の発言は、要するに恵まれない人にパンを与えよという意味なんです。ところが、今回のこの解釈は、恵まれて海外留学に行く人にステーキを与えるようなものなんです。
そもそも浦和競馬組合の収益金は、ほとんど県内の災害復旧費用とか県民の福祉の財源等に使われ、その一部は恵まれない環境で頑張っている人たちのために使われていたものであります。競馬事業の成り立ち、生い立ちを考えれば当然のことであります。
私は学生当時、浦和競馬でアルバイトをしていたことがあります。競馬場で働いていた人は、当時はほとんど母子家庭のお母さんでありました。そして苦学生でありました。苦学生は約150名もおりました。そのような人たちの頑張りのおかげで、今の競馬場があるということを決して忘れてもらっては困ると私は思います。海外留学を考える学生は、比較的生活に恵まれた環境にある人たちでしょう。今回の浦和競馬チャレンジ奨学金は、恵まれた人たちを更に応援するということになりませんか。今こそ原点に戻り、収益金は日の当たらない場所、恵まれない環境で頑張っている人、苦しんでいる人たちに使われるべきではないでしょうか。
考えてみますと、現在の浦和競馬の現場の関係者で留学などに縁のある人は一人もおりません。競走馬が病気に倒れますと、厩務員等は一晩中寝ずに、うまやの中で泊まって看病に当たっているんです。そのような方々からすれば、収益金がぜいたくな海外留学の費用に使われるなんてことを聞いたら、腹を立てるかもしれませんよ。
今回の浦和競馬チャレンジ奨学金も決まってしまったものですから、今さら元へ戻せとは言いませんが、これを機会に、収益金や年々増加するであろう埼玉県への配分金の使途だけは誤りのないことを願わずにはいられません。
今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の主人公である西郷隆盛の言葉に、次のような言葉があります。「暗い場所にいる者は明るい場所にいる者をよく見ることができる。しかし、明るい場所にいつもいる者は暗い場所にいる者を見ることはできない」。暗いトンネルの中からはトンネルを抜けた先のほうまでは見えるんですけれども、トンネルの外からトンネルの中は見えません。貧しい下級藩士の長男として生まれた西郷隆盛だからこそ言える、誠に含蓄のある言葉ではないでしょうか。
とかく人は日の当たる場所に目を向けがちであります。県政においても、どうも最近はますますそのような傾向が目立っているような気がしてなりません。ともすると忘れてしまいがちではありますが、本来の政治というのは日の当たらないところに光を当てることでございます。
そこで、まず浦和競馬チャレンジ奨学金について、奨学金の目的は、対象、選考のスケジュールについて伺います。
私は、貴重な浦和競馬組合の収益は、海外留学をするような比較的恵まれた人たちに使うのではなく、日の当たらない場所で苦労している人、例えば本日、我が自民党が犯罪被害者等支援条例を上程いたしましたが、そのような犯罪被害者の財政支援措置などに使うとか、本来の使途は幾らでもあると思いませんか。奨学金というのであれば海外留学などではなく、勉強したくても家庭の事情で勉強できない学生など、特別奨学金の制度の創設などをして有効に使われるべきではないですか。
県もついつい先日、経済的に厳しい環境に置かれた母子世帯に対して、部局横断した一体的な支援体制を強力に進めるとして、30年度予算に計上しておるではございませんか。知事も「困難な状況にあるいわゆるシングルマザーに希望と光を与えたい」と、こう言っているではありませんか。これが自然の姿ではないですか。言葉だけうまいことをいって中身が他に向くということになれば、私としてはこれは非常に残念だと思います。
2点目の質問です。埼玉グローバル人材活躍の財源に浦和競馬組合の収益金を活用することについて、どうお考えでしょうか。また、今後もこのようなことを継続していくつもりなのか、はっきりとお答えください。
3点目、いわゆる収益の配分金について、県民から納得して見える使途を検討する余地はあるんでしょうか。ただ一般会計の収入として取り扱うとしたら、いかにも策がないと思います。例えば貧困対策や災害復旧用の基金の創設など、恵まれない人たちのために目に見える形での使途を検討すべきだと思いますが、どうですか。
以上、3点を総務部長にお聞きします。
奨学金の目的や対象、選考スケジュールについてお答えを申し上げます。
まず、目的ですが、浦和競馬組合に確認したところ、地域貢献に高い志を有し、国際的な視野や高度な知識・技術の習得を目指す人材の育成を支援するとのことでございます。
次に対象は、県内在住又は県内の大学に在籍する若者が1年間の学位取得や短期の海外体験活動を行おうとする場合を考えているとのことでございます。
選考スケジュールは、平成30年秋の入学を想定し、3月下旬から5月の期間に募集を行い、6月に書類及び面接により選考する予定と聞いております。
次に、埼玉グローバル人材活躍基金の財源に浦和競馬組合の収益金を活用することについてどう考えるか、今後も継続していくつもりなのかについてでございます。
平成28年12月の組合議会で配分金の使いみちについて、もっと県民に見える形にできないかとの御提案があったと聞いております。
組合では配分金とは別に、経済的な理由で海外留学を断念している県内在住又は在学の若者を、支援できれば有意義と考えたとのことでございます。
志ある若者の役に立つ地方競馬の姿を県民に発信することもでき、競馬関係者の意欲、誇りを高め、浦和競馬の今後の発展にも繋がると考え、浦和競馬の名を冠した奨学金を創設し、グローバル人材活躍基金に寄付することとしたと聞いております。
組合が収益金を活用してこのような社会貢献を行うことは、ひとつの考え方であると思います。
今後この奨学金を継続するかどうかにつきましては、組合が組合議会の議決を踏まえ、適切に対応していくべきものと考えます。
県議会で貴重なご意見をいただいたことにつきましては、組合に対して伝えてまいります。
次に、収益の配分金について、県民から納得して、目に見える形での使途を検討する余地はあるかについてでございます。
浦和競馬組合からの収益の配分金については、平成28年度はスポーツ振興の観点から埼玉スタジアム2002公園の広場舗装などに活用をしております。
議員御指摘のとおり、使途を目に見える形にすることは大事な視点と考えます。
どのような使途であればより多くの県民の方から納得していただけるのか検討してまいりたいと存じます。
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