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掲載日:2021年3月30日

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答申第72号 「給付金支払通知書(平成7年4月12日付け埼玉県草加西高等学校収受第102号)」外22件の部分公開決定(平成17年12月13日)

答申第72号(諮問第75号)

答申

1 審査会の結論

次の文書について、埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成11年6月30日付けで行った部分公開決定は妥当である。
「給付金支払通知書(平成7年4月12日付け埼玉県草加西高等学校収受第102号)」外22件(別紙1のとおり。以下「本件対象文書」という。)

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成11年3月20日、埼玉県行政情報公開条例(昭和57年埼玉県条例第67号。以下「旧条例」という。)第5条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、本件対象文書について下記の内容で開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
「草加西高等学校から平成7年4月1日から平成11年3月20日までの間に、日本体育・学校健康センター法に基づく災害共済給付金の支払いの請求及びその支払いの実態が判る資料全て」

(2) 実施機関は、本件請求に対し、本件対象文書を特定した上で、平成11年6月30日付けで、草西高第5060号ないし第5062号において部分公開決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。公開しない行政情報及び公開しない理由は別紙2のとおりである。

(3) 申立人は、平成11年7月12日付けの異議申立書により、本件処分で公開しないとされた行政情報のうち、「学年」、「災害発生年月日」、「傷病名」等については公開すべきであるとして、実施機関に対し異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて平成16年3月30日付けで実施機関から埼玉県情報公開条例(平成12年埼玉県条例第77号。以下「新条例」という。)第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に際し、実施機関から平成17年5月10日付けの開示決定等理由説明書の提出を受け、申立人から平成17年6月10日付けの反論書の提出を受けた。なお、申立人は口頭による意見陳述は求めていない。

(6) 当審査会は、平成17年9月26日に、実施機関の職員から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している要旨は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件については、本件請求に対する本件処分とは別の部分公開決定において対象文書となった医療費支払請求書等に関し、旧条例に基づく救済の申出を行った結果、監察委員からの勧告に従い、埼玉県教育委員会からある程度の情報公開が行われており、情報公開内容に係る反論はしない。

(2)

  • ア 実施機関の理由説明書には、「旧条例第6条第1項第1号本文の『特定の個人が識別され、又は識別され得るもの』は、他の情報と組み合わせることにより特定の個人が識別され、又は識別され得る場合を含むものである。また、一般の人にとっては識別できないが、一定の知識・経験を有する者であれば特定の個人を識別できる場合をも含むものである。」とあるが、それはどのような事例をさすのか具体的な事例を示して県民の理解を得なければならない。
  • イ 特に「識別され得る」、「場合をも含む」とは抽象的であり、具体的に説明を行う必要がある。
  • ウ また、「一定の知識・経験を有する者」や「特定の個人を識別できる場合をも含む」とは、誰が、どのように判断をするのか極めて抽象的である。

4 実施機関の主張の要旨

異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1) 旧条例第10条第1項第1号本文では、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」については、原則として公開しないと規定している。ここでいう「特定の個人が識別され、又は識別され得る」とは、当該情報から直接識別できる場合のほか、当該情報のみでは識別できないが、他の情報と組み合わせることにより特定の個人が識別され、又は識別され得る場合も含むものである。また、一般の人にとっては識別できないが、一定の知識・経験を有する者であれば特定の個人を識別できる場合をも含むものである。

(2) 給付金支払通知書のうち、「学年」欄、「児童・生徒等氏名」欄、「受給者氏名」欄、「災害発生年月日初回・継続別(月分)」欄、「傷病名(医療等の状況から転記)」欄、「請求額」欄、「支給額」欄及び「転帰」欄並びに個人を特定し得る部分については、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るものであり、旧条例第6号第1項第1号に該当するものである。

(3) 給付金支払通知書に記載されている情報のうち、学校名等は既に公開されており、これらの情報に加え、「学年」、「災害発生年月日」及び「傷病名」を公開すると、当該事故が発生した学校の生徒や教職員などの一定の者は、生徒を識別することができるとことなる。したがって、旧条例第6条第1項第1号に該当するものである。

