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掲載日:2021年3月30日

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答申第81号 「事故報告書」の不開示決定(平成18年3月30日)

答申第81号(諮問第88号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成13年4月27日付けで行った「「事故報告(1)」(平成12年度ファイル基準表No.18に規定するもの)」及び「「事故報告(2)」(平成12年度ファイル基準表No.18に規定するもの)」(これら2文書を併せて、以下「本件文書」という。)についての不開示決定は、結論において妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成13年3月12日付けで、埼玉県行政情報公開条例(昭和57年埼玉県条例第67号。以下「旧条例」という。)第5条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、埼玉県立川口北高等学校の「(5)平成12年4月1日から本日までの間に作成された生徒事故報告書」ほかの公開請求(このうち、「(5)平成12年4月1日から本日までの間に作成された生徒事故報告書」にかかる公開請求について、以下「本件公開請求」という。)を行った。

(2) 実施機関は、本件公開請求について、本件文書の存否を答えること自体が個人等の権利利益を侵害することとなり、埼玉県情報公開条例第10条第1号(平成12年埼玉県条例第77号。以下「新条例」という。)に該当する不開示とすべき情報を公開することとなるので、存否を答えることはできないと判断し、平成13年4月27日付けの公文書不開示決定通知書により、本件文書の不開示決定(以下、「本件処分」という。)を申立人に通知した。
なお、実施機関は、本件公開請求について、「対象文書が多量であり、旧条例第10条第1項に定める期間内に公開・非公開の決定を行うことが困難なため」として、その公開又は非公開の決定について平成13年4月27日まで延長し、平成13年3月23日付け行政情報公開決定延長通知書により申立人あて通知した。

(3) 申立人は、平成13年5月22日付け異議申立書により、実施機関に対し、本件処分を取り消して請求文書を部分公開すべきであるとして異議申立て(以下「本件異議申立」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立について、実施機関から平成16年9月8日付けで新条例第22条に基づき、諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件に係る審査に際し、平成17年7月21日に実施機関から開示決定等理由説明書の提出を受けた。
また、申立人からは平成17年8月26日に反論書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成17年12月22日に実施機関から意見聴取を行った。
また、平成18年1月20日に申立人からの口頭意見陳述の聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人の主張は概ね次のとおりである。

(1) 申立人が公開請求を行った「生徒事故報告書」は、埼玉県立高等学校管理規則第24条等に基づき校長に作成の義務が付けられた報告書で、その様式や運用等については、昭和59年7月9日付け教高第536号「児童生徒の事故報告等について(通知)」で公にされている。平成13年4月27日付け川口北高第296号「公文書不開示決定通知書」で申立人に通知された内容は、この生徒事故報告書は新条例第10条第1号に基づき、その存在の有無も回答できないと通知されたものである。
申立人が開示請求を行った本件文書は、埼玉県立学校文書・公印規程第19条に基づき、校長が毎年度作成するファイル基準表に記載され、その存在は公になっている公文書である。

(2) 上述のとおり、生徒事故報告書は埼玉県立高等学校管理規則で、校長に作成が義務付けられた書類であり、かつ、この報告書に記載されている「生徒の個人名」、「生年月日」、「個人を識別することができる記述」は容易に除くことができるものであり、新条例第11条第2項の規定に基づき、部分開示ができるものである。
埼玉県立高等学校管理規則第24条でも「事故報告書」の作成を校長に義務づけられているが、この「事故報告書」は、既に新条例第11条第2項に基づき「教職員事故報告書」では部分開示されている。
本件文書と、埼玉県立高等学校管理規則に基づく「事故報告書」に記載される内容の違いは、それほどないものと思慮される。
本件文書を新条例第13条に基づき、存在自体を回答しないとする実施機関の論理は、申立人の開示請求に対して意図的に妨害するために、ファイル基準表や埼玉県立高等学校管理規則の存在を無視し、更に、新条例第13条を故意に誤った解釈をした上で、新条例第11条違反の説明である。

