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掲載日:2024年3月26日

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答申第51号 「調査票1(対象事業に対する関与に係る調査)及び調査票2(県の事業に対する関与に係る調査)」の不開示決定(平成17年8月15日)

答申第51号(諮問第72号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年1月13日付けで行った、「調査票1(対象事業に対する関与に係る調査)及び調査票2(県の事業に対する関与に係る調査)(以下「本件対象文書」という。)の不開示決定については、調査票1及び調査票2の様式並びに別表に掲げる開示が妥当である記述部分は開示すべきである。

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成15年12月24日、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し本件文書の開示請求を行った。

(2) 実施機関は、本件文書については、条例第10条第5号に該当するため不開示決定を行うのが適当であると判断し、平成16年1月13日付けの公文書不開示決定通知書(以下「決定通知書」という。)により、その旨を申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成16年3月12日付けの異議申立書により、実施機関に対し、不開示決定により不開示とされた部分は開示すべきであるとして異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成16年3月19日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に対し、平成16年7月15日に実施機関から「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。なお、申立人から反論書の提出はなく、口頭意見陳述も求めていない。

(6) 当審査会は、平成17年1月24日及び平成17年2月15日に、実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人は本件文書の開示を求めているが、異議申立書によればその理由はおおむね次のとおりである。

(1) 実施機関によると「内容を一部でも公開すれば個人が特定される。個人が特定される形での公表によって、今後、同様の調査を行う時に職員の協力が得られなくなるおそれがある。」とのことであるが、内容の公開ですぐに個人が特定されるとは通常考えられない。個人が特定されない形での公開は十分可能である。

(2) 匿名性さえ確保すれば、公開によって今後の調査への協力が得られなくなる恐れはない。

(3) 条例第10条第5号に該当しない部分公開が可能で、全内容を一律に不開示処分とするのは妥当性を欠く。

(4) 県が対象者に郵送した調査依頼文書でも「個人名を出して公開することはありません」との記載はあるが、個人名を出さない公開を「しない」とした記載はなく、約束違反にはならない。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が、説明書及び審査会における意見陳述等で主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 今回の調査は、県民の県政への信頼回復をするために、その問題点を明らかにし、それに対して今後どのような方策をとっていくかを検討するために行ったものである。その前提として、前知事長女の県政への関与の実態を明らかにするため職員からの回答を求めたものである。

(2) 今回の調査はマスコミ等で前知事の長女が関与したのではないかとの疑念がもたれている11事業に限定し、対象者についても原則としてそれぞれの事業に主体的に関わっていた役付職員に絞り、外部に公表しないとの了解のもとに職員から申告されたものである。

(3) 今回の調査の結果は、前回の調査の結果と比べて大きく異なったが、これは今回の調査においては個人の責任を問わないとしたこと、個人が特定できるような形での公表は行わないとしたことが重要な要素となって申告されたものと考えている。

(4) 今回の調査に基づく調査票を、例え一部とはいえ開示することは、職員との信頼関係を損なうだけではなく、今後の類似の調査等を実施する場合、調査対象者から協力を得ることが困難となり、県の行う業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものである。

5 審査会の判断

(1) 本件対象文書について

当審査会が見分したところ、本件対象文書は、マスコミ等で前知事の長女が関与したのではないかとの疑念がもたれている事業に対し、これらの事業の計画・推進等に、原則として係長以上の立場で関与した職員に対して行った「調査票1特定事業に対する関与に係る調査」による回答と、事業を限定せずに、各部の副部長級以上の職員に対して行った「調査票2県の事業に対する関与に係る調査」による回答である。
実施機関の説明によると、調査の目的は内部調査委員会が県の行政と前知事の長女との間にどんな係わりがあったかを調査し、その問題点を明らかにすると同時に、あわせて今後の県としての対応を検討するものであるとのことである。