5 審査会の判断

(1)答申するに当たっての適用条例について

新条例は平成13年4月1日に施行されたが、本件は旧条例に基づきなされた処分に対する異議申立てであるため、当審査会は、旧条例の規定に基づき本件異議申立ての検討を行う。

(2)本件対象文書及び本件異議申立ての対象となる不開示情報について

本件対象文書である給付金支払通知書は、平成7年4月1日から平成11年3月20日までの間に草加西高等学校において収受された公文書で、学校の設置者と日本体育・学校健康センター(当時。以下「センター」という。)との間で締結された災害共済給付契約に基づき、草加西高等学校長がセンターへ災害共済給付を請求した結果、センターから当該給付が決定されたことを当該学校長へ通知した文書である。当該給付は学校管理下における児童生徒等の災害につき、児童生徒等の保護者等に対し、被災者の医療等の状況に応じて医療費等を給付するものであり、その請求は、学校長が支払請求書をセンターに提出して行うものである。
申立人が、異議申立書の中で旧条例第6条第1項第1号に該当しないとして公開すべきと主張しているのは、本件対象文書のうち、主に「学年」、「災害発生年月日」及び「傷病名」であり、本件処分における不開示情報とこれらの異議申立ての対象となる不開示情報を整理すると別紙3のとおりである。なお、申立人は、異議申立書の中で、これらの別紙3で整理された異議申立ての対象となる情報以外の不開示情報についても、旧条例第6条第1項第1号に該当しない部分について公開すべきである旨主張しているように見受けられるため、この点についても検討を加えることとする。

(3)旧条例第6条第1項第1号該当性について

実施機関が、本件処分において公開しないとした行政情報及びその理由は、別紙2の当該部分に記載されたとおりであり、異議申立ての対象となる不開示情報は、別紙3に記載されたとおりである。
旧条例第6条第1項第1号本文では、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」については、原則として公開しないと規定している。
本号は、いわゆる個人のプライバシーを保護するため、個人に関する情報の内容いかんを問わず、特定の個人が識別され又は識別され得る限りにおいて、当該情報を原則公開しないことができるとするものであるが、ここでいう「特定の個人が識別され、又は識別され得る」とは、当該情報から直接識別できる場合のほか、当該情報のみでは識別できないが、他の情報と組み合わせることにより特定の個人が識別され、又は識別され得る場合も含むものと解される。
実施機関は、本件対象文書に記載されている「学年」、「災害発生年月日」及び「傷病名」を公開すると、当該事故が発生した学校の生徒や教職員など一定の者は、当該被災生徒を識別することができるため、本号本文に該当すると主張している。
本件対象文書は、センターから学校の設置者である草加西高等学校長宛てに通知された文書であり、本件対象文書に記載された医療費等の給付の対象者である当該被災生徒が、当時草加西高等学校に在籍していたことは明らかであるから、さらに上記の情報を公開するとなれば、当該被災生徒の氏名を識別することが可能であると考えられる。
したがって、別紙3の異議申立て箇所は、旧条例第6条第1項に該当すると判断する。
なお、上記で検討を行った情報の外、本件処分で公開しないとされた情報についても当審査会で個々に検討を行ったところ、これらの情報は、個人が識別され、又は他の情報と組み合わせることにより個人を識別し得るものであり、旧条例第6条第1項第1号本文に該当するものと判断する。

