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掲載日:2018年4月18日

埼玉新聞連載記事「埼玉の環境は今」その14

水生生物で川の水質を調べる

「きれいさ」で、種類変化

夏の夜、川の近くの自動販売機や窓からもれる明かりに、たくさんの昆虫が集まっているのを見た経験があるだろうか。それらの中にはカゲロウやトビケラと呼ばれる水生昆虫の仲間が見られる。ほとんどの水生昆虫はその名前のとおり、幼虫(子供)の期間を川などの水中で暮らし、成虫(親)になると羽を使って飛ぶことができる。オニヤンマやアキアカネ、ゲンジボタルも幼虫時代を水中で過ごす、水生昆虫の仲間だ。

川の中には水生昆虫の他にも、魚、貝、エビやカニなど水生生物と呼ばれるたくさんの生きものが生息している。特に「川底」をすみかとしている水生生物は、川の水の「きれいさ」を表す水質と密接に関係していることがこれまでの国内外の研究で明らかにされてきた。研究成果を基に、川底に生息する水生生物により川の水質を判定する方法が開発されている。アルカリ性や酸性を表すpHや水の中に解けている酸素の量(溶存酸素)など薬品や専用の分析装置を使った判定方法に対して、このような水生生物を用いる判定方法を「生物学的水質判定法」と呼ぶ。水質を判定するのに用いられる水生生物は「指標生物」と呼ばれる。

環境省および国土交通省が編集したテキスト「川の生き物を調べよう-水生生物による水質判定-」によると、指標生物は溶存酸素と密接に関係しているとされ、生物学的水質判定法による水質は、水質階級1「きれいな水」、水質階級2「少し汚れた水」、水質階級3「汚れた水」そして水質階級4「大変汚れた水」の4つの水質階級に分けられている。そして、各水質階級ごとに五から九種類、合計三〇種類の指標生物が決められている。サワガニは「きれいな水」、ゲンジボタルやトンボの仲間ではコオニヤンマが「少し汚れた水」、ヒルは「きたない水」、そしてアメリカザリガニは「大変汚れた水」の指標生物である。

ところで、水生生物のすみかとして考えると、川の水質だけを問題とすれば良いわけではなく、本来の川の姿は、場所によって大きく変化することを理解する必要がある。山間部を流れる上流では川幅は狭く、川底は岩でゴツゴツしていて、流れも急である。また、同じ場所でも水深が深いところ(淵)と浅いところ(瀬)などに交互に変化する。一方、下流になると、川幅は広く、川底は砂や泥になり、流れは緩やかになる。水生生物はそれぞれの場所に適応した生活をしており、川の姿が変化に富むほど、たくさんの種類の水生生物が生息できることになる。

近年、水生生物に対する関心が高く、県内でも川の生きもの観察会などのイベントが盛んに行われている。環境科学国際センターでは生態園体験教室「川の生物で環境調査をしよう」を毎年夏休みに行っているだけでなく、水生生物や川の水質にまつわる講演依頼にも対応している。川越市環境保全課は、毎年夏休みに市内在住の小中学生を対象にした環境ふれあい教室を荒川の支流である高麗川(日高市)で行っている。このイベントには、センター職員も講師として参加している。今年もきれいな水の指標生物であるヘビトンボをはじめ、たくさんの種類の水生生物が採集できた(写真2)。この様な場所は水がきれいであるだけでなく、川の様子が変化に富むよい環境であると言える。実際の川での体験は、川の環境について感覚的に理解する上で非常に大切である。

生態園体験教室の様子

生態園体験教室「川の生物で環境調査をしよう

環境ふれあい教室(高麗川:日高市)の様子

環境ふれあい教室(高麗川:日高市)

水環境担当 田中 仁志

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室 水環境担当

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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