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掲載日:2023年5月10日

平成30年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(伊藤雅俊議員)

再犯防止に向けた取組について ~ 更生保護の観点から ~

Q   伊藤雅俊議員(自民)

約15年前、我が国の刑法犯認知件数は戦後最悪の285万件に達しておりましたが、平成28年には戦後最少の100万件以下となりました。一方で、検挙者に占める再犯者の割合が上昇して、約50%を占めるに至っており、更なる安全・安心を確保するため、再犯を防止することが重要になっています。
こうした状況を受け、平成28年12月に再犯の防止等の推進に関する法律、いわゆる再犯防止推進法が成立しました。この法律は、犯罪や非行をした人の円滑な社会復帰の促進が重要であることを指摘し、安定した生活環境や必要な支援の確保と、社会復帰まで継続する息の長い支援の実施を求めています。また、犯罪の繰り返しを食い止めるため、これまでの再犯防止の取組では支援が行き届いていない満期出所者や起訴猶予者など、刑事司法手続を終了した者に対しても、地域社会の中で息の長い支援をすることを求めています。
しかし、犯罪や非行をした人に対する国の支援は、刑事司法手続の中でしか実施できないという限界が存在しております。そこで、地方公共団体の取組が重要となってきます。また、再犯防止の重要性をお金の面から考えると、ある学者の試算では、刑務所で1人を養うのに約300万円かかると言われており、その方が社会を支える側になって納税者になることで、税金がかかる側から税金を納める側へ、マイナスからプラスへ転じさせるという重要性があります。
私は、議員生活の中で、保護司や更生保護女性会など更生保護の活動を行うボランティアの方々と接する機会が多く、更生保護の重要性を実感することが増え、昨年には私自身も保護司としての委嘱を受けました。県議会では、小林議長や松澤議員が保護司の先輩に当たります。御指導のほどよろしくお願いいたします。また、そのほかの先生方も是非保護司の仲間入りをしていただき、日頃の数多くの経験を生かしていただくことを強く望みます。
まだ保護司として駆け出しの私ですが、その活動の中で感じた更生保護で最も重要な要素は、就労支援です。働く場が与えられることで生きがいを見つける。そこで、県が行える取組の一つは、県の直接雇用です。これは、平成28年9月定例会の一般質問において藤林富美雄議員が提案され、昨年7月、県と保護観察所と保護司会連合会の三者による保護観察対象少年の就労支援に関する協定書が結ばれ、既に実際の雇用も行われております。早速の県の対応に敬意を表する次第です。
もう一つが、少年院や刑務所を出た人、保護観察を受けている人などを雇用し、その立ち直りを助ける協力雇用主の開拓です。平成29年12月現在における県内の協力雇用主の登録数は440社であり、年々増加傾向にありますが、更なる増加が必要であると考えます。そのためには、入札参加審査における優遇措置や総合評価落札方式における優遇措置を設け、公共調達における受注機会の拡大による協力雇用主への支援強化が重要であると思います。埼玉県においては、既に平成27年から入札資格審査における優遇措置を導入しておりますが、県内市町村にはまだまだその取組が広がっておらず、残念に感じます。
埼玉県において、再犯防止の観点から、県内市町村にも協力雇用主への支援強化の促進を働き掛ける等の措置を講ずるべきだと考えますが、福祉部長にお伺いをいたします。
また、保護司の活動を支援することも重要です。保護司、保護司会の地域の活動拠点となるのが、更生保護サポートセンターであり、保護観察対象者やその家族との面接場所であったり、地域への更生保護活動の情報発信や保護司と他機関との連携など、保護司の処遇活動を一括して行える場所であります。
現在、本県では25保護区のうち12の保護区に更生保護サポートセンターが設置され、活動の充実に大いに寄与しております。この大半は市町村の公的施設であり、現存する公の施設の一部を提供していただいている状況です。残りの保護区についても、これを構成する市町村にサポートセンターの設置を働き掛け、より更生保護の活動の充実を図るべきだと考えますが、福祉部長の御見解をお伺いいたします。
また、再犯防止対策推進のためには、県が主体となり、行政及び県内の様々な民間団体とのネットワークを構築し、情報を共有することが重要だと思います。埼玉県主体のネットワークを構築するお考えがあるか、福祉部長にお伺いいたします。
さらには、再犯防止推進法第8条には、都道府県及び市町村は、国の再犯防止推進計画を勘案して、地方再犯防止推進計画を策定する努力義務があると規定されております。県内市町村がこの計画の策定を進めていくためには、まず県が旗振り役を果たすことが望まれます。県としては、地方再犯防止推進計画を策定する予定はあるのでしょうか、福祉部長にお伺いいたします。
最後に、平成29年度より再犯防止に関する取組として、非行少年等立ち直り支援事業がスタートいたしましたが、その取組状況と成果について県民生活部長にお伺いいたします。