(4)申立人のその他の主張について

  • ア 申立人は、反論書の中で、実施機関の説明する旧条例第6条第1項第1号本文の「特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」の解釈における、「他の情報と組み合わせることにより特定の個人が識別され、又は識別され得る場合を含む」及び「一般の人にとっては識別できないが、一定の知識・経験を有する者であれば特定の個人を識別できる場合も含む」とは、抽象的であり、どのような場合を指すのか具体的な事例を示して説明を行う必要がある、と主張している。
    他の情報と照合することにより個人を識別することができる「他の情報」とは、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報が含まれ、また、何人も開示請求することができることから、仮に当該個人の周辺者等であれば保有又は入手可能であると通常考えられる情報も含まれると解される。これらの「他の情報」を個人がどの程度保有又は入手しているかは、当該個人の生活地域や活動状況等によって種々様々であると推測される。したがって、申立人の主張するように、ある一定の知識・経験を有する者が他の情報と照合することにより個人を識別することができる事例を示すことは、具体的には困難であると考えられる。また、仮に本件対象文書の中で事例を示して検証するとなれば、不開示情報を開示することになり、その結果個人が特定されることにつながるおそれがある。
    したがって、申立人の主張は受け入れることはできない。
  • イ 申立人は、反論書の中で、平成11年6月30日付けの原処分に係る異議申立てが、なぜ、平成16年3月30日付けで当審査会へ諮問されるまで、長期間放置されたのか不明であると主張している。
    これに対し実施機関は、本件請求のあった平成11年度当時、本件事案の担当課である県立学校課(当時は高校教育課)において、本件を含め不服申立て事案が10件余り係属し、不服申立てが行われた順に処理を進めていたところ、平成13年度から平成15年度にかけて県立学校課及び県内県立学校に対し相次ぐ開示請求があり、毎年度、文書件数にして1,500件から2,100件程の開示等決定事務を行わなければならず、県立学校の当該事務を統括している県立学校課では、当該事務を優先的に処理する必要があると判断したため、不服申立てに対する事務処理をやむを得ず遅延させてしまったと説明している。
    一方、実施機関は、本件請求に対し、本件対象文書とは別の、本件対象文書と一対を成す医療費等支払請求書等について部分公開決定を行ったところ、本件と同時に異議申立てと旧条例に基づく救済の申出が行われ、救済の申出に対しては、埼玉県情報公開監察委員から当初の部分公開決定の一部を取り消し、公開するよう勧告されている。この勧告を受けて、実施機関は新条例施行後の平成13年5月に、勧告に従った内容の公文書部分開示決定を行い、申立人に対し改めて開示の実施を行っている。
    開示請求に対する決定事務に関して言えば、確かに実施機関が説明するように、平成13年度から平成15年度にかけて、実施機関に対し相当な量の開示請求があった事実は認められる。しかしながら、本件異議申立てから諮問まで4年8か月余りが経過しており、その間、上記のとおり、本件処分と同時になされた本件対象文書と一対の文書に係る部分公開決定に関し、旧条例に基づく救済の申出に対する勧告に従い当該処分の一部変更の手続きを行っているにもかかわらず、一方で本件異議申立てに対する対応が速やかになされずに、審査会制度導入からおよそ3年が経過した後諮問がなされたのは、関係法令の趣旨からみても合理的とは言えない。実施機関においては、今後、異議申立て案件に係る諮問に当たっては、迅速かつ的確な対応を取ることを望むものである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(審査会に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

別紙1

本件対象文書

  • (1)給付金支払通知書(平成7年4月12日付け埼玉県草加西高等学校収受第102号)
  • (2)給付金支払通知書(平成7年6月12日付け第3号)
  • (3)給付金支払通知書(平成7年8月10日付け第5号)
  • (4)給付金支払通知書(平成7年10月11日付け第7号)
  • (5)給付金支払通知書(平成7年11月10日付け第8号)
  • (6)給付金支払通知書(平成7年12月11日付け第9号)
  • (7)給付金支払通知書(平成8年2月13日付け第11号)
  • (8)給付金支払通知書(平成8年4月10日付け第1号)
  • (9)給付金支払通知書(平成8年5月10日付け第2号)
  • (10)給付金支払通知書(平成8年9月10日付け第6号)
  • (11)給付金支払通知書(平成9年2月10日付け第11号)
  • (12)給付金支払通知書(平成9年4月10日付け第1号)
  • (13)給付金支払通知書(平成9年6月10日付け第3号)
  • (14)給付金支払通知書(平成9年8月11日付け第5号)
  • (15)給付金支払通知書(平成9年10月13日付け第7号)
  • (16)給付金支払通知書(平成10年1月12日付け第10号)
  • (17)給付金支払通知書(平成10年3月10付け第12号)
  • (18)給付金支払通知書(平成11年3月10日付け第12号)
  • (19)給付金支払通知書(平成7年7月13日付け埼玉県立草加西高等学校収受)
  • (20)給付金支払通知書(平成8年1月10日付け埼玉県立草加西高等学校収受第1647号)
  • (21)給付金支払通知書(平成8年7月12日付け埼玉県立草加西高等学校収受第767号)
  • (22)給付金支払通知書(平成9年5月14日付け埼玉県立草加西高等学校収受第457号)
  • (23)給付金支払通知書(平成9年12月11日付け埼玉県立草加西高等学校収受第1704号)