(3) 「生徒事故報告書」と同様の内容が記載されている、日本体育・学校健康センター法に基づく「災害報告書」が、非公開と実施機関から申立人に通知されたので、申立人は平成11年8月11日付けで、旧条例第13条第2項の規定に基づき救済を求めた。
その結果、平成12年7月19日第87号「救済申出処理結果通知書」により、「災害報告書」は部分公開ができるものとして、埼玉県情報公開監察委員から実施機関に対して「部分公開をすべき」との勧告が行われ、その後、川口北高校の情報公開の際にも、「災害報告書」は部分公開が行われていることからも「生徒事故報告書」を非公開とすることは不当であり、部分公開をすべき行政情報である。

(4) 申立人の娘は登校途中に交通事故に遭い、けがをし、治療をしていたが、この交通事故に係る生徒事故報告書が、校長の職務怠慢と思われる理由により、作成されていなかった。
このため、登校途中の事故であったにも関わらず、日本体育・学校健康センター法に基づく災害給付や埼玉県高等学校安全互助会による見舞金等の救済措置が受けられず、多大な損害を受けていたことがその後分かったので、申立人が文部省や日本体育・学校健康センターと直接交渉を行った結果、校長等の過失を認め、日本体育・学校センターは「給付を受ける権利の時効を放棄する」との決定をした。
このように、実施機関に対して胡麻擂りだけの校長として不適切な者が校長となった場合、生徒に多大な被害がある生徒事故報告書を、安易に新条例第10条第1号に基づき非公開とすると、申立人の娘のような多大な損害の発生する事例が再発する危険性があり、「生徒事故報告書」は非公開とすべき公文書ではなく、部分公開すべき公文書である。

(5) 実施機関は、一般人の申立人にとっては識別できないとしながらも、当該学校の生徒や職員など一定の者は、当該生徒を識別できる可能性があるとして、新条例第11条第2項は該当しないと結論づけているが、このような論理を用いれば、個人情報が記載されている全ての公文書は不開示とされ、新条例第1条の目的に背くものである。
したがって、原則、一般人が識別できないと判断される情報は公開すべきである。

(6) 本件異議申立は平成13年5月22日に行ったが、4年3か月を経た今頃、審議する価値はあるのか、埼玉県情報公開審査会委員の意見を聞きたい。
本件は、上述のとおり、埼玉県立高等学校管理規則第24条に定められる事故報告書と埼玉県立学校文書管理・公印規程第19条に基づく事故報告書であることから、事故発生直後の報告書と年度集計した事故報告書と推定されるが、申立人の行う情報公開請求に対して嫌がらせのために、不開示理由とならない理由であることを実施機関は承知しながら、新条例第13条を持ち出し、異議の申立書が提出されようが、これを放置して時間をかけて、請求者の申立人が諦めることを実施機関がきたいしているものである。
新条例第1条には、「・・・県の活動を県民に説明する義務が全うされるようにするとともに、・・・地方自治の本旨に即した公正で透明な開かれた県政の推進に寄与することを目的とする。」と規定されているが、今回の実施機関の事例を認めると、今後、行政瑕疵や職務怠慢等の証拠とされる行政情報は、新条例の規定を無視して、全て不開示として、行政側の責任逃れに使用される危険がある。
したがって、今回の事例のように実施機関が意図的に3か月以上放置していた案件については、埼玉県情報公開審査会で個別審議をしなくとも、全て開示するとの方針を決議すべきである。

4 実施機関の主張の要旨

本件異議申立に対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1) 実施機関は、平成13年4月27日付け川口北高校第296号により、公開請求された公文書については、当該公文書の存否を答えること自体が個人等の権利利益を侵害することとなり、新条例第10条第1号に該当する不開示とすべき情報を開示することとなるので、存否を回答できないという理由から本件処分をした。

