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掲載日:2023年5月10日
高等教育無償化に続いて、幼児教育・保育無償化、これもまた叫ばれております。安倍首相の看板政策「人づくり革命」の柱とされているのが、この幼保無償化であります。3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園・保育所と認定こども園の費用を無償化する方向で議論が進んでいるようであります。この無償化という方向性が本当に良いことなのか、これも疑問を持っている人は、私を含めて少なくありません。
私には、保育はまず家庭、保育はまず母親、これが一番自然なことだ、こういう持論があります。子供は家庭で責任を持って育てる、そしてきちんとした子育て支援を与える。それが一番の理想の姿だと私は思っております。現在家庭で頑張って子育てをしている母親には、その子育てに対しての対価は何ら支払われておりません。それなのに幼児教育・保育を無償化するというのでは、子供を預けて働いている人と家庭で子供を保育している人の間で不公平が生じてしまうのではないでしょうか。また、運悪く保育所に入れた人よりも運良く保育所に入れた人、要するに保育所に入れなかった人、運良く保育所に入れた人を優遇することにつながるのではないですか、いかがでしょうか。
結局この無償化議論は、私に言わせれば全員保育所に入れるいわゆる義務保育にでもすれば、これはまた別の議論になろうかと思いますけれども、今のままでこういう差別化するのはいかがなものかと私は考えております。
ところで、本県を含めて全国では多くの待機児童が存在し、保育所も保育士も不足している状況でございます。待機児童解消のための重要な課題は、保育所整備と保育士不足、この2つであるはずでございます。待機児童解消にとって重要でかつ根本的なこの課題を解決した上で、無償化の議論は進めるべきではないんですか。
さて、保育所無償化の問題の裏では、保育所建設、開園の反対運動が各地で起こっております。いざ保育園を設置しようと計画を発表しますと、近隣の住民にとってまるで迷惑施設ができるとばかりに、うるさいから自分の家の隣はだめ、そうかといって今度はちょっと離れた遠くに造ろうとすると、遠過ぎるのは通わせるのが大変だからだめ、全く身勝手な話ではございませんか。保育所を建設しなければ話になりませんけれども、ようやく建てることができたとしても今度はそこで働く保育士が確保できない。保育士を確保できなければ建設したとしても開所に至らないという悪循環に陥るわけでございます。
私は、保育士不足の最大の原因は、職業の格差、認識の差があるからではないかと考えております。私だけでなく世間一般の人も保育士不足の根本的な理由は、本音としてはその理由は分かっているんです。一般的に、保育士よりも小学校の先生のほうが高い給料をもらっております。小学校の先生よりも高校の先生のほうが高い給料をもらっております。保育士の仕事と小学校の先生の仕事とはどちらが大変なんでしょうか。小さい子供の世話はとても重労働であって、ここまで処遇に差がつく理由が私にはわかりません。要するに、一般的に、観念的に世間で職業の格差、人気の差がしっかりできてしまっているからではないかと私は思います。
確かに、県でも保育士確保策について様々な対策を講じているのは知っております。しかしながら、対策が実を結んでいるとは思いません。私は、この問題の唯一の解決方法は、誰もがうらやむような処遇改善、給与面の改善であると考えています。若者が将来の職業の選択をする前に、多くの若い女性がこの職業を選ぶような、職業の格差を打ち破るぐらいの処遇改善をすることであります。保育士が将来的に必要で重要な職業というのであれば、それくらい思い切った取組が必要なのではないでしょうか。
そういえば、厚労省も急遽若手保育士の給与を上げるためといって、処遇改善の要件を緩和する方針を決定したようでありますが、まだまだ他の職種との格差は大きく、格差の打破はほど遠いといわなければなりません。これは介護士や看護師についても同様であります。高齢化が更に進むこれからの日本社会において、特に私などにとっては、介護士不足や看護師不足の問題は保育士不足の問題よりももっともっと大事なクローズアップされるべき問題なのかもしれません。
聞くところによりますと、実は新しい介護士を増やさなくても、また、新しい看護師を増やさなくても十分な数の資格者がいるとのことでございます。資格を持っていても仕事が激務だから働かない、あるいは給料が仕事に見合わないから離職してしまう、いわゆる潜在介護士、潜在看護師が増えているわけでございます。保育士不足の問題と同様、処遇改善が急務ではないでしょうか。
そこで、伺います。私は、国が進めている幼児教育・保育無償化の流れについて疑問を持っています。なぜ無償なのかと。保育の無償化をする前に、待機児童問題という重要な課題解決が先なのではないでしょうか、このことについての御所見を福祉部長に伺います。