別紙2

決定通知書及び対象文書

公開しない行政情報

公開しない理由

草西高第5060号

本件対象文書(1)

  1. 給付金支払通知書のうちの「学年」欄、「児童・生徒等氏名」欄、「受給者氏名」欄、「災害発生年月日初回・継続別(月分)」欄、「傷病名(医療等の状況から転記)」欄、「請求額」欄、「支給額」欄及び「転帰」欄並びに個人を特定し得る部分
  2. 給付金支払通知書のうちの法人の代表者の印影

個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るものであり、埼玉県行政情報公開条例第6条第1項第1号に該当するため。印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、公開することにより当該法人に著しい不利益を与えることが明らかな情報であり、埼玉県情報公開条例第6条第1項第2号に該当するため。

草西高第5061号

本件対象文書(2)ないし(18)

  1. 給付金支払通知書のうちの「学年(歳)性別」欄、「児童・生徒等氏名」欄、「災害発生年月日初回・継続別(月分)」欄、「傷病名(医療等の状況から転記)」欄、「請求額」欄、「支給額」欄及び「転帰」欄並びに個人を特定し得る部分
  2. 給付金支払通知書のうちの法人の代表者の印影

個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るものであり、埼玉県行政情報公開条例第6条第1項第1号に該当するため。

印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、公開することにより当該法人に著しい不利益を与えることが明らかな情報であり、埼玉県情報公開条例第6条第1項第2号に該当するため。

草西高第5062号

本件対象文書(19)ないし(23)

  1. 給付金支払通知書のうちの「学年(歳)性別」欄、「児童・生徒等氏名」欄、「災害発生年月日初回・継続別(月分)」欄、「傷病名(医療等の状況から転記)」欄、「請求額」欄、「支給額」欄及び「転帰」欄
  2. 給付金支払通知書のうちの法人の代表者の印影

個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るものであり、埼玉県行政情報公開条例第6条第1項第1号に該当するため。

印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、公開することにより当該法人に著しい不利益を与えることが明らかな情報であり、埼玉県情報公開条例第6条第1項第2号に該当するため。

別紙3

本件処分(不開示部分)及び及び異議申立て部分

対象文書

情報(項目)

不開示部分

異議申立て

給付金支払通知書

文書番号及び年月日

 

 

センター埼玉県支部長の印影

 

 

給付金請求の日付、文書番号

 

 

番号

 

 

学校(保育所)名

 

 

学年(歳)性別 ※1

項目の記載全て

○(学年)

児童・生徒等氏名

項目の記載全て

 

受給者氏名 ※2

項目の記載全て

 

災害発生年月日 初回・継続別(月分)

項目の記載全て

○(災害発生年月日の部分)

傷病名(医療等の状況から転記)

項目の記載全て

請求額

項目の記載全て

 

支給額

項目の記載全て

 

転帰

項目の記載全て

 

区分

 

 

備考

個人を特定し得る部分 ※3

 

小計・合計

 

 

※1 本件対象文書(1)は「学年」のみ該当

※2 本件対象文書(1)のみ該当

※3 本件対象文書(1)ないし(18)のみ該当

審議の経過

年月日

内容

平成16年3月30日

諮問を受ける(諮問第75号)

平成17年5月10日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年9月26日

実施機関より意見聴取及び審議(第6回第3部会)

平成17年10月11日

審議(第7回第3部会)

平成17年11月18日

審議(第8回第3部会)

平成17年12月13日

答申

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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