(2) 新条例第13条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定している。
開示請求がなされた場合、通常は、請求にかかる公文書が存在していれば、それを対象公文書として特定し、開示又は不開示の決定処分を行い、公文書が存在していなければ、不存在の決定処分を行う。このように情報公開制度のもとでは、文書の存否が明らかにされた上で決定がなされるというのが原則である。
しかしながら、存在自体を明らかにしがたいようなセンシティブな情報への請求や、情報の探索的な請求など、開示請求に係る公文書が存在することを認めること自体が、不開示規定が保護する利益を損なうような場合があることから、例外的に、新条例第13条は、当該公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否する決定を認めている。

(3) 新条例第10条第1号では、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を侵害するおそれがあるもの。」については、公文書の開示義務から除外している。
また、これには、一般の人にとっては識別できないが、一定の知識・経験を有する者であれば特定の個人を識別できる場合をも含むものである。

(4) 新条例第11条第2項では、個人に関する情報のうち特定の個人を識別することができる情報であっても、当該特定の個人を識別することができる情報であっても、当該特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除いて開示した場合には、当該個人の権利利益を害することとならないものがあり、これを不開示とする意義は乏しいとしている。
しかし、本件文書は、特定の学校の事故報告書の公開を求めたものであるのであり、本件文書の存否を明らかにして開示不開示を判断することは、特定の学校における生徒事故報告書の内容の一部が明らかになり、一般の人にとっては識別できないが、当該事故が発生した学校の生徒や教職員など一定の者は、当該事故を識別することができる可能性が発生する。
したがって、新条例第11条第2項は該当しないものである。

(5) 本件においては、実施機関は開示不開示の判断をすること自体、個人の権利利益を害するおそれがあるものと判断したものであり、新条例に基づく本件処分は、妥当である。

5 審査会の判断

(1) 適用条例について

新条例は平成13年4月1日に施行されたが、本件公開請求は旧条例に基づいてなされたものの、本件処分及び本件異議申立は新条例の施行後に新条例に基づいてなされたため、当審査会は、新条例の規定に基づき本件異議申立の検討を行う。
ただし、旧条例は、「実施機関は、公開請求があったときは、その公開請求を受けた日から起算して15日以内に、当該公開請求に係る行政情報を公開するかどうかを決定しなければならない。」と第10条に定めているところ、本件処分は、本件公開請求のあった平成13年3月12日から起算して所定の15日間ではなく、公開又は非公開の決定の延長に必要な手続を経て、平成13年4月27日付け公文書不開示決定通知書によって申立人に通知されたという特殊な事情が存在することから、当審査会は旧条例の各規定も斟酌しながら検討する。

(2) 本件文書について

本件文書は、埼玉県立川口北高等学校の平成12年度ファイル基準表No.18に規定する「事故報告書(1)」及び「事故報告書(2)」である。
実施機関の説明によると、事故報告書には、一般に、生徒及び職員の氏名及び生年月日など特定の個人を識別する情報(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)並びに事故の概要など生徒や職員など特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報が記載されている、とのことである。