次に、2点目として、待機児童解消のための保育所整備についてどのように進めているのか、同じく福祉部長に伺います。
3点目、保育士・介護士・看護師などの人材不足に対してどのような対策を講じているのか。数万人と言われる介護士及び看護師の潜在資格者の復職対策も含めて、福祉部長、そして保健医療部長、はっきりとお答えください。
まず、保育の無償化をする前に、待機児童問題という重要な課題解決が先なのではないかについてでございます。
全ての子供が良質な保育を受ける機会を保障することが重要であると考えております。
このため、県といたしましては、希望する世帯の子が良質な保育サービスを受けられるよう、まずは保育の受入枠の拡大と保育士確保を進め、待機児童問題の解決に取り組んでまいります。
次に、待機児童解消のための保育所整備について、どのように進めているのかについてでございます。
平成29年度は、市町村と連携し保育所や認定こども園を74か所整備するなどして、目標である7,000人分の保育サービスの受入枠を確保できる見込みでございます。
平成30年度は、市町村とともに、7,500人分の保育の受入枠拡大を図るための予算を提案させていただいており、待機児童問題の解消に向けて、保育所等の整備を進めてまいります。
次に、保育士、介護士、看護師などの人材不足に対してどのような対策を講じているのかについてでございます。
まず、保育士についてでございます。
優れた人材を確保するためには、研修等を通じて保育人材の専門性を高め、その質の高い専門性にふさわしい処遇で報いることが必要でございます。
今年度国は、保育士の処遇を改善するため、中堅保育士の賃金に最大で月額4万円を増額するとともに、保育士のキャリアアップを図るための研修制度を設けました。
これを受けて、県では「保育士等キャリアアップ研修事業」を実施するとともに、今年度は経過措置として、この研修の受講資格のある保育士の方に対し、最大で月額4万円の加算を行っております。
しかし、まだ十分とは言えませんので、処遇改善について国に要望してまいります。
保育人材の確保については、処遇改善だけではなく働きやすい職場環境を整備することも重要です。
今年度から新たに、新人保育士に対して人間関係や保護者対応に関する研修を実施し、就業継続に向けて支援しております。
また、働きやすい職場環境の整備に果たす役割が大きい施設長などを対象に、職員の働き方の見直しなどに関する研修も実施しております。
来年度は、約8万人の保育士登録者名簿を活用して、就職を希望する潜在保育士の掘り起こしのための調査を実施したいと考えております。
さらに、保育士の就職あっせんを行う保育士・保育所支援センターに新たに求人開拓員を配置し、求人求職のマッチングを強化するなど、保育人材の確保に取り組んでまいります。
次に、介護士についてでございます。
介護人材の確保を図るため、介護の資格のない方や元気な高齢者の就労支援などに取り組んでおります。
また、離職した介護職員に対して届出システムを活用した情報提供を行うとともに、研修を実施した後、介護事業所とのマッチングを行い復職を支援しております。
さらに、介護職員の定着を図るため、職員の身体的負担を軽減する介護ロボットの導入費の補助や、新任介護職員を対象とする研修や交流イベントを行っております。
議員お話しの処遇改善につきましては、平成29年度に処遇改善加算の額が月額1万円増額され、1人当たり月額最大で3万7,000円相当の改善が可能となりました。
引き続き、処遇改善について国に要望してまいります。
介護の現場は女性が多い職場のため、施設内に保育施設が整備されますと、子育て中の方も安心して仕事を続けることができると考えております。
平成30年度は新たに、介護施設内で保育施設を運営する方法や実際の整備事例を事業者に紹介するなど、整備が進むよう取り組んでまいります。
こうした新たな取組も進めながら、今後とも介護人材の確保を図ってまいります。
看護師についてお答えを申し上げます。
県は、看護師不足に対応するため、看護師等養成所の運営に対する財政支援や病院内保育所の整備などを、看護職員の育成や職場定着のための取組を行ってまいりました。
この10年間で、平均、毎年1,700人程度ずつ増加している状況です。
また議員のお話のとおり、潜在看護師が医療現場に復職できるようにしていく取組も大変重要であると考えております。
県が指定している埼玉県ナースセンターでは、その方に合った就職先を紹介できるよう無料職業紹介や、ハローワークに出向いての巡回相談を行うとともに、復職に対する不安を取り除くための技術講習会などを実施しております。
今年度から、地域医療教育センターのシミュレーターを活用した技能研修を実施するなど、復職につなげる取組も行っております。
平成28年度は約700人の潜在看護職員が復職することができております。
引き続き、これらの取組を丁寧に進めていくことにより、看護職員の確保に取り組んでまいります。
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