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掲載日:2020年4月9日

埼玉新聞連載記事「持続可能な社会目指して」その14

埋立地ガスの把握急務

放出量実測データを蓄積

ごみの埋立地で、生ごみなどの有機物が腐敗して発生する埋立地ガス。ガス抜き管あるいは埋立地表面から大気へと放出される埋立地ガスの量は、昔に比べると少なくなった。これは、かつて直接埋立処分されていた生ごみのほとんどが焼却処理され、その灰が埋立地に埋められるようになったことによる。

しかし、灰にも少なからず有機物が入っており、その有機物を「えさ」として微生物が食べて(分解して)ガスを発生している。

埋立地ガスの主成分は「メタンガス」と「二酸化炭素ガス」であり、メタン生成細菌など微生物の活動により発生する。これらのガスは、温室効果ガスとしても知られている。日本の埋立地から放出される温室効果ガスは、二酸化炭素ガスの温室効果に換算して452万トンと推定され(2007年度・環境省)、温暖化に寄与する割合は全体の約0.33%と言われている。

しかし、この数字は実測値ではない。現状では、公定法(国などが定めた測定方法)が確立していないため、埋立地ガス放出量の実測データはほとんどないのが実状である。

一方、埋立地の管理業務を廃止できる時期を把握するために、ガス調査の必要性が高まっている。

一般的な自然環境とは異なる埋立地は、ごみを埋め終わっても、その土地をすぐに利用できるわけではない。発生する汚水(浸出水)を河川等へ放流するには水質を基準値以下まで処理する必要があり、発生するガスについては火災防止も義務付けられている。廃止に向けた維持管理のうち、浸出水の水質確認は技術上比較的簡単であるが、ガス調査に関しては測定箇所や手法の選定によっては値が大きく異なることがある。このため、埋立地ガスの現状を把握し、管理手法を確立することが急務である。

ここで、日本における埋立地の構造を簡単に説明する(図)。

埋立地の底部には集排水管が張り巡らされ、汚水を集めて水処理施設に送る構造になっている。そして、集排水管にガス抜き管が接続されているケースが多い。この構造は日本独特の「準好気性埋立方式」と言われ、動力を用いずに廃棄物層内へと空気を取り入れることができる。

廃棄物層内に空気が入れば、有機物の分解が促進されて浸出水の水質を改善できるなどのメリットがある。さらに、二酸化炭素ガスの発生量は増加することになるが、温室効果が非常に大きいメタンガスの発生量を抑えられる。日本で広く採用されている「準好気性埋立方式」であるが、ガス抜き管内は取り入れた空気の割合が高いため、埋立地ガスの調査目的にはあまり適していない。

そこで、県環境科学国際センターでは、埋立地の内部に観測井戸を設置し、埋立地ガスの組成を継続モニタリングしている。埋立地ガス放出量についても、測定方法を検討しつつ実測データを蓄積している。

我が国のごみ埋立量は着実に減少しているが、埋立処分がなくなる日はまだ見えない。しばらくは、埋立地は私たちの生活を支える施設であり続けるだろう。持続可能な循環型社会を構築するうえでも、県民がより安心できる埋立地づくりが重要であり、埋立地ガスの現状把握と管理手法の確立などの技術開発を今後も継続していく必要がある。

準好気性埋立方式のイメージ
準好気性埋立方式のイメージ図

埋立地ガス放出量の調査の写真
埋立地ガス放出量の調査

埼玉県環境科学国際センター 廃棄物管理担当 渡辺洋一

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

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