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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その4

国内有数の光化学スモッグ多発県

朝顔でわかるオキシダント汚染

埼玉県は、国内有数の光化学スモッグ多発県だ。ちょうど今、夏のシーズンに最も多く発生する。光化学スモッグの発生には、光化学オキシダント(以下、オキシダント)という大気汚染物質が関わっている。この物質は、工場や自動車などから排出される窒素酸化物や炭化水素といった原因物質に、太陽からの紫外線が当たることにより、化学反応で作られる。気温が高く、風の弱い晴れた日には、大気中にこの物質がたまって濃度が高くなり、遠くが霞んで見えることがある。このような状態を光化学スモッグと呼ぶ。

埼玉県で光化学スモッグが多発するのは地理的な要因が大きい。埼玉県は、南に大都市を抱えているため、そこで大量に発生した原因物質が海風によって運ばれてくる。その過程で化学反応が進み、県内でオキシダント濃度が高くなってしまう。

オキシダントの大部分はオゾンというガス成分だ。光化学スモッグが発生すると、このガス成分が動植物に被害をもたらす。人間には、目やのどの痛み、頭痛、息苦しさなどといった症状が現れる。光化学スモッグが発生しているときは、外出を控えるなどの対策が必要だ。一方、植物は、動物に比べてオキシダントの影響を受けやすく、人間に被害が出ない濃度でも、葉面に障害が現れたり、葉が落ちたりする。特に、アサガオは、オゾンに極めて敏感で、葉の表面に白色や褐色の斑点が現れ、ひどくなると葉が枯れてしまう。この症状は、夏場、埼玉県内の庭先でよく見かけられるが、オキシダントによる被害だということはほとんど認識されていない。

環境科学国際センターでは、平成十七年から、県民に参加を呼びかけ、毎年七月にオキシダントによるアサガオ被害調査を実施している。県民とともに、オキシダントによる植物被害に関する理解を共有し、県内での被害実態を把握することが目的だ。平成十七年は四十五地点、平成十八年は百二地点から調査データを得た。両年とも、全調査地点で葉に被害が観察され、県内では、オキシダントによるアサガオ被害が広範囲に広がっていることが示された。これは、オキシダント汚染が県内に広がり、それによる植物被害が実際に生じている証拠だ。農業県でもある埼玉県にとっては、県内の農作物生産への影響も心配される。

国は、平成十七年六月に、「大気汚染防止法」の一部を改正し、平成十八年度から光化学スモッグの原因物質の排出量の削減を強化している。これを受けて、県でも、平成十九年度から始まった「ゆとりとチャンスの埼玉プラン-埼玉県五か年計画-」において、原因物質である揮発性有機化合物の排出量を削減する施策を掲げている。排出量削減には、まずは足元から取り組むのが第一歩だ。

原因物質が減れば、光化学スモッグの発生頻度も減るはずだ。そうなれば、埼玉県での植物被害も減ることが予想される。環境科学国際センターでは、今後も、県民参加によるアサガオ被害調査をさらに拡大して、オキシダントによる植物被害の推移を県民とともに見守っていきたい。

光化学オキシダント(オゾン)による被害を受け、白い斑点が現れたアサガオの葉(右)と、被害をうけていないアサガオの葉(左) 平成十八年のアサガオ被害調査で、葉にオキシダントによる被害が観察された調査地点

自然環境担当 三輪 誠

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環境部 環境科学国際センター 研究推進室 自然環境担当

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