A   田島   浩   福祉部長

まず、「協力雇用主の開拓と更生保護サポートセンターの設置促進について」でございます。
再犯防止推進法では、地方公共団体の責務として国との適切な役割分担を踏まえその地域の状況に応じた施策を実施することが定められています。
刑務所出所者などを雇用し立ち直りを支援する協力雇用主は、さいたま保護観察所が募集・登録を行っております。
県では、協力雇用主として登録されている県内事業者に対して、入札参加者資格審査時の格付けにおいて加点を行う優遇措置を講じております。
一方、市町村でこうした措置を予定しているのは1市に留まっていると伺っております。
また、更生保護サポートセンターは、保護司の活動拠点として国が設置を促進しているものです。
設置に当たっては、国が運営経費を負担するとともに市町村に対して公共施設の提供などを要請しています。
協力雇用主や保護司を支援する取組が県内の市町村に広がることは、刑務所出所者などの就労や犯罪からの立ち直りにつながるものと考えております。
このため、さいたま保護観察所や保護司会などと連携し、協力雇用主への優遇措置や更生保護サポートセンターの設置について会議や研修を通じ市町村に働き掛けてまいります。
次に、「再犯防止に向けたネットワークの構築について」でございます。
刑務所出所者などを保護し社会復帰を支援するためには、住居や就労、福祉・医療など様々な分野での連携や課題の共有が重要です。
そこで、平成30年度に県が中心となって、さいたま保護観察所や支援団体などの協力を得て再犯防止に向けたネットワークづくりに取り組んでまいります。
次に、「地方再犯防止推進計画の策定について」でございます。
再犯防止推進法で地方公共団体は、国の計画を勘案して地方再犯防止推進計画を定めるよう努めることとされております。
国では、平成30年度から地方公共団体の再犯防止の取組を支援する新たな事業を開始する予定と聞いております。
県はこれを活用し、刑務所出所者などに対する継続的な就労支援や住宅確保などに取り組みたいと考えております。
この事業の課題や成果を検証し、関係機関などの意見も聞きながら本県の実状を踏まえた再犯防止推進計画を策定してまいります。

A   稲葉尚子   県民生活部長

「非行少年等立ち直り支援事業の取組状況について」お答えを申し上げます。
平成28年中に刑法犯で検挙された少年は、1,860人で10年前に比べ約7割減少した一方、検挙された少年のうち再犯者の割合が4割を超え、過去10年で最も高くなっています。
そこで県では、平成29年度から、非行等から立ち直るきっかけをつくる「青少年セカンドチャンスの場づくり事業」をスタートしました。
この事業は、企業や団体の御協力をいただき就労体験やボランティア活動、学び直しなどを通して社会性や学力を身に付け立ち直るきっかけをつくるものです。
スポーツ団体、農業関係者、建設業者、飲食業者など53の企業や団体に御協力いただき、これまで延べ236人について警察や児童相談所等とともに支援を行ってまいりました。
この中には、学び直し支援で高校を退学することなく学校生活に戻れた者、農作業を通して生活が落ち着いた者など着実に成果を上げております。
また、2月には非行少年等の立ち直り支援の機運醸成のため、故藤林富美雄議員の御提案によるシンポジウムを、保護観察所の協力により開催いたしました。
青少年の育成支援活動をされている方や企業経営者の方など、立ち直りを地域で支えていただく多くの皆様に御参加いただきました。
パネリストからは、「少年たちにチャンスを与えてほしい」との発言があり、参加者からは「みんなで協力し、支えて見守る大切さを感じた」といった声があがりました。
今後とも民間企業など地域の皆様の御協力をいただきながら、警察や児童相談所、民間団体等との連携を密にして、非行少年等の立ち直り支援にしっかり取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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