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掲載日:2024年4月2日

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答申第85号 「公安委員会宛苦情の調査結果について(監第418号平成17年3月28日)写し」の部分開示決定(平成18年3月30日)

答申第85号(諮問第106号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成17年5月13日付けで行った「公安委員会宛苦情の調査結果について(監第418号 平成17年3月28日)写し」(以下「本件文書」という。)を部分開示決定とした判断は、妥当である。

2 審査請求及び審査の経緯

(1) 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成17年4月13日付け開示請求書及び同月19日付け開示請求書の補正書で埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成17年交委第684号で結果が通知された苦情の申出に関して、警察本部が公安委員会に報告した文書一切。」の開示を請求した。

(2) 実施機関は、本件請求に対する公文書を本件文書と特定した上で、平成17年5月13日付けで、条例第10条第1号及び第5号に該当するとして部分開示決定し、請求人に通知した。

(3) 請求人は、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「審査庁」という。)に対し、平成17年5月30日付けの審査請求書を提出したところ、審査庁から補正を命じられ、同年6月13日付けで補正書を提出し、審査請求を行った。

(4) 当審査会は、本件審査請求について平成17年7月20日付けで審査庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、本件審査に際し、審査庁から平成17年12月21日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成18年1月11日に請求人から反論書の提出を受けた。

(7) 当審査会は、平成18年2月20日に請求人から意見陳述を受けた。

3 請求人の主張の要旨

請求人が、主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 条例第11条により開示請求に係る公文書の一部に不開示情報が記録されている部分を容易に、かつ、開示請求の趣旨が損なわれない程度に区分して除くことができるときは、開示請求者に対して、当該部分以外の部分を開示しなければならないと規定されているため、不開示とされた部分の開示を求める。

(2) 氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除き、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないため、開示を求める。

(3) 苦情処理は、警察庁長官官房長通達により「誠実に処理し」とあるが、苦情処理の状況について問い合わせをしても、処理の経過を連絡するなどの配慮が無く、虚偽処理の疑い及び身内をかばった調査であった疑いがあるため、開示を求める。

(4) 「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、当該情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果、公にすることの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければならないが、当該請求は、公務員の不正防止の観点から公益性が高く、公共の利益上有益なものであり、実施機関の裁量により公開が制限されると公共の利益を損なうおそれが大きいため、開示を求める。

(5) 苦情の内容や処理経過が公にされると、警察に対する苦情・相談が消極的になり、業務の適切な遂行に支障を及ぼすという実施機関の主張は、不正を隠す理由に使っているとしか思えないため、開示を求める。

(6) 当該職員の所属、職名、階級は条例第10条第1号のハに該当し、開示を求める。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が、主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件文書に記載されている特定の個人の行動事実、経験、苦情の内容及びこれに直接対応する処理の経過は、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものであるとともに、苦情申出人の利害、社会的評価など人格に密接に関わる情報であり、その内容は、苦情申出人の個別具体的な実体験に基づく個人の名誉等に関する情報であるので、条例第10条第1号に該当する。また一方で、これらの情報が仮に公にされることとなれば、警察に対する苦情・相談が消極的になり、業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるので条例第10条第5号に該当する。

(2) 苦情申し立ての原因となった事案概要は、苦情申出に関係する特定事案の内容が詳細に記載されており、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものであるとともに、個人の利害、社会的評価など人格に密接に関わる情報であり、その内容は、個人の名誉等に関する情報であることから、条例第10条第1号に該当する。

(3) 苦情申出人の住居、職業及び氏名は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当する。

(4) 該当職員の所属、職名、階級、氏名及び年齢は、苦情申し立ての内容の一部をなすものであり、苦情申出人個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができるものであるとともに、個人の権利利益を侵害するおそれがある情報である。また一方で、職員の氏名等は苦情申し立ての対象となった警察職員個人を識別できる情報であることから条例第10条第1号に該当する。さらに、苦情の内容や処理経過が公にされることとなれば、警察に対する苦情・相談が消極的になり、業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるので、条例第10条第5号に該当する。

(5) 以上のとおり、個別の苦情申し立ての具体的な内容やその処理経過については、個人識別情であると同時に個人の権利利益に直接結びつく情報であり、また一方で苦情申出制度の実効性を維持するために保護すべき情報であって、たとえ個人識別性を除いたとしてもその内容の一端が開示されることとなれば、個人の権利利益を害する蓋然性が高く、またこのことにより苦情申出制度の適正な運用に支障を及ぼすこととなる。

5 審査会の判断

(1)本件文書について 本件文書は、警察法第79条の規定に基づき、警察職員の職務執行について苦情がある者は、公安委員会に対し、文書により苦情の申出をすることができる制度において、請求人が申し出た苦情に対する調査結果についての報告書である。

(2)条例第10条第1号の該当性について 条例第10条第1号は「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものを含む)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」を不開示情報とし、その例外として同号ただし書イないしハに該当する場合を掲げている。ところで、実施機関が不開示とした部分は、「件名」、「前文」、「苦情申し立ての原因となった事案概要」、「苦情申し立て内容」、「苦情申出人」、「該当職員」、「調査結果」及び「結論」の各項目について記載された内容である。このうち、「苦情申出人」の項目の内容は、特定個人を識別できる氏名や住所等の情報であり、本号に該当することは明らかであり、請求人は、同項目以外の各項目の開示を求めるところ、これらの各項目の内容は、個別具体的な実体験に基づく個人に関する情報や苦情に関する該当職員の氏名等の情報であり、その内容を照合することにより、特定の個人を識別できる情報であると認められ、かつ、これらの各項目からさらに特定の個人の識別性ある部分を除くことが可能であるとしても、残る内容は苦情申出人の違反行為に関する情報であることから、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあると認められ、いずれの情報も本号に該当する。また、これらの情報が同号ただし書イ及びロに該当しないことは明らかである。さらに、本件文書に記載されている該当職員の所属、職名、階級の情報は、同号ただし書ハに定める公務員の職及び職務遂行に係る内容の情報であるが、同時に、苦情申出人についての情報でもあって、苦情申出人について、特定個人の識別をすることができるものであるとともに、個人の権利利益を害するおそれのあるものであり、同号ただし書ハには該当しない。よって、実施機関が条例第10条第1号に基づいて不開示とした判断は認められる。なお、本件文書は、条例第10条第1号のみの判断で、不開示情報の該当性が認められるため、実施機関の主張する条例第10条第5号については、判断するまでもない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
野村武司、馬橋隆紀、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成17年7月20日

諮問を受ける(諮問第106号)

平成17年12月21日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成18年1月25日
(第二部会第7回審査会)

審議

平成18年2月20日
(第二部会第8回審査会)

口頭意見陳述及び審議

平成18年3月20日
(第二部会第9回審査会)

審議

平成18年3月30日

答申(答申第85号)

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

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