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掲載日:2023年5月10日

平成30年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(浅野目義英議員)

平成30年度埼玉県予算編成についての認識と哲学

Q   浅野目義英議員(民進・立憲・無所属)

シンギュラリティに関心が寄せられています。AIの発明が急激な技術の成長を引き起こし、人間文明に計り知れない変化をもたらすという仮説です。ある特別なポイントを過ぎると正にブレイクスルー、難関突破が起き、変革はみるみる天に向かい始まるというのです。技術的特異点とも訳されます。AIは急速な進化を遂げています。シンギュラリティは現実味を増しています。つまりAIの技術革新、更なる加速が予想され、伴う大変革も強く予想されています。この大変革に向けてAIによる様々な恩恵を社会に広めるとともに、負の側面を減じていくアプローチも必要なのではないでしょうか。
我が国では国を挙げてAIの利活用を推進しようとしています。我が国が目指す未来社会、いわゆるSociety 5.0の実現を目指し、先端科学技術の開発が産学官一体となって強力に進められています。これらの技術は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年頃から本格的な実用化に入る予定だとのことです。
2020年まではあと2年、時間はそうない中で、地方自治体も手をこまねく余裕はありません。全国で実際に自治体業務の中でどのようにAIを活用していけばよいのかといった声も少なくありません。そのときどのような世界が待ち構えているのか、医療、産業、教育、雇用、交通、セキュリティー、何より埼玉県民の生活はどんなふうに変貌しているのでしょうか、政策的課題は尽きません。
この新しい世界の入り口に立ち、真剣な検討、研究、実行に挑戦する事態を迎えていると考えます。正に埼玉県のどんな未来が待っているのかを考える議論を、私たちは県議会で果たしていかなければならないと考えています。
さて、平成30年度埼玉県予算編成について伺います。
歳入のうち法人二税、県民税も事業税も1割以上回復を見込み、計上されています。前々年度から前年度へマイナス77億円だったことを考えると、緩やかに回復していることがうかがえます。しかしながら、それでも県税本体は昨年度、平成28年度県税当初予算額は7,640億円、平成29年度の県税当初予算計上額は7,593億円、今回の平成30年度のそれは7,590億円ですから、トレンドとしてこの3年、毎年毎年の減額計上です。入りが少ない、厳しい財政事情が見てとれます。また、右肩下がりで減少を続け、平成30年度に2兆円を切るコントロール可能な県債残高1兆9,720億円。県債残高全体は増加をして、平成30年度末には3兆8,395億円の見込みになります。一方、拡大を続け、ついに県政史上最大になるとされている臨時財政対策債の残高は1兆7,414億円になります。悩ましい数字と言えます。
財政の基本は収支を整える、つまり歳入と歳出のバランスをはかることでしょうから、望まれる歳出に見合った歳入がなかなか確保できなかった苦悩がしのばれます。しかし、急激な予算規模の縮小は避けて、つまり歳入規模に見合った歳出構造へ転換することは拒み、歳入を確保するため640億円の基金の取り崩しを計上し、予算が編成されました。また、扶助費の伸び率を3.8%にするなど、必ずやらなければいけないことはちゅうちょせず予算として計上されていると感じられました。未来を切り開く予算も意欲を持って計上されていると感じられました。
予算は「未来への投資」と名付けられたやるべきことをやると考えるものとして編成され、平成30年度埼玉県当初予算は英断を持って作られました。その編成に当たっての認識や哲学について、知事から答弁をください。また、念頭に置いた先進性や規模観についても知事から答弁をください。

A   上田清司   知事

本県の人口は、沖縄県、東京都に次ぐ全国3位の増加率となっています。
しかし、将来は人口が減少していくことが予測されています。
2035年には生産年齢人口がピーク時の8割となり、65歳以上の高齢者は人口の3割を超える見込みとなっています。
人口減少や急速な高齢化は本県が初めて直面する課題であります。
しかし、課題は変革のチャンスでもあります。
生産年齢人口の減少による人手不足は生産性を高めるイノベーションにもつながります。
また、私の信条としてどんな人にでも夢や希望があって、チャンスが何度でもあるような、そういう社会であってほしいという思いを持っております。
一人ひとりが活躍し、様々な将来像が描けるような条件づくりを整備していくことが政治や行政の役割として重要だと認識しています。
そこで、平成30年度予算案は「未来への投資予算」と名付け、「スマート社会へのシフト」、「チャンスあふれる埼玉」、「魅力発信 埼玉」を最優先に取り組むことといたしました。
特に「スマート社会へのシフト」では、先進的な取組を意識したところでございます。
AIやIoTなどの新たな技術を製造業や農業をはじめとする様々な分野に活用するとともに、県庁自身のスマート化にも取り組み、行政サービスの利便性を高めてまいります。
現在、24時間365日対応している救急電話相談に加え、AIを活用して、いつでも気軽に相談できるチャット形式の救急相談機能を全国初の先進的な取組として整備いたします。
また、「チャンスあふれる埼玉」では、貧困の連鎖の解消に引き続き取り組んでいくとともに、結婚、出産、子育ての希望を実現する取組への支援などチャンスの拡大を目標としております。
これまで貧困世帯の中高生を対象としていた学習支援を小学3年生まで拡充してまいります。
また、保護者が育児休業を切り上げることなく、家庭での子育てを叶えやすくするため、希望する時期に保育所などに入園できる制度を進めてまいります。
このように全国に先駆ける取組を実施してまいります。
「魅力発信 埼玉」では、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けた準備を着実に進めるとともに、社会基盤の整備もしっかりと行ってまいります。
放水路を活用した浸水対策や道路の路面下空洞調査なども実施し、安心かつ安全な地域づくりを進め、本県の魅力を高めてまいります。
議員御指摘のように、収支は決して余裕がありませんが、基金も活用するなどして未来に向けて今やるべき事業を積み上げ、対前年度比0.1%の増となる予算を編成したところです。
10年先、20年先という長いスパンで未来を見据えて、積極的に先手を打つ取組を進めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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