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掲載日:2024年3月26日

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答申第84号 「警察安全相談対応に対する苦情申立て事案の調査及び処理方針について(報告)(平成15年4月23日)」の部分開示決定(平成18年3月30日)

答申第84号(諮問第87号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成16年4月23日付けで行った「警察安全相談対応に対する苦情申立て事案の調査及び処理方針について(報告)(平成15年4月23日)」(以下「本件文書」という。)を部分開示決定とした判断は、妥当である。

2 審査請求及び審査の経緯

(1) 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成16年3月1日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、埼玉県公安委員会に対し、「平成15年5月7日付の公委第1136号により結果が通知された苦情の申出に関する調査の一切の記録 処理結果通知書の起案書」の開示を請求した。

(2) 埼玉県公安委員会は、開示請求に関わる対象文書が実施機関の所管するものであるため、平成16年3月8日付で実施機関へ公文書開示請求事案移送書を提出した。

(3) 実施機関は、本件請求に対する公文書を本件文書と特定した上で、平成16年4月23日付けで、条例第10条第1号及び第5号に該当するとして部分開示決定し、請求人に通知した。

(4) 請求人は、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「審査庁」という。)に対し、平成16年6月7日付けの審査請求書を提出したところ、審査庁から補正を命じられ、同年6月21日付けで補正書を提出し、審査請求を行った。

(5) 当審査会は、本件審査請求について平成16年8月25日付けで審査庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(6) 当審査会は、本件審査に際し、審査庁から平成17年11月2日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。

(7) 当審査会は、平成17年12月7日に請求人から反論書の提出を受けた。

(8) 当審査会は、平成17年12月20日に実施機関から意見聴取を行った。

(9) 当審査会は、平成18年2月20日に請求人から意見陳述を受けた。

3 請求人の主張の要旨

請求人が、主張している内容は、おおむね次のとおりである。
請求人は、不開示とされた部分について、請求人以外の第三者は全く関与していなく、「特定の個人を識別することができるもであり、個人の権利利益を害するおそれがある」には該当しない。そればかりか、開示することによって警察の苦情に対する認識・社会通念に基づく適切な苦情処理であるかどうかの判断・正しい市民感覚の理解などが明確になり、それによって市民の警察に対する信頼が確固となり、苦情相談が積極的になり業務の適正な遂行につながる。そして、開示請求する市民の側にも責任感が生まれるため、開示を求める。

4 実施機関の主張の要旨

(1) 「苦情の内容、相談等の受理及び対応状況、苦情申出に対する事実調査及び本件苦情申立てに係る処理方針の項目の記載内容」については、請求人の個別具体的な実体験に基づく個人に関する情報で、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別できる情報である。

(2) 個人の人格と密接に関わる内容が記載されていることから、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあり、条例第10条第1号に該当する。

(3) 苦情申出制度は、苦情申出者のプライバシーを尊重し、個人の秘密は、公にしないという信頼関係に基づいて運用されており、苦情内容に関する情報を公にすると、今後、苦情申出者との信頼関係を損ない、警察職員の職務執行に対する苦情の申出が消極的になるなど、苦情の実態及び適正な事実関係の把握等が困難となり、苦情申出制度に係る業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、条例第10条第5号に該当する。

(4) 情報公開制度は、広く何人に対しても請求を認める制度であることから、開示・不開示の判断に当たっては、本人からの自己情報についての開示請求である場合も含め、開示請求者が誰であるかは考慮されるべきものではない。

5 審査会の判断

(1)本件文書について

本件文書は、警察法第79条の規定に基づき、警察職員の職務執行について苦情がある者は、公安委員会に対し、文書により苦情の申出をすることができる制度において、請求人が申し出た苦情に対する調査結果についての報告書である。

(2)本人による自己情報の開示について

請求人は、不開示とされた部分が、請求人以外の第三者が全く関与していない自己情報であるとして、開示を求めていることから、まず条例に基づいてかかる請求が認められるか否かについて判断する。
条例第7条は、公文書の開示を請求できるものについて規定しているが、これら請求権者に該当すれば、特に本人の状況、利害内容、請求目的に関わりなく、条例第10条各号に定める不開示規定に該当しない限り、開示を受けることができるというのが本条例の趣旨である。したがって、実施機関の開示不開示の判断に当たっては、自己の情報を根拠とした情報の必要性等の請求者の特別な事情は考慮されるものではないことが明らかである。また、条例第10条第1号は、開示義務の例外(いわゆる不開示規定)として「個人に関す
る情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む)」と規定して、特定個人が識別されれば不開示情報に当たるものとし、ほかに当該個人情報が請求者本人のものであるかどうかについて考慮する規定は置かれていない。よって、請求人が個人情報の本人であるかどうかを考慮しなかった実施機関の判断に誤りはない。

(3)条例第10条第1号の該当性について

条例第10条第1号は「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものを含む)」を不開示情報とし、その例外として同号ただし書イないしハに該当する場合を掲げている。
ところで、実施機関が不開示とした部分は、「苦情申出人」、「苦情の内容」、「相談等の受理及び対応状況」、並びに「苦情申出に対する事実調査」及び「本件苦情申立てに係る処分方針」の各項目について記載された内容である。このうち、「苦情申出人」の項目の内容は、特定個人を識別できる氏名や住所等の情報であり、本号に該当することは明らかであり、同項目以外の各項目の内容は、個別具体的な実体験に基づく個人に関する情報であり、氏名や住所等を除いても、その内容を照合することにより、特定の個人を識別できる情報であると認められ、本号に該当する。
また、これらの情報が同号ただし書イ及びロに該当しないことは明らかである。さらに、本件文書に記載されている当該職員の情報は、同号ただし書ハに定める公務員の職及び職務遂行に係る内容の情報であるが、同時に、苦情申出人についての情報でもあって、苦情申出人について、特定個人の識別をすることができるものであるとともに、個人の権利利益を害するおそれのあるものであり、同号ただし書ハには該当しない。
よって、実施機関が条例第10条第1号に基づいて不開示とした判断は認められる。
なお、本件文書は、条例第10条第1号のみの判断で、不開示情報の該当性が認められるため、実施機関の主張する条例第10条第5号については、判断するまでもない。
最後に、請求者本人の個人情報の開示(自己情報開示)については、別に個人情報保護制度を通じて行われるべきところ、請求人が公開条例に基づいて自ら開示を請求したのには、公安委員会が、本件開示請求のあった平成16年6月当時の埼玉県個人情報保護条例では実施機関とはされていなかったという事情があると推測されるが、同事情は公開条例の意義・解釈、ひいては、本件についての判断を左右するものではない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
野村武司、馬橋隆紀、渡辺咲子

審議の経過

年月日

内容

平成16年8月25日

諮問を受ける(諮問第87号)

平成17年11月2日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成17年11月21日
(第二部会第5回審査会)

審議

平成17年12月20日
(第二部会第6回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成18年1月25日
(第二部会第7回審査会)

審議

平成18年2月20日
(第二部会第8回審査会)

口頭意見陳述及び審議

平成18年3月20日
(第二部会第9回審査会)

審議

平成18年3月30日

答申(答申第84号)

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