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掲載日:2023年5月10日
昨年来、会社の人事担当者をはじめ、派遣社員やアルバイトの間で2018年問題という言葉が出てくるようになりました。私も昨年、派遣社員の女性から相談を受けて初めてその実態を知りました。2018年問題とは、2012年の労働契約法改正、2015年の労働者派遣法の改正により、パートやアルバイト、派遣労働者など、多くの有期雇用契約を結ぶ方の働き方に大きな影響を及ぼす可能性のある雇用労働上の大きな問題です。
まず、労働契約法ですが、パートやアルバイトなどで雇用期間に定めがある有期雇用の人たちの雇用形態を雇用期間の期限のない無期雇用に変えて雇用の安定を図る目的で、5年前の2013年4月1日に労働契約法が施行されました。これには条件があり、有期雇用者が同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、本人が無期雇用を希望すれば、会社は拒否ができない5年ルールがあります。これがいわゆる無期転換ルールです。この労働契約法が5年を経過する今年の4月から適用されます。また、労働者派遣法が2015年に改正され、同一の派遣社員を同一の事業所に派遣する期間が上限3年と定められ、派遣元の事業主はその3年の派遣終了後には派遣社員の雇用の継続を措置する義務が生じます。このルールの適用が今年の9月末です。この2つの法律により、派遣社員やパートなどの有期雇用者は雇用が安定すると明るい希望を持っていました。
ところが、埼玉県が昨年7月から8月に県内企業や正規・非正規雇用者に対して行った非正規雇用者実態調査では、人員が不足していると回答した企業が41.8%あり、また人員確保のために中途での正社員の採用の強化をすると回答した企業が39.5%でした。
一方では、非正規社員の正社員化は18.5%、待遇改善が8%、さらには無期転換はわずか3.6%にとどまり、県内企業の多くが非正規雇用者の活用に消極的であることが分かりました。現に、昨年11月には大手自動車メーカーのトヨタやホンダなどは期間従業員が無期雇用になるのを避けるため、雇用ルールを変更したとの新聞報道がありました。また、東北大学では5年から20年勤務した非正規職員6人が大学側の就業規則の変更により、この3月に雇い止めになるため、これは労働契約法違反だと主張し、2月1日に仙台地方裁判所に雇用の継続を求める労働審判を申し立てたとの報道もありました。
さて、平成27年の国勢調査によると、埼玉県内の非正規雇用者は約102万3,000人とのことです。県内には大手の自動車メーカーもあり、県民の中にもその影響を受ける非正規雇用者がたくさんいるのではないかと危惧しています。正に、雇用安定の目的の法律改正が骨抜きになろうとしている深刻な問題です。
現在、県では平成29年度事業として、非正規雇用者の正社員化プロジェクト事業を進めています。無期雇用への転換と正社員化とはイコールではありませんが、雇用の安定につながることには変わりありません。
ところで、先ほどの県のアンケート調査では、非正規雇用者の83.1%もの人たちが無期転換ルールを知らないということが分かりましたので、まずは無期転換が進むよう、働く方へ周知をしっかりと行っていく必要があると考えます。
そこで、県ではこの無期雇用への転換ルールについて、事業主や労働者にどのように周知を行っているのか、産業労働部長に伺います。
また、産業労働部の本年度の新規事業、非正規雇用者の正社員化プロジェクト事業で掲げた、年間3,000人の非正規雇用者を正社員に転換という目標に対する見通しを併せて産業労働部長に伺います。
まず、無期雇用への転換ルールの周知についてでございます。
この4月から労働契約法に基づく、いわゆる無期転換ルールが適用されることを知らない方が多いという状況は、議員お話のとおりであります。
無期転換ルールの周知は、基本的には法改正を所管する国の役割ですが、県でもあらゆる機会を捉えて周知しております。
例えば、勤労者や事業者などを対象に、県内各地で労働法の基礎や法令の改正などを解説するセミナーを開催しております。
そのセミナーの中で、無期転換ルールについて、勤労者向けには有期労働契約の基礎知識、事業者向けには無期転換ルールへの対応方針などとして取り上げております。
また、県のホームページやSNS、労働ハンドブックなどの冊子も活用し、周知に努めております。
今後は、国に対し、より一層の周知を働きかけるとともに、これまで以上に勤労者や事業者向けセミナーを充実し、無期転換ルールの理解が進むよう努めてまいります。
次に、年間3,000人の非正規雇用者を正社員に転換する目標に対する見通しについてでございます。
企業を取り巻く環境は、人手不足が大きな経営課題となっております。
業務の経験や知識がある非正規雇用者を正社員に転換することは、意欲と能力のある人材を確保する上で企業にとりましてもプラスです。
しかしながら、人件費コストが増加するとして消極的に考える経営者も少なくありません。
そうした方々の理解を得るため、正社員転換の取組を働きかけることが大切です。
県では、経済団体などの協力の下、昨年10月に正社員転換に関するフォーラムを開催いたしました。
このフォーラムは、意欲と能力のある人材を正社員に転換することで採用コストが低減され、生産性向上にも結びつくという経営者の気付きを促す内容としたところであります。
また、企業に直接働きかけるため、中小企業診断士などの専門家を派遣し、就業規則の改正や国の助成金の活用など、非正規雇用者を正社員化するための実務的なアドバイスを行っております。
正社員転換目標に対する見通しですが、国の助成金の活用状況などから、正社員への転換人数は、年度末3,000人の目標を達成できる見込みであります。
県としては、引き続き国や経済団体などと連携し、正社員化に向けた経営者の意識改革を図り、正社員を希望する非正規雇用者が一人でも多く転換できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
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