(2) 本件対象文書の不開示情報妥当性について

実施機関は、調査票1及び調査票2の回答は調査対象職員からの申告によるものであること及び回答を求めるにあたっては「個人名を出して公表することはありません」としていることを根拠として、本件対象文書が公にされれば、回答に協力した職員が無用な誤解、批判等を恐れて、今後同様の調査が行われたときに回答を躊躇し、その結果、当該調査に関する情報の収集に支障を来たし、問題点の十分な把握を行うことが困難になることから、県政の適正な運営を確保するという事務又は事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第10条第5号に該当する旨主張している。
確かに、調査に対する回答内容は回答した職員のみが知り得るものであることから、職員の協力が得られなければ調査に支障を来たし正確な事実の把握ができなかったと考えられるところである。また、「個人名を出して公表することはありません」とした条件も、正確な事実を把握するためには必要なものであったと認められる。また、回答した職員が特定又は推測され得る情報が開示されることとなると、回答しようとする者が無用な誤解、批判等を懸念して回答を行わなくなることは容易に理解できるところである。
しかしながら、今回の調査又は今後の類似の調査等のいずれにおいても、調査対象職員が回答を躊躇するのは、その回答者が誰であるかが特定または推測され得る情報として公にされる場合に限られると推測できるところである。そうだとすると本件対象文書のすべての記述内容が条例第10条第5号に該当すると判断した実施機関の主張は採用することはできず、本件対象文書のうち、回答した職員が特定又は推測されるおそれがある部分だけが、今後の類似の調査等を実施する場合、調査対象者から協力を得ることが困難となり、県の行う業務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるものにあたり、条例第10条第5号に該当する情報であると認められる。
このことから、本審査会は本件対象文書を見分したところ、調査票1及び調査票2の様式そのものは、条例第10条第5号の不開示情報には該当しないと認められる。
次に、調査票1「現在の職」及び「氏名及びあなたにお聞きする事業及び当時の職名」の各欄並びに調査票2「現在の職・氏名」欄の記述は明らかに回答者が特定されるため、条例第10条第5号に該当するものと認められる。
また、その余の部分である調査票1「Q1」、「SQ1」、「SQ2」及び「SQ3」また調査票2「Q1」、「SQ1」、「SQ2」、「SQ3」及び「SQ4」に対する記述においては、今回の調査については調査の事業を11事業に限定し、対象者についても原則としてそれぞれの事業に主体的に関わっていた役付職員に絞ったことから、筆跡や記述してある事柄等から当時の職員録や他の情報等と照らし合わせることにより、回答した職員が特定又は高い蓋然性をもって推測されると認められる記述部分が見受けられる。当該記述部分は、回答した職員が公になるのであれば回答を躊躇したと認められるものであり、今後の類似の調査等を実施する場合、調査対象者から協力を得ることが困難となり、県の行う業務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるものにあたる。したがって、当該記述部分は条例第10条第5号に該当し不開示とすることが適当と認められる。
しかしながら、その他の部分については、これを開示したとしても、その記述内容からは回答した職員が特定または推測されるような情報であるとは認められず、今後の類似の調査等を実施する場合、調査対象者から協力を得ることが困難となり、県の行う業務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるものにあたらず、よって条例第10条第5号の不開示情報には該当しない。以上のことから、本件対象文書のうち、条例第10条第5号に該当することを理由にその全部を不開示とした決定については妥当ではないと言わざるを得ない。よって、調査票1及び調査票2の様式並びに別表に掲げる開示が妥当である記述部分について開示すべきである。

したがって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

別表

調査票等名

欄名

開示が妥当である記述部分

共通

調査票1

事業名

記載部分

調査票1及び調査票2

Q1

1及び2の回答として番号に「○」を付した部分

個別

調査票1(No.23)

別紙

5行目1字目から15行目23字目まで

調査票1(No.34)

別紙

21行目1字目から文末まで

調査票1(No.35)

Q1

1の回答部分

SQ3

  • 回答部分1行目1字目から3行目19字目まで
  • 3行目27字目から文末まで

調査票1(No.54)

Q1

回答部分

SQ3

回答部分

別紙

文頭から14行目13字目まで

調査票1(No.69)

別紙の2枚目

19行目1字目から文末まで

調査票1(No.71)

別紙の3枚目

  • 11行目1字目から12行目27字目まで
  • 12行目38字目から20行目20字目まで
  • 20行目32字目から文末まで

調査票1(No.81)

別紙

29行目1字目から文末まで

調査票1(No.82)

別紙の2枚目

2行目1字目から11行目10字目まで

調査票2(No.122)

SQ4

回答部分

※注意点

  1. 「(」、「)」、「、」、「。」、「○」は1文字と数える。
  2. 数字は1文字と数える。
  3. スペースは数えない。
  4. 行の文字数はすべて左から数える。
  5. 罫線は行数に数えない。

審議の経過

年月日

内容

平成16年3月19日

諮問を受ける(諮問第72号)

平成16年7月15日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年1月24日(第47回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成17年2月15日(第48回審査会)

実施機関より意見聴取(2回目)及び審議

平成17年3月15日(第49回審査会)

審議

平成17年5月6日(第三部会第1回審査会)

審議

平成17年5月30日(第三部会第2回審査会)

審議

平成17年6月20日(第三部会第3回審査会)

審議

平成17年7月15日(第三部会第4回審査会)

審議

平成17年8月15日

答申

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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