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掲載日:2018年4月19日

埼玉新聞連載記事「持続可能な社会目指して」その4

大気や雨もきれいに

ダイオキシン類対策で

酸性雨の原因になる大気汚染物質は、水に溶けるとイオンという形になる。降水に溶けている主な酸性の汚染物質は、硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオンの3種類。硫酸イオンの原因物質になる硫黄酸化物は、主に化石燃料中の硫黄成分が燃えて生成する。日本国内では燃料中の硫黄成分を減らすことなどで改善してきたが、現在は日本海側を中心に越境大気汚染の影響が懸念されている。硝酸イオンの原因になる窒素酸化物は燃料に含まれる窒素成分からだけではなく、燃焼用の空気の約80%を占める窒素からも生成する。そのため対策が難しく効果も表れにくかったが、徐々に改善し2007・2008年度は県内全測定局で二酸化窒素の環境基準を達成した。

さて、今回注目した塩化物イオンは、塩素を含む物質を燃やすと発生する塩化水素や、海塩、火山ガスなどが主な原因になる。埼玉県は海に面していないが、降水には海塩由来の塩化物イオンが含まれている。例えば、1995年度ごろは海塩由来の塩化物イオンが全体のほぼ半分を占めていた。それ以外は、埼玉県など関東地方の内陸部では、清掃工場や産業廃棄物焼却施設が塩化水素の主要な人為的発生源であり、これらから排出される塩化水素が施設周辺の降水中の塩化物イオン濃度を増加させていた。

ダイオキシン類が1990年代に大きな社会問題となり、その対策のためにダイオキシン類対策特別措置法や埼玉県生活環境保全条例などによって廃棄物焼却施設の規制が強化され、廃棄物の野外焼却についても取締りが強化された。身近なところでは、家庭でのゴミ焼却も原則禁止となり、家庭用焼却炉やたき火などによる庭先でのゴミ焼却を見かけることもなくなった。このように焼却に対する様々な規制が行われた結果、大気中のダイオキシン類濃度の低下だけでなく塩化水素の排出量の減少、さらには酸性雨の改善にも効果が表れた。

図に埼玉県内の大気中のダイオキシン類の平均濃度とさいたま市内で観測した雨や雪と一緒に降下した塩化物イオンの総量(沈着量)の経年変化を示した。ダイオキシン類濃度は、規制の強化にともない年々減少し、2002年度以降は全測定局で環境基準を達成している。

海塩由来分を除いたものを人為起源の塩化物イオンとみなすと、その沈着量は1991~1993年度をピークに、その後、三宅島の火山ガスの影響が強い2000~2001年度を除いて減少の傾向を示した。2005年度には、1993年度の約20%まで減少した。

このように、ダイオキシン類対策は、降水中の塩化物イオンの削減に対しても効果を示した。現在、地球温暖化対策のために進められている省エネや化石燃料からグリーンエネルギーへの転換も、硫黄酸化物や窒素酸化物などの排出量を減らすことにつながり、大気や雨をよりきれいにする効果が期待できる。

図 大気中のダイオキシン類濃度、塩化物イオン沈着量

埼玉県環境科学国際センター 大気環境担当 松本利恵

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