(3) 新条例第10条第1号の該当性について

新条例第10条第1号では、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を侵害するおそれがあるもの。」については、公文書の開示義務から除外している。
また、旧条例では公開しないことができる行政情報の一つとして、旧条例第6条第1項第1号に「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別されうるもの。」と定めている。
ところで、実施機関の説明によると、実施機関においては学校の事故報告書について公開・非公開の基準を定め、平成12年7月1日以降に収受した事故報告書に関し、「体罰」事故にあっては学校名を公開し、学科・学年・組・部活動名を非公開とする一方で、「生徒」事故にあっては学校名を公開せず、学科・学年・組・部活動名を公開とすることを原則とし、「体罰」事故にあっても学校名を公開することで関係する児童生徒のプライバシーが保護されない場合には、学校名を非公開とすることもやむを得ないとして運用している、とのことである。また、本件文書の存否を明らかにした場合には、本件文書に記載された当該生徒を識別することができる可能性が発生する、とのことである。
しかしながら、実施機関の上記の「事故報告書の公開・非公開基準」においては、「体罰」事故の例のように学校名を公開する可能性のあることが明示され、また「公開・非公開基準は、あくまでも原則を示したもの」とされていることもあって、「生徒」事故であっても学校名が一律に非公開とされているとは認められない。
更に、特定の学校名を名指しした生徒事故報告書の開示請求があった場合において、実施機関がその存否を答えたとしても照合することができる他の情報がなければ、それだけでは当該学校で生徒事故があったか否かが明らかになるだけであって、当該生徒事故報告書に記載された児童生徒を直ちに識別することができることになる、あるいは特定の個人を識別できないが、なお個人の権利利益を害するおそれがあることになる、とは認められない。
このことは、生徒事故報告書と埼玉県立川口北高等学校の名称以外には照合することができる他の情報の存在は認められない本件処分においても妥当する。
よって、本件文書に関する「学校名」の情報は、新条例第10条第1号に該当しない(余論であるが、旧条例第6条第1項第1号にも該当しない。)。

(4) 新条例第13条の該当性について

新条例第13条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定している。なお、旧条例には同様の趣旨の規定はない。
実施機関は、対象文書が多量であるとして、本件公開請求についてその決定を延長する手続きをとり、平成13年4月27日に本件処分を行い、この間に新条例が施行され存否応答拒否の制度が整備されたことにより存否応答拒否を行ったものである。
しかしながら、上記(3)で検討したとおり、本件文書に関する「学校名」の情報は不開示情報に該当しないので、新条例第13条を適用して本件文書についてその存否の応答を拒否することは不適当である。
なお、仮に、本件文書に関する「学校名」の情報が不開示情報に該当するとした場合であっても、本件公開請求が新条例施行前の平成13年3月12日になされ、本来であれば旧条例第10条の規定に基づき平成13年3月26日までに旧条例に基づいて公開するかどうかを決定しなければならなかったものであり、旧条例には存否応答拒否ができる旨の明文の規定はなかったことから、実施機関が適正な手続を採った場合には存否応答拒否することはできないところであった。

(5) 本件処分について

これまでの検討のとおり、存否応答拒否として不開示決定した本件処分を妥当と認めることはできない。
しかし、実施機関の説明によると、本件文書として「事故報告(1)」及び「事故報告(2)」を特定したが、これらは埼玉県立川口北高等学校において平成12年度ファイル基準表No.18に記載した個別フォルダーで特定したものであって特定の公文書の名称ではなく、これらによって規定された公文書は現実には存在しなかった、とのことである。
そうだとすると、本件処分は文書不存在として不開示決定すべきものであったことになると言わざるを得ない。

(6) 事務の遅滞について

申立人は、本件異議申立から審議着手までに4年を超過している事実を指摘し、実施機関が意図的に3か月以上放置した案件について、埼玉県情報公開審査会で個別審議することなく全て開示する方針を決議すべきであると提言する。
しかしながら、埼玉県情報公開審査会は、開示請求者の開示請求権を保護する機能と共に、請求のあった公文書に記載されている第三者の情報を保護する機能を有するものである。
したがって、当審査会は、異議申立てから審議着手までの期間が長期化することを是認するものではないが、異議申立てから審議着手までの期間が長期化した場合にあっても、個別審議することなく全て開示する方針を採るべきとする提言を採用することはできない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

審議の経過

年月日

内容

平成16年5月28日

実施機関から諮問を受ける(諮問第88号)

平成17年6月13日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成17年12月22日
(第二部会第9回審査会)

実施機関から意見聴取及び審議

平成18年1月20日
(第二部会第10回審査会)

申立人からの口頭意見陳述を聴取及び審議

平成18年2月22日
(第二部会第11回審査会)

審議

平成18年3月17日
(第二部会第12回審査会)

審議

平成18年3月30日

答申(答申第81号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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